四話 ドラグエンパイアとフレアドラゴン / 暗黒ジャグラーズ
自己紹介も終わり王様へ会うためお城へ向かった。と言っても竜小屋はお城の外にあってお城の入口に行くだけだ。
その入口が遠いんだけどね。ここ、王様が住むお城だけあってヨーロッパでも滅多に見ないくらい大きいから。
建築様式はローマにありそうな感じで色は薄い茶褐色で屋根が垢褐色なんだ。
「ここは僕達竜人が支配する王国でドラグエンパイアと言うんだ」
歩きながらジルドレイさんが言う。
「ここが」
「知ってるのかい?」
あまり驚きを見せない僕を見てジルドレイさんが言う。
「まあ、こっちの世界の人、人っていうかモンスターとも知り合いですからね」
「てことはアマツカくんかい?」
「まあそんなところだ」
アマツカが言う。
ほんとはマカイターミナルで知ったんだけどね。
「でも竜人と会うのは初めてだろ?」
ジルドレイさんが自分の角や羽を触る。
「ええ、まあ…………」
前なら会おうと思えば会えたんだけど現地の人と誤解とか起きて揉めるのが嫌で控えてたんだよね。
「知ってると思うけど我々竜人は竜種から進化したんだけど大昔は飛べたのが長い間地上で生活する内に退化して今じゃ角と羽だけ残ってるんだ」
「竜ってさっきジルドレイさん達が乗ったり倒してたあれですよね」
「そうだよ、そう考えると僕達はご先祖さまに乗っかってご先祖さまを殺してることになるのかな」
「えー、罰とか当たらないんですか?」
ファンタジーの世界て現実より宗教の色が強そうなイメージがある。
「その辺りは大丈夫だよ。僕達はドラゴンのおかげで国を守れてるし、生活にもドラゴンが助けになってる。ご先祖さまの恩恵を受けてるていうのかな」
「ドラゴンて暴れたりしないんですか?」
「あー、ちゃんと教育したり何もなければいいんだけど野生のものや変にちょっかいを出すと暴れるかもしれないね………」
「デビルドラゴンに関してはこの国の人はどう考えてるんです?」
「あれはご先祖と似てるけど信仰される存在としては違うんだ。なんたって色が黒くて不吉な感じがするからね」
ドラゴンの見方にも色々あるみたい。
「ドラグエンパイアの中でも国王陛下が住むこの王都には各地から色んな特産品が集まったり工業が盛んだったりするんだ。って、その辺は首都ならどこの国も同じかな」
「はは、そうですね」
「ただ、最近になって暗黒ジャグラーズが攻めて来るようになってね。国の、いや世界のあちこちで戦いが起きてるんだ」
ジルドレイさんの言葉に僕達の顔も曇った。
暗黒ジャグラーズの件は僕達が向こうの世界での戦いを早く終わらせていればこの世界もこんなことになっていなかったんじゃないかと思うと胸が痛い。
「ごめんなさい、僕達がもっと早くこれてれば………」
気がつくと僕は謝罪の言葉を口にしていた。
「気にし過ぎだ、お前にどうこう出来る問題じゃなかった」
アマツカが言う。
確かに僕達が人間界で戦ったイービルクイーンは強かった。
「でも…………」
だからと言ってこの世界の危機に遅れていい理由にはならないと思う。
「大丈夫だよ。こうして君達は来てくれた、だからその内戦いも終わるさ」
そんな僕を見てジルドレイさんが笑った。
「はい!」
そのジルドレイさんに少しだけ元気をもらえた気がした。
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