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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
二章 不思議な夢と狐流忍者の里
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三十話 凱旋と狐流忍者の里




その後僕達は里に戻った。


「あれが忍者の集会所か、すげー大きさだぜ」


豊太郎が額に手つけて屋敷を見ながら感嘆する。


「学校の体育館くらいありそうだよ」


絵里香ちゃんが言うと悠が説明する。


「違うな、その二、三倍はある大きさだ。なにしろ集落の二個や三個や軽く収容出来る容量だからな」


「大きい」


「ていうかそのサイズの建物が森にある時点でおかしいんですが、この森どんだけ広いんですか」


アリエルちゃんが呆れたように言う。


「ふん、半端に狭ければ一族の人間全てを収容できんからな。これくらいは当然だ」


耕太郎さんが腕を組んでえへんという感じに言う。


「もうさっさと中入ろうぜ、俺腹減ったよー」


豊太郎がお腹をさすって言う。


「そっか、豊太郎達は王都からずっと飛んできたんだもんね」


「オイラ達もずっと走ってきたけどまだまだ元気でござるよ?」


秀信さんが言う。


「そりゃああんた達は忍者だからな、何時間も飲まず食わずなんて平気だろ」


豊太郎が言う。


「ふん、勇者という割には意外と貧弱なのですね」


「てめえ、喧嘩売ってんのかっ!」


「まーまー、落ち着いてよ豊太郎」


耕太郎さんの言葉に豊太郎が掴みかかりそうになって止めることになった。


「頑丈なのは使い魔だけ、ですか」


伝助さんがヴァミラを見て言うけど…………


「ホータロー、オレもお腹減ったよー。早くご飯食べに行こーよー」


という言葉に目を丸くした。


「ふっ、頼めば夜食の一つや二つ出るでしょう」


伝助さんが前に進み僕達も集会所に近づく。するとベンチに一人の女の子が座ってるのに気づいた。


「呼留ちゃん?!」


「あいつ、呼留じゃね?」


豊太郎が言う。豊太郎は最初魔界に来た時一度会ってるんだっけ。


「うん」


「あいつ、なんであんなところに………」


そう言ったのは耕太郎さんだ。忘れてたけど二人の毛や服の色は同じ白だ。


「お兄ちゃん?!」


向こうもこちらに気づいて声をかける。その目は耕太郎さんに向いていた。


「お兄ちゃんて、やっぱり………」


僕は耕太郎さんを見詰める。


「やっぱりてなんだよ?」


豊太郎が状況が分かってないように言う。


「いや、だってあの二人色が同じじゃん」


僕は二人の似てる点を指摘した。


「あ、あ、あ、そういうことー?」


一瞬分からなかったようだけど理解出来てもらえたみたいだ。


「そういうことだ」


耕太郎さんが肯定するように言った。


「お兄ちゃん帰ってたの?!つっくんも仲間いっぱいいるしいつの間にこんなに増えたの?」


呼留が走ってきて言う。


「まあ、色々あって報告するのが遅くなっちゃった。ごめん」


「言いけど………」


僕は豊太郎達新たに狐流忍者の里に合流した仲間を紹介した。


「さなっち、ガルちゃん、えりちゃん、アンジュちゃん、エルちゃんにエミちゃんだね」


普通に聞いてれば分かるんだけど最後二つ紛らわしい。アリエルちゃんが下半分を取られてエミリアが前半分を取られたんだね。


「ガルちゃん?!」


「エミ、ちゃん………」


あだ名をつけられたことに驚いてガルムが声を上げてエミリアが唇に指を当てていた。二人ともあだ名を貰うのは初めてかな。


「呼留、どうやらこの方達はお腹を空かせてるらしい。食事を出してくれないか?」


「はーい!話つけてくるからちょっと待ってねー」


耕太郎さんに言われ呼留が集会所に入る。すると中にいた人達に話しかけられた。


「お戻りになられたんですね、勇者」


黄莉恵さんが言う。


「聞いてくださいよ勇者様ー!大きな音がしていたから行ってみたら家々が火事にあったように焦げて水浸しになっていたり氷漬けになっていたんです!今片付けをしていますがこれはいったい……………」


黄乃ちゃんの説明で僕はあっ、となり次にあちゃーと目を瞑った。火事になってから戻れなかったデメリットがここでも出るなんて……………………。


「お前達、ここを出るなと言ったのに出たのか………」


悠は違う意味で頭を抱えていた。


「あ、いえ違うんです!中には急いで行こうとした者もいましたがなにかあっては危ないからと音が止んでから行こうということになったんです。それで………、様子を見に行ったら………」


「そういうことか。すぐに報告に行かなかった俺達も悪い、気にするな」


「ありがとうございます!」


「ところでなんでここを出てはいけなかったでござるか?」


秀信さんが言う。


「お前、あの場にいたのに分からなかったのか」


今度は耕太郎さんが頭を抱えることになった。


「あのようなことが里であった際に里の者が巻き込まれないためですよ」


という伝助さんの説明で


「ああ、なるほど!」


納得していた。


「ねえねえ、みんなお腹空いてるみたいだからなんか夜食用意してかれない?」


呼留の呼びかける。


「あらごめんなさーい、気づかなくて」


黄莉恵さんが口を抑えて言う。


「いいんですよ、気にしなくて。それよりも………」


「お腹の膨れる料理ですね、分かりました」


黄莉恵さんが僕の言おうとした言葉を察して言う。


「よくぞ、戻られた勇者様」


老人会の吉影さんが声をかけてきて僕達は詳しく事情を説明することになった。




「里を襲う悪党を退治なさってくれただけではなく里の神様にお会いになるとは。なんとありがたい、なんと羨ましい」


座布団に座って説明を聞いた吉影さんが感動する。


「礼はいらない、俺達は俺達の役目を果たしただけだ。役目が終わったなら俺達は明日にでもここを去る、次の敵が待っているからな」


悠が少しだけ笑って言う。


「ならさっさと去れ。この里は勇者がいなくとも俺達が守ってみせる」


けど耕太郎さんが突き放すような言い方にその場が凍りついた。


「ちょっとお兄ちゃーん、里を救ってくれた人にそんな言い方なくない?」


呼留が耕太郎さんをたしなめる。


「ふん、伝説だかなんだか知らんが部外者など助けなど本当は借りたくなかったんだ。俺達だけでも十分戦えるはずだからな、とはいえ今回は俺達だけで解決できなかったから力を借りただけだ」


その言葉に僕達はなんとも言えない気分になった。


「僕達のこと、信じてもらえない人もいるんだね」


僕がそう言うと豊太郎が抗議するように言った。


「なんだよ、ちょっとは信じてくれてもいいじゃねえか」


「申し訳ございません勇者様、彼も悪い人ではないんです。ただ、他の者より迷信や伝説を信じなかったり用心深い性格でして」


吉影さんが頭を下げる。


「忍者とはそういうものだ、なにしろ敵や犯罪者のいる所の懐に飛び込むのだから。下手に他人を信用したら敵の作戦にはまって一貫の終わりだ」


耕太郎さんが持論を展開する。


「でも、もう少し優しくしてもいいではござらんか?」


「断る」


秀信さんが説得するけど間初入れずに断られてしまう。


「やれやれ、相変わらず強情ですね」


呆れたように伝説さんが言う。もしかして仕事の度に耕太郎さんが似たようなことして困ってるのかな。


そこで僕達の前に鍋が運ばれてきた。


「里の郷土料理の犬鍋です、どうぞいただいてください」


吉影さんが料理の名前を言う。


「へ、なんて?」


音は聞き取れたんだけど衝撃過ぎて思わず聞き直してしまう。


「犬鍋だよ、犬鍋」


豊太郎が説明する。


「犬ってあのワンワン鳴く犬?」


「その犬」


「え、ここって犬食べるの?飼ってるの?ペット?それとも野生?」


「野生らしいぞ」


「そ、そう………」


僕は重い気持ちで犬鍋を見詰める。


「話には聞いていたがまさかこれが………」


悠も同じような表情で鍋を見る。


さなえは無言で鍋を見る。


「なんか気持ちわるーい」


絵里香ちゃんがオーバーアクションで言う。


「ていうかドン引きです」


アリエルちゃんが蔑んだ目で言う。


「わ、わたしもこのようなものはちょっと………」


エミリアが首を傾げる。


モンスター達は人間界の暮らしが浅いからか犬はペットとの認識がなく難なく食べ始めてるけどガルムは箸が止まっていた。


「狼が犬を食うとは、まるで共食いだな」


アマツカがガルムを見て言った。


「貴様ぁ、わたしを愚弄するのかー!」


ガルムが怒ってアマツカに飛びかかった。


「おい、食事中だ!やめろ!」


あっちはほっとこう。


豊太郎を見ると普通に犬鍋を食べていた。犬鍋食べるとか中国人くらいじゃないの?


「君、それ平気なの?」


「慣れればどうってことないぜ、あんま旨くないけど」


旨くないんだ。


「お、お気に召されませんでしたか?」


吉影さんが遠慮がちに言う。


「もしかしてみんなもホーくんと同じで犬鍋苦手だった?」


「嫌なら食べなくていいんだぞ、代わりに俺が食べるだけだ」


耕太郎さんが犬鍋を食べながら言う。


「た、食べますよ!食べればいいんでしょ!」


ちょっと驚いたし遠慮したいけど身体を動かしてお腹が減ってるんだ、食べるしかない。


「う………」


肉を口に入れるけど豊太郎の言う通り褒められた味じゃない。なら野菜はどうだ。


「ぐえ」


なにこの雑草を適当に持ってきてぶっ込んだ的なやつ。肉も野菜もとても食べられたものじゃないよ。でもお腹減ってるしなぁ。はあ、仕方ない、食べるか。


僕達が嫌そうに食べるのを見て流石に見兼ねたのか呼留達が別の料理に差し替えてくれた。野菜だけ食べていたガルムもこれで救われたね。


食事を終えた頃、ちょうど家の片付けに行っていた人が戻ってきてその人達にも事情を説明すると集会所がワッと沸いた。たくさんの人に褒められたり感謝されるのって結構嬉しいんだなて感じた。王都での国をあげた祝賀祭はもっと大きかったんだろうな、ていうかあれ国っていうか王都をあげての祭だよね?



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