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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
三章 アンダーグラウンド、悪魔の国
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三十二話 センカの占いと不思議な井戸の奥




洞窟に着くと見覚えのある人がいた。


「センカさん!どうしてここに!」


洞窟の入口横にいたのは黒いローブをまとった金髪美白の美女だ。エミリアの話にも出てきたけど彼女はセンカさんと言って王都で政府専属の占い師をやっていて国の助けになってるらしいんだ。


近くにはドラゴンが二匹と後ろに騎手とタイヤ付きの小屋がある、馬車ならぬ竜車だ。


「竜車に運んでもらったのよ、ちょっとお金かかったけど」


「でもあれって森の外までですからそこからは歩きですよね」


確か僕が最初乗った時もそうだったはず。


「あー、ケチ臭いわよねそれー。ドラゴン歩かせろって言ったら普通にここまでこれたけど」


「さいですか………」


僕もそうすれば楽に行けたのかな。


「司、こいつは誰だ。信用出来るのか」


悠が言う。


「そっか、悠達は初対面だったね」


センカさんを知ってるのは王女のエミリアと僕とアマツカ、さなえとガルムくらいかな、他のみんなは後から来たからセンカさんとは会ってないんだ。


僕はセンカさんの説明をみんなにした。


「ほう、異世界だと占いを国政に活かすのか。国政に使えるとなると異世界の占いはさぞ便利なんだろうな」


悠が関心するように言う。


「そんな褒めないでよもー、占いなんて元々日々の暮らしに役立つくらいのものなんだからー。国政にまで使えるのはわたしくらいよ」


センカさんが手を振って謙遜する。


「それで、センカさんは何をしにこちらへ?」


エミリアが言う。


「あなた達に新しい啓示を与えようと思ってね」


「啓示って宗教の創始者が神様から貰うあれですか?」


僕はセンカさんに聞いた。


「ええ、その啓示と同じね。占いでも星の導きと呼ばれる占いの結果は啓示と呼ばれるの」


「星の導き?」


聞かない占いだ。


「この板を使うのよ」


するとセンカさんが大きな袋から金の円盤がついた四角い板を取り出した。板は正方形になっていて一辺は高校の数Ⅱとかの教科書よりちょっと小さいくらい。円盤の端にはギリシャ数字で1から12までの数字が書かれている。異世界にギリシャなんてあるわけないからギリシャ数字と同じ文字だ。


「これによれば、狐の耳と尾持つ忍の里にて洞窟あり。その洞窟、帰らずの井戸ありけり。されど恐れることなかれ。その井戸、真には異界に繋がりけり。と言われているわ」


センカさんが啓示の内容を言う。


「狐の耳と尾持つ忍て、狐流忍者のことだよな。で、その洞窟の帰らず井戸ってことは………」


豊太郎が啓示を要約して目の前の洞窟を見る。


「ふっ、どうやらこの啓示とやらは俺の仮説を信憑性を高めてくれたようだな」


悠が額に手当てたかっこつけたポーズを取る。なんかうざい。


「そしてもう一つ」


センカさんが言葉を続ける。


「竜人の王女、勇者と共に進みけり。その王女、黄色き風に会い勇者の導きを得るだろう。と出たわ」


「竜人の王女、わたしですか?」


占いで指名されたエミリアが声を上げる。


「ええ、あなたは勇者様の力になるだけでなく黄色い風と呼ばれるものに出会うと言われています」


「黄色い風、ですか」


黄色い風ねえ、風なら昨日夜会ったペガサスが起こしてた気がするけど。でもあれは白か、夜で月明かりしか明かりがなかったけどあれはやっぱり白だと思う。勇者の導きってなんだろう、僕達といることがエミリアの力になるってこと?


「これをどう思うかはあなた方の自由よ、好きになさい」


「はい、頑張ります!」


エミリアが拳を握るけど僕達にはさっぱりだ。



センカさんと別れ洞窟の奥に進む、前回も不思議に思ったけどここの壁は不思議な光る石があって暗くて進みづらいということはない。


「おー」


目的の井戸のある場所に着くと、そこは広間だった。


「意外と広いな」


豊太郎が関心して言う。


「あれか」


悠が目的の井戸を見る。


「ご丁寧に蓋がしてあるな」


「うん」


「間違って落ちないようにしてるみたいだけど落ちる人がいるから多分、蓋開けちゃってるんだね」


井戸の大きさは人がすっぽり入る大きさで間違って落下してもおかしくはなかった。


「お前達、覚悟はいいか」


悠が僕達を見回す。


「今さらそれ言う?」


「覚悟ならとっくに出来てるってえの」


「そうだな」


僕達の言葉に悠が笑って答える。そして井戸の蓋を開ける。


「行くぞ」


悠は井戸に足を踏み入れ、落ちていく。レオパルドもそれに続く。


「よし」


僕も井戸に身体を入れていく。


「うわぁぁぁぁぁぁ!」


周囲の変化と身体が落下する勢いに驚いて悲鳴を上げてしまった。周りはあっという間に明かりが失われて自分の身体が落ちる感覚だけが残ったんだ。


「うるさいぞ、人間!もう少し大人しくできないのか!」


下のレオパルドに怒られてしまった。


「ひゃぁぁぁぁぁ!」


上から聞こえたのはアリエルちゃんの悲鳴だ。


「なんでアリエルちゃんが、アマツカじゃないの?!」


悠とレオパルドの流れなら僕の次はアマツカだと思ったのに。


「愛すべき先輩にそんなことやらせるわけないじゃないですか!先輩が死ぬくらいならあたしが先に犠牲になります!」


「アリエルちゃんてアマツカのこと本当に好きなんだね」


「と、当然じゃないですか!天界の学校にいた頃の先輩と後輩なんですから!」


なるほど、あの二人は文字通り先輩と後輩だったのか。


待てよ、今アリエルちゃんはスカートだ。そしてそのアリエルちゃんは上にいる。て、ことは……………僕は首を動かして上を見てみる。……………見えなかった、位置的にアリエルちゃんのパンツが見えるかと思ったけど流石に暗くて見えなかったよ。


しばらく経つと豊太郎の「うひょー!」て歓声が聞こえてきた。


「いい加減にしろ人間共!殺されたいのか!」


またレオパルドがお怒りになってしまった。


「いい加減にするのはお前だレオパルド!お前のがうるさいんだよさっきから!」


今度は悠が怒りだす。


「これって…………」


僕は声を漏らした、周りの雰囲気が変わった!洞窟の壁から水色の中に濃い青が波打つ壁になったんだ。僕達が人間界から魔界に行く時に使う空間のあの壁だ。


「ふふふ、ははははははははは!」


悠が突然、糸が切れたように笑い出した。


「悠、今度はお前か………」


レオパルドが頭を抱える。


「これで、これで俺の説が正しいことが証明された!俺は正しい!俺は天才だぁぁぁぁぁぁ!」


空間の中に悠の絶叫が小玉した。天才なのは分かったけど自分で言うのはどうなんだろ。


「ていうかこれ、どこに繋がってるの?!」


と悠に尋ねたら…………


「知るかー!」


一蹴されてしまった。ほんと、どこに繋がってるんだろ。天才なら教えて欲しいけど。


次元の穴からはすぐに出て別のまた暗い景色になった。多分石の壁なんだけどよく分かんない、なにしろ暗いから!


井戸から次元の穴に来た時と同じくらいの時間かけて降りると外に出た、同時に飛ぶ。


「あ、うわっ、あっと!」


危うく尻もちつきそうになったけどなんとか着地する。


「ひゃっ!」


「あっ」


「ひゃっほー!」


「ぐえ!」


悲鳴や歓声と共にみんなも着地する、僕の上に。


「ほー、ここが井戸の先かー」


「真っ暗、ですね」


「ここ、地球の裏側?」


「月が三つある、ということは…………」


僕に乗ったみんな好き勝手にここの風景の感想を言う。けど僕には首を上げられなくて周りが暗いってにと石畳しか見えてないんだ。


「あっのさぁ、さっさとどいてくれないかなみんなー!」


僕は怒りのせいで凄まじい声量でぶちまけた。


「あ、わりぃ。今どくわ」


豊太郎がちっとも悪びれない様子で降りる。それに続いてみんなも降りていく。


「はぁ、はあ。やっと、楽になった」


何人のも人間や人外の体重が乗ったせいで息が切れてる。


「申し訳ございません司さん、このお詫びはいずれ必ず…………」


エミリアがすまなそうに言う。


「とりあえず腰揉んで」


「は、はい」


エミリアが少し緊張しながら僕の腰に触れていく。


「ごめん司、辛くない?」


さなえが言う。


「腰も背中も辛いよ」


「だーじょいぶだよ、あまちゃん。それくらい若いんだからすぐ元気になるって」


絵里香ちゃんが笑って言う。


「悪いと思ってないからそうやって………」


なんかまた怒りのボルテージ上がってきた。


「すまんな司、肩揉むか?」


アマツカが背伸びして僕の背中に手を伸ばすけど身長のせいか届かない。


「すまないねー、アマツカ」


僕はしゃがんでアマツカの身長に合わせて揉んでもらう。その光景を見て悠がニヤッとした。こいつ、笑ってやがる。僕の疲れてる様を見て馬鹿にしてるんだ……………!だめだ、ここで怒ったらもっと疲れそう。

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