二話 フレアドラゴンとデビルドラゴンの軍隊
てなわけで僕達のだいたいの状況は分かってくれたかな?
それじゃあ時間を進めよう。
「あのさ、上見た?」
僕はアマツカにさっき見た黒いドラゴンの群れと赤いドラゴンに乗った人達が戦う様を指して言った。
明らかにあれは普通じゃない。異世界なんだからこれが普通だと言われても戦闘を行っているドラゴンと人間の数が多過ぎる。黒いドラゴンは群れって僕は言ってるけど群れというには多くて軍隊に近かった。それと戦う赤いドラゴンとそれに乗った人も似たような感じだ。
「ああ、あれは恐らく戦闘だな」
「やっぱり………」
正直聞きたくなかったな…………。
上で飛んでる二種類のドラゴンはよく見るとどこかで見た気がする。確かおじさんに貰ったマカイターミナルてパソコンみたいな機械だ。あれにはこの世界のモンスターの図鑑のデータが入っていた。
黒い方がデビルドラゴン、赤い方がフレアドラゴンだ。デビルドラゴンは人間界で言う西洋の悪そうなドラゴンに近い感じかな、顔や羽がところどころ尖っていて凶悪そう。
フレアドラゴンはデビルドラゴンより凶悪さは抜けてるけど西洋のドラゴンに見た目が近いのは同じかな。
どうして僕のおじさんがこんな情報があるパソコンを持っていたかというと僕のおじさんと父さんも天界から来た天使なんだ。つまりその父さんの息子である僕は天使と人間のハーフってわけ。ほらもう、全然普通の中学生じゃない。まあ、この事実も最近分かったんだけど。
「ねえ、デビルドラゴンがあんなにいるってことは………」
僕はアマツカに言う。
「ああ、誰かが裏で操っている」
「やっぱり、暗黒ジャグラーズ?」
暗黒ジャグラーズというのはこの世界で一番の悪さをしていると言われる集団のことだ、僕達がこの世界に呼ばれたのもこいつらが原因と睨んでいる。
「その可能性はある」
「よし」
僕は戦闘状態になっている上を見る。
「行くのか」
「うん!なんにしても、動かないと始まらないからね」
アマツカの問いに僕は頷いた。
僕はMギアをかざして叫んだ。
「アマツカ召喚!」
「はあっ!」
白い羽生やした黄色い輪っかを頭に浮かばせた白い装飾の天使がMギアから飛んで行く。
さらに僕はもう一つの機械を取り出した。Mギアとはちょっと大きい機械だ、そのボタンを押してまた叫んだ。
「魔導演奏!」
僕の姿が上がフリフリな女の子みたいな衣装に変わってアマツカと同じように輪っかと羽根が出てくる。
これは魔導システムと言って向こうの世界である組織から貰った機械で天使である僕を魔法使いに出来るんだ。魔法使いと言っても杖から魔法を出すとかじゃなくてビームが撃てるようになったりパワードスーツみたいに肉体を強化する力があるんだ。
「ふん!」
「はっ!」
僕達は空高く飛ぶと、デビルドラゴンに思いっきり蹴りを入れた。
ドラゴンは空中でバランスを崩して落下していった。
「な、なんだ?!新手か?」
「白い翼と黄色い輪があるぞ!」
「こいつら天使か!」
「なぜ天使がここに!?」
僕達を見てフレアドラゴンに乗った人達が口々に言う。彼らは鎧をまとっていてどこかの国の軍隊みたいだ。頭に角があったり首や背中辺りから羽が生えたりしていた、いわゆる竜人てやつかな。
確かこの世界には人間とは違う人型の生き物がいくつかいて王国を築いてるって聞いたことがある。多分この人達もそこから来たのかな。
「ここは僕達が助太刀します!一緒に戦いましょう!」
竜人達の強さが分からない以上敵と間違われたらたまらない、ここは味方だって主張しないと。
「お、おう………」
「お前達は………我々の味方なのか?」
この人はかぶとの形が違うから隊長かな。
「はい!この世界を救うためにやってきました!」
「どこの天使かは知らぬが今は感謝しよう、力を貸してくれるか?」
「頑張ります!」
僕は隊長らしき人に言うけどその間もアマツカは光の剣やビームを出してデビルドラゴンを仕留めていた。
「はあっ!」
僕は腰の双剣を出してデビルドラゴンの火球を弾きながらドラゴンの皮膚を切り裂いていく。ドラゴンの背中は硬そうだけど魔導システムの剣ならあっという間に体の中まで刃が通ってしまう。
「うぇ………」
僕は切り裂いたデビルドラゴンの体から返り血を浴びて気持ち悪くなってしまう。
向こうの世界でも人外のモンスターと戦って相手の血が出るのは見たことあるけどドラゴンのは初めてでびっくりしてしまった。
「大丈夫か司!」
僕に気づいたアマツカが近づいてきた。アマツカもところどころ服や身体に血がついていた。
「ちょっと返り血が………」
僕は服についた血を見せた。
「安心しろ、この世界じゃ日常茶飯事だ」
そう言ったアマツカに肩に手を置かれ、僕はなんとも言えない気持ちになった。
なんだか、戦国時代に放り込まれたみたいな気分だよ…………。
周りを見ると軍隊の人がデビルドラゴンの火球をかわしながら槍でつついたり叩いたりしていた。みんな最初は槍でつついてたんだけどデビルドラゴンの体の横に刺さった槍を抜くのが面倒になったのかある程度距離が近いと叩きつけるのがメインになっていた。
デビルドラゴンの数が少なくなっていくと遠くからデビルドラゴンに乗った何かがやってきた。
徐々に近づいてきてその姿が明らかになって僕は驚いた。細い体躯、真っ白いカルシウム質な皮膚、頭蓋骨むき出し、というか完全に全身骨の怪物。それは…………。
「がいこつぅー!がいこつだよアマツカ、がいこつ!」
僕は興奮のあまり骸骨を指して叫んだ。
「骸骨って、向こうでも似たようなのと戦ったことあるだろう」
アマツカが言う。
「いや、だってあれは骸骨って言う割には骨太いしあばらの中に変なの入って、入って…………こっちの骸骨のあばらにも何か丸いの入ってるし!」
人間界にいた時にこっちの世界から迷いこんだモンスターとは違う見た目かと思ったけど肝心のあばら骨と目の奥にある光があるってとこは同じみたい。
骸骨のモンスターが鎌をかかげて話し始める。
「やいやいやい!てめえら、よくもオレサマの可愛いデビルドラゴン達を倒してくれたなぁ!このデッドボーン様が…………」
この喋り方、どうも話が長くなりそうだ。
「アマツカ」
「ああ」
僕はアマツカと合図するとビームの斬撃とエネルギーの弾を発射した。
「あうちっ!」
一撃で死なないのかデッドボーンを吹っ飛ばした。デビルドラゴンから落ちて地面に真っ逆さま、かと思いきや羽を生やして空中に戻ってきた。空中にいるけど骸骨に威厳は真っ逆さまだよ。
自分で飛べるのになんでデビルドラゴンに乗ってるんだろ、意味ないじゃん。
「てめえらなにしやがる!オレサマが話してる途中で攻撃するなんてヒキョウだぞ!」
デッドボーンが抗議してきた。
「このデビルドラゴン達を率いているのはお前か」
フレアドラゴンの隊長がデッドボーンに聞いた。
「確かにオレサマだが違う、オレサマはこの一部隊を率いてるに過ぎないぜ」
「つまりお前自身の背後にいる者がいるということか」
「そうだ、そしてオレサマの主の名前はボーンキング!暗黒ジャグラーズ幹部の一人にしてこのドラグエンパイアを支配すべく遣わされた存在なのダァァァァァ!」
デッドボーンが鎌を上に向けて叫んだ。その叫びは地の底から届く地獄の賛美歌のように聞こえた。
「暗黒………」
「ジャグラーズ………」
僕とアマツカは口が塞がらなくなった。
今やつは言った、暗黒ジャグラーズと。僕達が倒すべき存在かもしれないその一端がこんなところにいたなんて…………!
『はぁー!』
僕とアマツカは一斉にデッドボーンに斬りかかった。僕達の一撃をデッドボーンは鎌の柄で受ける。
「教えてもらうよ、ボーンキングはどこ?どこにいるの?」
「お前達の主の居場所を吐け!」
「キサマラに教える気はない、我が王が出るまでもないわっ!」
『ぐあっ!』
デッドボーンが僕達を押し返して刃を当てて来た。
「大丈夫か!」
隊長が心配して僕達に声をかける。
「怪我はないか?」
「ちょっと痛いですけどなんとか………」
「造作もない……」
隊長が槍を突き出してデッドボーンに言う。
「デッドボーンよ、いかにお前が強かろうとこの数相手には勝てまい!総員、火球撃て!」
宣言と共にフレアドラゴン達から一斉に火球がデッドボーンに飛んでいく。
「ちぃっ、目障りな!」
デッドボーンが連続で発射される火球をかわしていく。何度か攻撃を受けるけどどれも急所には当たってない。
「ショアッ!」
「うわー!」
デッドボーンがフレアドラゴン隊の一人に向かって鎌を振るう、隊の人は槍で防ぐけどデッドボーンの蹴りでフレアドラゴンごと吹っ飛ばされてしまう。
「怯むな!撃て!」
隊長が再び火球の発射を命令する。
デッドボーン は鎌を回転させながらそれを受け流す。次々吹っ飛ばされるフレアドラゴンの隊の人達。
「アマツカ、このままじゃみんなやられる!」
僕は焦ってアマツカに何か出来ない頼んでみる。
「任せろ、エンジェリックアロー!」
アマツカが必殺の矢をデッドボーン目掛け飛ばす。
「ウガッ?!」
不意を突かれた彼は人間でいう心臓があるあばら骨のところに矢を受けてしまう。
「ガァァァァ!苦しい、苦しい、苦しいィィィィ!オレサマが消え、うわぁぁぁぁ!」
デッドボーンが悲鳴を上げて叫ぶ。あばら骨に入った矢は中の光のところまで届いて彼を消滅にまで追い込んだ。
デビルドラゴンと違い、その命がなくなったデッドボーンは跡すら残さずその身体を消滅させた。普通のモンスターとは違うのかな。
「誰かは知らぬが助かった。よければ国王陛下に謁見してくれぬか?」
フレアドラゴン隊長が言った。
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