二十七話 ミミックと昔の勇者の話
宝箱でRPGと言えばミミックです、前回もやりましたがまたやります。
部屋を出て道を進むとヒソヒソ声が聞こえてきた。
「おい、ほんとにこの先に侵入者がいるんだろうな?」
「間違いない、あの声は俺達の仲間のやつじゃない」
「でもよう、なんだよあれは。いくらなんでも驚きすぎだろ」
「多分ミミックだろ、あの部屋にはミミックがいるからな。あの部屋の連中も最初来た時驚いて大声を上げていた」
声の違いからして三人くらいかな、僕達の声を聞いて歩いてきたんだ。
「ちょっと悠!見つかってるよ僕達、どうするの?」
僕は悠に聞いた。
「その心配は必要ない、見つけ次第先に仕留める。あの様子だとまだあの三人にしかバレていないようだからな」
そして問題の三人と対面する。
「あ、お前達はもしや………」
「撃て!」
「タテガミバルカン!」
マシーンアンデッドが言い終わる前に悠が指示を出す。レオパルドのバルカンが彼らを襲い、またたく間に爆発する。
敵の懐に潜入してるとはいえ不意打ちで相手を殺すのはやっぱりエグいな。
「さ、行くぞ」
何事も無かったように悠が言う。
道を進み別の部屋に到着、中にいるマシーンアンデッドを破壊する。
「おい、見てみろよ」
豊太郎の指した方を見るとさっきと同じ赤い宝箱がひぃ、ふぅ、みぃ、五つあった。さっきのと違って灰色のホコリや土ぼこりを被っていた。
「怪しい、怪しいでござるよこれは!宝箱がこんなにもたくさん、絶対おかしいでござる!」
秀信さんが興奮したように言う。分かってる、分かってるよそんなことは!ちょっと騒ぎ過ぎじゃないかな彼、馬鹿なの?馬鹿なのこの人。
「秀信はちょっと黙ってろ」
耕太郎さんが秀信さんを鎮める。
「これは全部ミミックなのだろうか」
ガルムが言う。
「開けない方がいいよね?ていうか開けちゃだめだよみんな、絶対だよ?!」
絵里香ちゃんが念を押すように言う。ダメだよそれは、逆に言っちゃダメだよ。言ったらフリだと思って逆にやるなって言われたことやる人いるからね?!
「よし、開けるか」
「うん!」
豊太郎とヴァミラが進んでいく。ほら、やっぱりー。
「ちょっと豊太郎くん聞いてなかったの?!それにはミミックが………」
絵里香ちゃんが豊太郎を止める。
「心配すんなって。噛まれないように手は直接使わないよ」
そう言うと豊太郎はスパナと長い鉄の棒を取り出して棒の方をヴァミラに渡した。罠と分かってても意気揚々と突っ込むこの二人、ある意味勇者だよ。
棒とスパナを箱の隙間に添え開けると同時にそれを突っ込む。
『かってー!』
二匹のミミックの悲鳴が部屋に響いた。
「なんだよお前、せっかくいい気分で寝てたのに起こしやがって」
豊太郎が開けた方のミミックが言う。箱の中から見える目が垂れ下がっていてさっきまで寝てたことを表していた。
「君、だあれ?」
ヴァミラが開けた方ミミックが言う。こっちはおとなしそうな雰囲気をまとっていた。
「俺は二宮豊太郎、この洞窟の新しい主だ!」
「同じくヴァミラ!世界を救いに来た勇者だ!」
二人が親指で自分を示して言う。
『ハハハハハハハハハ!』
すると二匹のミミックが笑い出した。
「なに言ってんだよお前ら」
「変なのー」
「なにが変だって言うんだよ、勇者のなにがおかしいんだよ!」
「そうだそうだ!なにもおかしくないぞ!」
馬鹿にされた豊太郎とヴァミラが怒りだす。
「変だよ、だって勇者の戦いは百年前に終わったはずだもん」
「勇者の出番なんてもうねえんだよ、ばーか」
まただ、また百年前の話だ。さっきのミミックも百年がどうって言ってただけ。僕達の前にも勇者がいたてのは知ってるけどそれが百年前の話だったてこと?
「それが違うんだなー」
豊太郎がもったいぶったように指を振った。
「へ?」
「どういう意味だよ」
「この世界はまたピンチになっててまたオレたちみたいな勇者の力が必要になったんだ」
ヴァミラが腰に両手を当てえっへんと言う。
「なんだってー!」
「それは大変だー!イービルクイーンが攻めてくるぞー!」
ミミック達はパニックになり部屋中を飛び跳ね始めた。イービルクイーンは伝説だと魔王的存在だから恐がるのも無理はない。
でもイービルクイーンは人間界で散々暴れてた時に僕達が倒したんだ。
「ごめん、それもう倒した」
僕はそのことを伝えた。
「へ、倒した?」
「じゃ、じゃあなんでこの世界に危機が来てるんだ?」
「違う人達が悪さしてるんだ 」
「暗黒ジャグラーズっていうんだが」
「ここだとアンデッドと機械の半身のモンスターなんだけど知らない?」
アマツカとさなえが言った。
「知らない」
「なんだそれ」
変だな、さっきのやつはマシーンアンデッドのことを知ってたのに。
「お前達は最近目覚めたのではないのか?」
耕太郎さんが聞く。
「ずっと寝てたけど?」
「もしかして他の部屋のやつらは起きてたのか?」
「ああ、前に来た部屋にいた一匹はこの洞窟をねぐらにしているマシーンアンデッドというモンスターが既に開けていたらしい」
「へえ、そうなんだ」
「知らなかったぞ」
「おそらく、彼らも最初に君の仲間を見つけて以降警戒して開けないようにしたのでしょう」
伝助さんが言う。アンデッドバーサーカーならミミックを殺すくらいわけなさそうだけど手間がかかるから開けないようにしたのかもしれない。
「へへっ、とんだビビりだな。世界に危機をもたらしてるやつらも大したことはねえや」
「ところで気になってたんだけど君達はいつからここにいるの?百年はいるみたいだけど」
絵里香ちゃんが聞いた。
「百年のさらに百年、二百年だよ」
「百年のも間何をしていたのでしょう?寝ていたのですか?」
エミリアが聞く。
「おう、そうさ。そもそも俺達はミミックの姿をしてるが人を襲うために生きてるわけじゃない。元はそうなんだが途中で変わったんだ」
「それはどうしてでしょうか?」
「二百年前に胸にドクロマークをつけた鎧のおじさんにお仕置きされちゃってね。そりゃあもう大きな薙刀の裏でペシペシやられたよ」
胸にドクロマークをつけた鎧のおじさん、前に戦ったボーンキングが鎧を手に入れた相手だ。昔のボーンキングと戦ったらしいけどあの人こんなとこにも来てたんだ。
「その後反省したら代わりにお宝を口の中に入れてくれてね、いつかここに変な機械を持った勇者が来たら渡せって言われたんだよ」
変な機械といのは多分Mギアのことだ、前の勇者も僕達Mギア使いて話は聞いてたけど本当だったんだ。
「で、百年経ってそれっぽい人が来たからあげちゃった」
「そのお宝は今どこにある」
悠が聞いた。
「さあ?あれからどうなったかなんて俺達知らないよ。俺達はお宝をあげただけだ」
「その勇者が返却しに来たことは?」
「ないよ、そのまま」
「お宝の特徴は?」
「金色の羅針盤みたいなやつだったぞ」
「羅針盤ってなんだっけ?」
僕は意味を理解できなかったので聞くと悠がはぁーと疲れたようなため息を吐いた。
「そんなことも分からないのか。古い方位磁針のことだよ、大航海時代に活躍したって歴史の授業で習っただろう」
「そうだっけ?」
そんなこともあったようななかったような。
「あきれたんだけど」
絵里香ちゃんが言う。もしかして、二人の学校てかなりの偏差値だったりする?
「どちらにせよ変な機械勇者といのは俺達のようなMギアを持つ人間で間違いないし俺達が使うはずのものがないとなると不便極まりないな」
悠が頭を抱える。
「別に俺達困ってねえからいいだろ」
豊太郎が言う。
「そっか、ならわざわざ探す必要もないよね」
「馬鹿かお前らは、これから困るかもしれないだろう。あー、頭痛い」
悠が閉じてる宝箱に座り両手で頭を抱える。本当に頭が痛そうだ。
「とりあえずこの洞窟の中を探してみたらどうです?もしかしたら洞窟の違う場所に返却されてるかもしれませんし」
アリエルちゃんが提案した。
「ならいいがな。ここにも用は無くなった、出るぞ」
「ちょっと待って、他の宝箱は開けなくていいの?」
僕は部屋を出ようとする悠を止めた。
「ふん、どうせそれもミミックだ。開ける必要はない」
「違うよ、それはほんとにただの宝箱だよ」
ミミックが言う。
「だとしてももう空箱に決まっている」
悠は座っていた宝箱を開けるとなんとも言えない表情になった。覗いてみると緑の石の埋まったおもちゃの手裏剣だった。
「行くか」
「うん、行こう」
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