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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
三章 アンダーグラウンド、悪魔の国
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三十六話 黒アマツカ




司side


お爺さんを遠くまで運び終えて戦場に戻ってきた。


「みんな!状況はどうなってる?!」


「ああ…………」


悠が答えにならない声を出す。


前を見るとレオパルドがマシンワイバーンを相手に大暴れしている。


「すごいね、君の相棒。大活躍じゃん」


「生憎だがレオパルドならあっちだ、あれはお前の相棒だ」


「はい?」


僕は某特命係の人ばりの声を出した。確かにレオパルドは後ろの方で突っ立ってけど…………。


「なに言ってんだよ、アマツカは白い服着てるんだからレオパルドみたいに黒いわけないじゃーん。悠のお茶目さん」


悠の冗談に思わず笑ってしまう。


「嘘じゃありません!あたしの、あたし達の目の前で先輩は黒い霧に飲まれて、霧がなくなった時、あの姿になってて…………」


アリエルちゃんが悲痛な叫びと共に事情を説明した。


「黒い霧?」


「分かりません、先輩が戦ってたら急に現れて…………もう、あんなの先輩じゃありません!」


アリエルちゃんの目からは涙が零れている。


「ええっ、泣くほどのことなの?」


僕はアリエルちゃんがなんで泣くのか分からない。


「ただのイメチェンでしょ?あれで強くなるなら儲けもんだよー」


冗談交じりに言った。


「あれは堕天状態らしいぞ」


悠が言う。


「堕天…………?」


僕は記憶にあるマカイターミナルの情報を探した。


「あっ!力が悪魔寄りになってパワーアップするけど心が悪くなるっていうあれ?」


「の、ようだ」


「大丈夫かなうちの子…………」


僕もアリエルちゃんほどじゃないけど不安になってきた。さっきからウアァァッ!て唸り声とかハハハハ!て笑い声まで聞こえてるし、片方だけならまだしも両方はちょっと…………。ていうかアマツカは普段どっちの声も出さないし。


やがて街を襲っているマシンワイバーンが全て消滅した。


「やりぃ!これでひとまず安心だね」


僕は思わずガッツポーズをした。


「だといいんだがな」


そう言った悠と一緒にアマツカ達の元に向かう。




「すごいよアマツカ!あっという間に敵がいなくなっちゃった」


ヴァミラが言う。


「やったのが天使というのが少々癪だがな」


ガルムが言った。


「おかげで我々も楽になったがな」


レオパルドが言う。


アンジュリアンだけはモンスター達の中でも固い表情でアマツカを見るだけだ。アンジュリアンを除いたモンスター達がアマツカの元へ向かう。その時、アマツカの口元がニヤリと笑った。




「行ってはいけません!」


アンジュリアンさんが叫ぶとアマツカが動くと、ヴァミラに素早く近づいた。振り抜く拳、ヴァミラはとっさに腕でそれを防いだ。


「アマツカ!?」


僕は彼のやったことが信じられない。


「先輩やっぱり………」


アリエルちゃんが暗い声で呟く。


「アマツカ、どうして………」


ヴァミラがアマツカの拳に耐えながら言う。


「あのワイバーン共は数だけいて遊びにもならなかった。なあ、お前は楽しませてくれるんだろう?」


アマツカが低い声で言う。


「なに言って………」


そう言うヴァミラに再びアマツカの拳が飛ぶ、今度は防ぎきれずにダメージを受けて吹っ飛んでしまう。


「ちょっとアマツカ、なにやってるのさ!敵はもういないんだよ!味方同士で戦っちゃ駄目だよ!」


僕はアマツカに向けて叫んだ。


「なんだ司、俺に文句があるのか」


そう言ってこっちを向くアマツカの顔を見た時、息を飲んだ。目がギョロっとしていて口元は三日月型に笑っていて不気味さを出していた。


「そんな、先輩…………」


アリエルちゃんが悲痛に顔を覆ってしゃがんだ。


「こいつ、正気じゃない…………」


さっきまで楽観視していたのが馬鹿みたいだ、アマツカは完全に我を忘れている。


「どうにかできねえのかよ」


豊太郎が言う。


僕はMギアを出して叫んでみる。


「戻れアマツカ!再召喚!アンサモン!」


三種類ほど言ってみたけど何も起きない。


「あれ、違うの?」


そう呟いた瞬間Mギアが黒い霧に包まれた。


「うわ!」


思わず僕はそれを落としてしまう。


「黒い、Mギア?」


「アマツカを包んだやつと同じだ」


さなえが言う。


「どゆこと?」


「さあな、だがあのアマツカはその霧に汚染されてると言ってもいい。そして連鎖的にアマツカと繋がっているMギアもその影響を受けたのだろう」


悠が推測する。


「もう怒ったぞ!ヴァーミリオンフレイム!」


ヴァミラがアマツカに火炎弾を発射する。アマツカに当たって煙が出る。


「やるな、お前」


煙から腕を盾にしたアマツカが現れた。


「アンジュちゃん、あれできない?あれ!」


絵里香ちゃんが言う。


「あれとは、なんでしょう」


どうやら絵里香ちゃんの言葉の意図が伝わっていないようだ。


「ほら、あまちゃんや五十嵐くんがおかしくなった時に使ったあれ…………」


「分かりました」


その言葉にアンジュリアンさんが頷いた。アンジュリアンさんが両手を上に掲げる。おかしくなったっていうかドラグエンパイアでサキュバスさんに洗脳されてた時だね。


「ホーリーサンシャイン!」


アンジュリアンさんの手から出た光が街を包んだ。ヤミに囚われたものを解放する聖なる光、だと思う。簡単に言うと浄化技だね、あれならアマツカも元に戻るはず。


「これならアマツカも………」


僕は光の眩しさに腕で目を庇いながら言った。けど光が止んだ時に立っていたのは黒いアマツカのままだった。


「わずらわしいな」


アマツカはそう言うとアンジュリアンさんの前に移動した。


「あ………」


アンジュリアンさんがアマツカを認識した時にはもう遅かった。彼の足が伸び、アンジュリアンさんを吹っ飛ばしたんだ。アンジュリアンさんは不意打ちで受け身も取れずに転がる。


「アンジュちゃん!」


絵里香ちゃんがアンジュリアンさんに駆け寄る。


「大丈夫です、まだ十分戦えます」


アンジュリアンさんがそう言って立ち上がる。


「どういうこと?アンジュリアンさんの技が効かないなんて」


「おそらく、わたしの技が効かないほどまで彼の身体を邪悪な力が蝕んでいるのでしょう」


僕の声にアンジュリアンさんが答える。


「そこまでか」


悠が苦い顔をする。


「上等だ、だったら力づくで正気に戻すまでだ。エンマジンの力よ!」


豊太郎がエンマジンの力を発動させる。


「うおぉぉぉぉ!」


ヴァミラの身体が炎に包まれて手足に炎をまとうようになる。


「ほう、本気で来るようだな」


それを見てアマツカが不敵に笑った。


ヴァミラからさっきよりも大きめの火炎弾が連発され、アマツカがそれを避けると黒いビームを発射していく。


「はぁっ!」


ヴァミラは炎の爪でビームを弾いた。アマツカの横からレオパルドがビーム弾を、ガルムが冷気を発射するけどかわされてしまう。


「なにっ!」


「馬鹿な!」


完全な不意打ちを防がれて驚く二体。


「今のはいい動きだった」


アマツカがいつの間にかガルムの横にいた。アマツカは回し蹴りをしてガルムを吹っ飛ばした。


「ガルム!」


さなえがガルムに駆け寄る。


「なんだあの天使、いつものより数段強い…………」


ガルムが言う。


「出し惜しみは不要のようだな、今度こそあれを使うぞ」


悠がMギアを使いながら言った。それに合わせて豊太郎達もMギアを構える。


『ギアーズアクト!』


悠達が叫ぶとレオパルド達に金色のアーマーが追加された、羽根のないレオパルドやガルムにも金色の羽根が生えてアンジュリアンさんは槍を装備している。人間界で伝説のモンスターのイービルクイーンを倒した時に使ったパワーアップ形態だ。


『くらえ!』


レオパルドの大型バルカン砲とガルムのビーム砲が発射されてアマツカが空に飛んで回避する。


「なにっ!」


「グオォォッ!」


アマツカが気がつくといつの間にかヴァミラがいて巨大なクローでアマツカを攻撃した。


「ぐっ!」


地面に転がるアマツカ。そこへアンジュリアンさんが迫る。


「覚悟!」


アマツカはギリギリのところでアンジュリアンさんの槍の猛攻を避ける。途中で一気に距離を置くアマツカ、そこへ他の三体の同時攻撃が飛んでくる。


「ぐああぁっ!」


ダメージを受けるアマツカ。


「やった!」


思わず僕はガッツポーズを取った。

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