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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
三章 アンダーグラウンド、悪魔の国
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三十八話 爆誕、ウインディーペガサス!




「誰ガ、先二、死ノウト、同ジ…………?」


機械竜が言葉の途中で怪訝な声がした。後ろであまり聞かない音がした。金属音が唸るような…………。


「ペガサス?」


振り返ると次元の穴から羽根の生えた馬が現れていた。


「もしかして、あの時の?」


エミリアが言う。そうだ、あのペガサスは…………狐流忍者の里で会ったあのペガサス!


「て、なんでこんなところに?!」


わけが分からない、次元の穴が開いて都合よく助っ人が出てくるなんてありえるのかな。


『馬鹿な、マカイターミナルも無しにあんな何も無い空間に次元の穴が開くなどありえるのか!』


悠もマカイターミナルでペガサスの映像を見てるのか通信越しに驚いている。


「これ、は………」


エミリアの手の中で何かが光っている。やがて光が止むとMギアの形になった。


「嘘でしょ!?」


『どうした!?何があった!?』


今度のは映像に映ってないのか悠が聞いてくる。


「Mギアがエミリアのとこに出てきた」


『はぁぁぁぁぁぁ!?』


今度の通信は何人のも声が重なったものだった。


『いやいやおかしいだろ!なんでMギアがもう一個あんだよ!全部で五つじゃなかったのかよ!』


豊太郎が言う。


『そうだよ!あたしで最後じゃなかったの?!』


絵里香ちゃんが言う。一番最後に仲間になったMギア使いは絵里香ちゃんだ、さっきまでは。


『エミリアてMギア使うの?戦うの?』


さなえも興味津々だ。一応マシンワイバーン相手に応戦はしてたけど自分達と同じように戦うという意味だ。


「ウインディペガサス…………」


エミリアが呟く、それがあのペガサスの名前か。


「召喚!」


エミリアがMギアをペガサスに向けて叫ぶ。すると白いペガサスが黄色く変色していた。


「新タナ標的、確認、撃て」


機械竜の号令でマシンワイバーン達がミサイルを飛ばした。そのミサイルをペガサスは素早い動きで回避していく。


「ブルルッ!」


ペガサスは機械竜に接近すると唸り、羽根を羽ばたかせた。ゴウッ!という大きな音と共に暴風が起こり多数のワイバーンを巻き添えにした。


「重イ。ダガソレダケダッ!」


風に押された機械竜が叫ぶ。機械竜が狙いを定めようとするけどペガサスは予想よりも速くて捉えられない。


「ヒヒーン!」


ペガサスはいななくと機械竜の周囲を旋回し始める、それは竜巻となり近くにいた多数のワイバーンを巻き込んだ。


ゴゴゴオォォー、ゴゴゴオォォーと凄まじい風音がしてこっちまで風が飛んでくる。


油断すると僕も吹き飛ばされそうだ。


「大丈夫?エミリア」


「はい、なんとか」


エミリアも大分辛そうな顔をしていた。


嵐の中では雷も鳴っていてさらに機械竜達を苦しめた。


嵐が止み、機械竜が落下していく。


「やりました!やりましたよ司さん!」


エミリアが感激のあまり抱きついてくる。


「ちょ、エミリア?」


突然のことで戸惑ってしまう。


「あ、すいません。嬉しくてつい………」


エミリアが顔を赤くして自分のしたことを恥じ入る。


『司、後で一発殴らせて』


通信越しにさなえが言った。


「なんでそうなるのさ!」


『エミリアの抱擁はわたしのもの、司には渡さない』


「あ、そう」


なんだそっちか、てっきりエミリアの方に嫉妬したのかと思ったけど。


「あら、さなえは意外と愛情表現が熱烈なのですね。後でさなえにも抱擁してあげますから大丈夫ですよ」


エミリアが僕のMギアに向かって言う。エミリアのMギアはまだマカイターミナルと繋がってないみたいだ。


『あ、いや、やっぱりいい』


通信越しでも顔が赤くなってるのが分かりそうな声でさなえが言う。


「うふっ、意外と恥ずかしがり屋さんですね」


エミリアがそう言った時だ。


ドォーン!僕達の前で機械竜の背中から飛んだビームがペガサスに直撃した。煙と共に落下するペガサス。


「ペガサスさん!」


エミリアと共にペガサスに駆け寄る。よく見るとペガサスの黄色い部分はアーマーになってるようだ。


「しっかり!」


エミリアが揺するとペガサスがブルゥと力なく唸り、ヴァミラ達のようにアーマーのない小型サイズになった。


「お勤め、ご苦労様でした。ごゆっくりおやすみください。っと、どこを押せばいいのでしょう?」


エミリアがMギアにペガサスを仕舞おうとするが使い方が分からなく困ってしまう。


「ここ押すんだよ」


僕はモンスターを戻すスイッチを教えた。


「ありがとうございます」


「ヨクモ、ヨクモヨクモヨクモォー!」


バチバチと身体からスパークの悲鳴を上げながら機械竜が叫ぶ。


「ヨクモ、我ノ体ヲココマデ傷ツケタ。コノ報イ、晴ラサズベキカァ」


機械竜の目から出る光がグルグル動いて血走っているように見えた。


『今度こそ逃げろ!やつが冷静さを欠いてる今がチャンスだ!』


悠が叫ぶ。


「分かった!」


僕とエミリアは急いで悠達の元へ向かった。


「で、こっからどうする?」


僕は悠に聞いた。


「モンスター達は全員Mギアの収納してある、いつでも逃げられる」


「逃げられるって、逃げる気?」


「あいにくギアーズアクトはスタミナにも影響を与えるようでな、これ以上の戦闘は無理だ」


「じゃあほんとに…………」


「ああ、やつが激昂してる今がチャンスだ」


「悔しいけど、これ以上ヴァミラに無理はさせられねえからな」


豊太郎が言う。


『ごめんホータロー』


ヴァミラが謝る。


「気にすんな、あいつらはまた倒しに行けばいいだけだ」


「ドォーコォダァ、ドォコォヘ逃ゲタ勇者ァァ…………」


機械竜が僕達のいる横を通り過ぎる。


「今だ!反対側から出るぞ!」


悠の指示で機械竜のいる道とは反対側の道に出て走る。


「きゃっ」


走ったる途中でレナちゃんが倒れてしまう。


「レナ!」


元太くんがレナちゃんに駆け寄る。


「大丈夫?動ける?」


「うん………」


痛みに耐えながら立ち上がるレナちゃん。


「ソォコォカァ」


機械竜の目がこちらを見ると身体の向きを変えた。


「しまった!」


誰となく叫んだ。今度こそ逃げられない…………!そう思えた。


「ごめん、あたしのせいで………」


レナちゃんが泣きながら自分を責める。


「泣くな!泣いてる暇があったら走れ!」


「うん」


悠が叫ぶとレナちゃんがまた走り出し僕達も足を動かした。


「いい子だ、お前はいい忍者になる」


悠がレナちゃんの頭をポンと叩く。


「なんだか、お兄ちゃんみたいだね」


「何を言ってるんだ、俺は元から兄だ」


「再開してから遥香ちゃんと一緒にいるとこあんま見てないからね」


「あの野郎、今度会ったら全力でいじってやろうか………」


「悠、さん?」


それは思わずレナちゃんが恐いものを見る顔になるくらい邪悪な顔だった。そんなんだから遥香ちゃんに裏切られたんじゃないかな、なんだかそう思えるよ。


「消エロォッ!」


機械竜がビーム砲を向ける。


「全力で逃げるぞ!」


悠の声で僕達は人生これ以上速く走れないんじゃってくらい速く走った、死ぬかもしれないけど足を緩めたらほんとに死ぬ、だから、今は走るしかない。


因みに僕が全力、とは言ってない。僕は魔法天使で絵里香ちゃんとさなえは魔法使いに変身してるけど豊太郎やエミリア、子供達とか生身の人がたくさんいるからそっちに合わせてる。


キュウゥゥ…………。ビーム砲にエネルギーが溜まっていく。普段はもっと速いんだけど今回ばかりはスローモーションに見えた。


「やばい、今度こそ死ぬー!急げー!」


豊太郎がものすごい形相で加速する。


「いやだ、死にたくなーい!」


さなえも普段は出さない大声を出した。


「もう、ダメ。走れない」


レナちゃんが足を止める。


「諦めるな!諦めたらそこで試合終了だぞ!」


悠が叫ぶ。試合どころか命も終わりだけどね。


「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ………」


僕もパニックになってわけも分からず同じ言葉を繰り返し始めた。


「なに言ってんの司くん!ここで逃げなかったら死んじゃうよ!」


絵里香ちゃんが叫ぶ。そうだった、ここは逆に逃げないと駄目なんだ。ていうか諦めたら試合終了も逃げちゃだめだも大分古くなってきてない?


「あ…………」


等々ビームが飛んでくる、そう思った時だ。ズドォン!という音がした、けど僕も僕の周りもなんともない。


「あれ、死んでない?」


僕はわけが分からず首を傾げた。さっきのは機械竜がビームを撃った音じゃないの?


「見ろ!」


豊太郎が指さす方を見ると何かがいた。


「なんだあれは、新手か!」


悠が叫ぶ。


それは機械竜よりも少し低い背丈で、その姿は全身に銀のアーマーをまとっている、ということしか今は分からない。詳細を見るにはちょっと遠いからね。


「竜戦士、ドラグナー」


機械竜がその名を呼ぶ。


「ドラグナーですって?!」


エミリアが驚いたような声を出す。


「聞いたことがあるんです。竜人の中には修行の末、ドラゴンに近い姿を得ることがあると」


「それが…………」


「ドラグナー」


「で、でででででも、おかしくない?!だって、どう見ても竜人とあれって違う姿してない?ていうかほんとにあれも竜人だったの?」


僕は混乱のあまり動転してしまう。ドラグナーは全身アーマーだらけだけど竜人は人に角と羽根がちょっと生えたみたい姿をしてるから二つが同じものには見えなかった。


「もちろん、容易になれる話ではありません。あの姿を得るには途方もない修行が必要と言われています。そしてその結果得た魔力を利用して自身の姿を変えると言われています」


「あ、最後のとこで納得した」


「いいのかよ、ていうかさっぱり分かんねえよ!」


豊太郎が叫ぶ。


「要は、膨大な魔力を利用してMギアのモンスターのようにそれまでとは全く別物に近い姿を得る、ということだ」


「はあ………」


悠が補足したけどまだちょっと分かんないみたい。


「RPGのモンスターにも進化して姿を変えるやつがいるからそれと同じ」


さなえが言う。


「あ、そうか」


そこで納得するんだ。人にものを分からすてちょっと難しいね。


「ていうかなんでその竜戦士がこんなところに?」


絵里香ちゃんが首を傾げる。


「それ以上は後だ、俺達は逃げるぞ」


悠の言葉で僕達は教会への道を進んだ。ドラグナーが機械竜の相手をしてるので速さは少しゆっくりになってる。




「ここまで来れば、ぜェ、ぜぇ…………十分だろう。こっからは、ぜェ、ぜぇ………………、歩くぞ」


戦場から大分離れたところで悠が息を切らしながら言った。悠以外もみんな息が切れ切れだ。


「ところでさ、アマツカのさっきのあれ、なんだったの?」


僕は黒いアマツカについて聞いた。


『あれは、ヤミマジンの力だ』


「マジン?」


「そうか、あれはマジンの影響だったのか。だとするなら、突然現れた上にアンジュリアンの技が効かないのも、ケホッケホッ、無理はな、ケホッケホッ」


悠がせきをしながら分析する。


「ちょっとまだ息整ってないのに長く喋んないでよー」


絵里香ちゃんが辟易しながら言った。


「お前達はいいよなぁ、はぁ、変身してるから…………息切れてなくて」


悠が嫌味を込めて言う。


「で、そのヤミマジンになんて言われて力貰ったの?アマツカだけにくれるなんて変じゃん」


『やつは俺が悪魔達に恐れられていることを気にしてることを指摘し、それを解決するために力を与えると言っていた』


アマツカが事情を説明した。


「あー、僕がいない間にそんなことが……………」


「でもあれ、暴走してたよな。マジンの力なのに暴走することとかあるんだな」


豊太郎が言う。


「マジンにも色々あるんじゃないですかねぇ」


「どうしたんですアリエルさん?恐い顔になってますよ」


エミリアが言う通りアリエルちゃんの眉間にはシワが寄っていた。


「べっつにぃ、先輩が傷つけられて怒ってるとかありませんけどぉ」


「そ、そうですか…………」


そう言う割にアリエルちゃんの声は嫌味のこもったものだった。愛しの、と付けない辺り本気で怒ってるみたいだ。


「で、ペガサスの方はどうなの?急に現れたけど」


僕はエミリアに話を振った。


「はい。あの、お話できますか?」


エミリアがMギアのペガサスに話しかける。


『なにか質問があるのか』


『うわ!』


さっきまで人語を介さなかったペガサスが急に人語を話したので僕達は声を上げた。


「あの、さきほどは喋ってませんでしたよね?」


『ああ、だがこの姿になってから君たちと同じような言葉を話せるようになったんだ』


「ふむ、Mギアの影響だろうか」


悠が言う。


「それで、なぜここや狐流忍者の里に現れたのです?」


エミリアが続ける。


『それも分からない。物心ついた時から邪悪な存在が現れるたび、戦えて声が頭に響いてるんだ。さっきも不思議な穴に吸い込まれて君から力を貰ったんだ』


「まさか、暗黒ジャグラーズが現れてから魔界が新たなMギア使いが使役するためのモンスターを作り出したのか?そもそもヴァミラやガルムも魔界を救うという使命を帯びていや、魔界に叩き込まれて人間界に来ていた。となるとこいつも?」


悠がぶつぶつ言ってる。


「つまりどういうこと?」


長すぎて分からないので僕は聞き直した。


「ウインディペガサスは暗黒ジャグラーズの出現に伴い新たに魔界が遣わせたMギア使い用のモンスターということかもしれない」


『僕が………』


「ああ」

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