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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
一章 龍の国 ドラグエンパイアとデッドボーン軍
17/60

十七話 ボーンキングの最後、燃えろ!エンマジンブレード!

サブタイトルでネタバレしてますけどドラグエンパイアでの話はまだ続きます




司side


「隊長!敵襲です!暗黒ジャグラーズの大軍です!昨日より数が増えてます!」


リュウエン山の試練を受けた次の日、みんなとドラグエンパイアの国立博物館を見てるとジルドレイさんの部下が現れて言った。


「なんだって!すぐに準備しろ!」


「はっ!」


「僕達も行きます!」


「かたじけない」




フレアドラゴンに乗って現場に行くとそのすごさが分かった。


「真っ黒」


さなえが呟く。一面黒黒黒、黒!前がぜーんぶ真っ黒!あれ全部デビルドラゴンだね、上にデッドボーンが乗ってるのが何体かに一体いるけど。ボーンキングは…………見えないや。


「どうします?ジルドレイさん」


「各隊ごと編隊を組み離れすぎないようするとのことだ、昨日の惨劇で戦える人数は減ってるがやるしかない」


ジルドレイさんが作戦を言う。言い方からして作戦立てる人は別にいるのかな。


僕もアマツカやガルムと一緒に参戦するけど数が多すぎてやりづらい。


「このままだとやられる、距離とれ!」


アマツカの言葉で僕達は後ろに下がる。


「おい、わたしはどうする?あまり離れたら冷気が届かないんだが」


ガルムが足を止めて言う。


「いいから来る!」


僕はガルムのしっぽを掴んで後ろに引っ張る。


「スプレッドアロー!」


アマツカが矢をめいっぱい飛ばしてデビルドラゴンに当てる。


「はあっ!」


僕も双剣を合体させた弓矢でデビルドラゴンを吹き飛ばす。吹き飛ばすて額面通りじゃなくて首ごと頭が無くなってる、弓矢の一撃で溶けた感じかな。


「フリージングブレス!」


ガルムの冷気も届かないわけじゃなくてドラゴンの頭を何匹か凍らせていく。どんな生き物でも生き物として存在してるなら頭が使えなくなったら終わりだ。


「おい司、そろそろエンマジンから貰った力使わないのか?」


戦いが続くとアマツカが言う。


「なに言ってんだよ、切り札は最後にとっておくんだよ!下手に見せたら弱点バレちゃうじゃないか!」


「そう言って、先にやられたら元も子もないぞ!」


「うぐ」


言われて言葉も出ない。でもなあ、やっぱもったいないなー。


そうこうしてると向こうからズシン、ズシンと鈍い音が響いてきた。足音の主、ボーンキングが現れる。


「え、このタイミングで?」


「おい、お前がいつまで遊んでるから」


アマツカの小言は無視しよう。あーあー、聞こえない聞こえない。


「この数のデビルドラゴンにボーンキング、どうするつもりだ!」


ガルムの言葉が耳に痛い。


するとボーンキングが剣を構えた。え、このタイミングで?パートツーなんだけど。


「勇者様気をつけて、来るよ!」


ジルドレイさんの隊のゴローさんが叫ぶ、言われなくても分かってるけど一応ね。ボーンキングが剣を振り衝撃波を飛ばしたので僕達はしゃがんでよける。ドラグエンパイア軍の人達もフレアドラゴンを急降下させて避ける。距離もある上に盾を斬るて分かってるからむざむざ受けたりしない。けどデビルドラゴンやそこに乗ってるデッドボーンぽいのは衝撃波の巻き添えになって胴体が横から真っ二つになっていく。


「味方を巻き添えに!?」


「なんてやつだ…………」


ボーンキングの戦い方に僕達は驚きを隠せない。敵キャラが味方に非情って本当だったんだ。


散らばるのは赤い龍や人間の残骸ではなく黒い龍と骸骨の破片。骸骨はすぐに消滅したけど龍は残ってるからそのまま残って異質さを際立たせた、人間の赤じゃなくて緑の血がさらに異質さを上げていた。


「うぇ」


人間じゃなくてもバラバラ死体を見るのは初めてだけに口元を抑えた。


「大丈夫か司」


アマツカが心配して駆け寄る。


「な、なんとか………」


一昨日から僕達もドラゴンを斬ったりするけどあれはひどいや、ほんと気持ち悪い。肉の解体現場ならまだよかったんだけどな、いきなり真っ二つになってるからあれ。


「だがあれで倒すのが随分楽になったな」


「こわっ!なにそれ」


「さ、流石勇者様のモンスターは一味違うぜ………」


ガルムの言葉に背筋が凍った。ユーリさん、ちょっと関心してる場合じゃないっす。


「異界からの勇者よ!」


「うわ………」


いきなりボーンキングに叫んで指名されたので思わず声を上げた。


「今度こそ貴様らを葬ってくれる、出てこいやー!」


どこぞのタレントみたいな言い方で誘ってくる、あんたそんな性格だっけ。


「ど、どうするんだい?」


僕に言うゴローさんの声が震えてる。


「まあ行きますよ、元々そのつもりですし」


「し、死ぬなよ………」


「死にませんよ!ちゃんと倒してくるから待っててくださいよ」


ゴローさんの恐がりすぎな態度に喝を入れてアマツカやガルムと一緒に前に進む、道がだいぶ気持ち悪いけど。


「うわ、ボロボロ………」


ボーンキングの鎧を見て思わず呟いた。


「お前達がやったんだろ!」


ボーンキングが怒って言う。昨日アマツカが壊してそのままなんだ。


「その鎧直らないのか」


アマツカが言う。


「そんな便利なもんないわい!」


ボーンキングが言う。僕の衣装は多少破けても次に変身した時には直ってるんだけどな。


「貴様らのせいでわしのプライドはズタボロじゃよ!どうしてくれるじゃほんと!この鎧を手にするのにどんなに苦労したか」


ボーンキングがもうただのおじいちゃんみたいな喋り方になってる。


「苦労てなに?」


とりあえず聞いてみよう。


「それはもう長くなるんじゃがの」


あ、聞くんじゃなかった。絶対これおじいちゃんとかおじさんのわしの若いころはーなんて言う武勇伝自慢だよ。


「あれはまだわしが若りしころ」


案の定始まりはあんなだった。


「そう、その頃まだわしは今のように鎧など着ていなかった 」


まあ手に入れるのに苦労してたって言ってたしね。


「鎧のないわしはただの筋肉骸骨と言ってもいい」


筋肉骸骨ってなに?って思ったけどとりあえず聞き流すことにした。


「わしはその力であらゆるモンスターを倒し武勇を極めていた、人間を襲うのも例外ではない」


腕の太い骸骨が剣を片手に戦う様子が頭が浮かんだ。それはもうシュールとしか言いようがなくてただのギャグでしかなかった。


「そんな時じゃった、この鎧の主と出会ったのは」







「貴様か、この辺りで様々種族を襲っているっという骸骨のモンスターというのは」


巨体に髑髏の胸に象った鎧を纏った男が言った。男はこの山道を通る者はみなその骸骨に殺されると噂され命からがら逃げてきた者もいると聞きその骸骨を退治するために現れたのだ。


「確かにオレがそうだがだとしたら何の用だ」


まだボーンキングと呼ばれる前の骸骨が答える。


「貴様は血を流しすぎた、ゆえに死んでもらう」


男が薙刀を構える。


「ほう、貴様もオレの血肉になりたいようだな」


骸骨が笑って言う。その表情には相手を舐めた嘲りが含まれていた。


「ケーッ!」


骸骨が剣を片手に男に斬りかかる。だが男はそれを軽くなぎ払い、結果骸骨は地面に落下することになる。


「今のは…………、貴様なにをした」


叫ぶ骸骨の前に刃がつきつけられる。


「わからぬなら死ぬがよい」


男は薙刀を振り上げいよいよ持って骸骨の命が狙われる。


このままでは死んでしまう!そう思った骸骨は自らの目から光を放った。


「ううっ」


眩しさに目をつむる男、その隙に骸骨は逃げ去った。


光が収まり骸骨が逃げたことに気づいた男は悔しさに唸りを上げる。


だがこれで諦める男ではなかった、まだ近くに骸骨が潜んでるかもしれないと踏みくまなく探すことにした。


このまま男が立ち去るだろうと近くの物陰で隠れていた骸骨はそうでないことに気づくと恐怖に震えた。このままでは本当にやられてしまう、もっと、もっと遠くへ逃げなくては。


骸骨は物陰が利用して男をやり過ごそうとした、だが男は執念深くそのせいで骸骨は何度も隠れる場所を変えることになった。だがある時男に見つかってしまった、そこからはもう大変である。男と骸骨の追いかけっこ、追う者と追われる者の戦いである。どちらかが走る速さを緩めた方が負ける、そういう戦いである。


「ひぃ、ひぃ」


骸骨は恐怖に顔をひきつらせながら走った。もっとも彼にひきつる皮膚などないが。


「ふん、ふん」


男も息を荒くして骸骨を追う、少し無理をしているが正義感があれば多少の無理は押せるものである。


だが追いかけっこは突然の終わりを迎えた、日が落ちつつあったのである。日が暮れてしまっては骸骨を追うのも不便だ、そう思った男は山を降り近くの宿に行くことにした。


骸骨はほっとしたがいつまたあの男が襲ってくるか分からない、ゆえに彼をつけて不意打ちすることにしたのだ。


人間世界で言う和風の宿、骸骨は男がその宿に行くのを確認すると屋根から男の部屋を探す。男が部屋の中でくつろいでいるのを見つけると空いている障子から奇襲を試みた。


「シャァァァ!」


「ふん!」


男は立てかけてあった薙刀を振るい骸骨を吹き飛ばす。


「ガッ、ウッ」


ゴロゴロと転がる骸骨。


「な、なぜオレの奇襲が分かった?」


「ふん、気配でバレバレだわたわけが。お前は気づかれてないと思っていたようだがこちらはつけられてる時は分かっておったわ」


骸骨に問われ男が答える。


「く、お、覚えておれー!」


捨て台詞と共に骸骨が逃げていく。


そんなやり取りが七日七晩繰り返された、そんな時だった。


「ガハッ!」


男がいきなり血を吐いたのだ、骸骨は驚いて手を止める。


「ついに限界が来たか……………」


男が膝をつく。


「どういうことだ?」


「元よりわしは長くなかったという意味さ。以前までは賞金稼ぎの浪人を…………していたが、歳を取ってからは隠居してな……………。最近になって、は………病気までこしらえたと来た………………、そんな時村の連中に、お前の、ことで………困ってると聞いてな。村の連中には、ぐふっ!」


男がまた血を吐く。


「もういい、喋るな!分かった、お前のオレを倒す理由は分かった!だから……………」


骸骨は男に駆け寄る。


「ふ、ならもう人を殺さないと誓うか?」


「それは………」


言葉に詰まる骸骨、長い戦いで男に情が移りつつあったがそれ以上は出来ない約束だった。


「なら戦え。戦って死ぬかわしに殺されるか、選べ!怪物が人に情に絆されるなど甘いわ!」


男が立ち上がり薙刀を骸骨に向ける。


「ケー!」


骸骨は距離を置くと男の元へ走った。


「はあっ!」


迎え撃つ男、彼の薙刀と骸骨の剣が交差する。薙刀がかわされ男の鎧のない部分に骸骨の剣が刺さる。


「う…………」


男が痛みに顔が歪め膝をつく。


「おい、しっかりしろ!おい!」


骸骨が再び男に駆け寄る。


「お前の、勝ちだ。村人からの頼み、叶えられなかったな…………」


男が自嘲気味に笑った。


「人間を殺さないことは約束出来ない、だがオレはここを離れよう。少なくともお前の言う村のやつらの願いは叶う」


「半端なことを。まあいい、記念だ。この鎧を持っていけ、戦利品だと思ってな」


「いいのか?」


「わしの分まで、強くなれ、よ…………」


「おい!」


骸骨が叫ぶも虚しく男は倒れ動かなくなった。


「うおー!」


骸骨の悲しみの慟哭が山中に響いた。







「というわけじゃよ」


「あ、終わった?」


僕はボーンキングの回想が終わったのを確認した。


「ふわーあ」


アマツカが眠くなったのか欠伸をしている。


「ぐー、ぐー」


ガルムはいびきを立てて寝ていた。


「はっ、寝てない、寝てないぞ」


慌てて起きてキョロキョロする。いや、がっつり寝てたじゃん。


「貴様らっ、わしの大事な話を聞いていたのかー!」


「聞くわけないじゃん、年寄りの話て長いんだもん」


「せめて聞く側にわかりやすくしてくれ」


ボーンキングが怒りに震えたけど僕達意に返さない。


「鎧を壊しただけでは飽き足らず、話まで聞かんとはなんとも腹立たしい……………」


ボーンキングが拳を固める、いよいよ戦闘態勢かな。


「元よりこっちは倒す気で来てるんだ、余計な小話は退屈するだけなんだよね」


「ああ、遊びなど不要だ」


僕達も構える。


「ならばよろしい、死ねい!」


ボーンキングが大振りな剣を片手に走ってくる。今度は三人がかりだからやられるばっかりじゃない、ボーンキングの攻撃を横にかわして双剣で攻撃を仕掛ける。


「ぬん!」


「うわぁ!」


「くっ!」


ボーンキングが横に剣を振って吹き飛ばされた。


「いっつー」


僕は痛みに胸を抑えた。


「けど…………」


僕はMギアを構えて叫ぶ。


「エンマジンの力よ、我が天使に炎を授けよ!」


すると魔法陣がアマツカの下に現れ、そこから吹き出した炎がアマツカを包み込んだ。


「も、燃えているではないか!?死なないのか?!」


ボーンキングもアマツカの燃えっぷりに驚くけどそれどころじゃなかった。


「あつあっつ!」


Mギアが熱湯風呂みたいに熱くなって思わず手放してしまった。身体も段々熱くなってるし熱さの我慢大会が試練てこういうことだったの?


炎が止むと中から手足に炎をまとったアマツカが現れた。僕の体温もちょっと下がったけどまだ熱い。


「はぁー」


アマツカが徒手空拳で構える。


「そ、そんな炎で勝とうとは片腹痛いわ!」


ボーンキングがアマツカに向かう、声がちょっと震えてるけど気のせいかな?


「ふん!」


アマツカは剣をギリギリで見切って相手の腹に手のひらを当てた。


「うぼぁ!」


ボーンキングがこっちに吹っ飛んできたので避ける。


あれって、中国拳法のはっけいだよね?どこで覚えたんだろう。


「はー!」


起き抜けのボーンキングにアマツカが高速パンチを浴びせる。やっぱり戦闘スタイルが変わってる、エンマジンの力のせいかな。


「甘いわ!」


ボーンキングがアマツカの拳を掴んで振り回して投げた。


「ぐっ」


「アマツカ!大丈夫?」


僕はアマツカに駆け寄った。


「問題ない」


「う、ぐ、おのれ、ここまでわしをコケにするとは………」


ボーンキングがよろめく、血とか出てないけど中身がやられてるのかな。


「今こそ地獄に葬ってくれる!」


ボーンキングの剣からエネルギーが放出される。


「ちょ、えー!?」


僕はあまりに驚いて声を上げた。そのエネルギーはボーンキングの身長の何倍もあったんだ、しかも太い!


「大丈夫だ司、下がっていろ。狼、お前もだ」


アマツカが言う。


「分かった」


「あ、ああ」


僕とガルムがアマツカの後ろに下がる。


「はぁー」


アマツカが集中して両手を近づけると炎の剣ができた、こっちも長い!そして熱い!ただでさえ力の副作用で体温が上がってるのに炎の温度がこっちまで届いてくる。


「くらえー!」


ボーンキングが剣を振るう。


「必殺!エンマジンブレード!」


アマツカの迎撃、って必殺技の名前エンマジンから貰った力の剣だからエンマジンブレードてまんまじゃん!


二つの剣がぶつかり爆発する、爆風に乗って砂埃が飛んできて僕は腕で防御する。


「はあっ!」


爆風の中から炎の剣が上がって下に振り下ろされる。


「なにっ!?ぐわー!」


驚く暇もなくボーンキングが真っ二つに、爆発四散した。爆発が止んでそれを確認しに行くと二つに割れた鎧と筋肉の塊みたいな骸骨が残っていた。


「うわ、グロッ」


思わず声を上げる。骸骨と言ってもさっきまで動いて喋ってたものの死体を見るのは少し血の気が引いた。割れた身体の間に人間と同じ赤い血が流れていてそれが元々生き物だったということを表していた。


鎧が割れて黒鉄色の胴体が見えた、あばら骨の下に同じような色をした皮膚があって双剣で触ってみる。


カツン!金属みたいな音がした。


「これ、鉄なの?」


「みたいだな」


「ああ、間違いない」


ガルムが臭いをかいで言う、獣が言うんなら間違いないかな。


あばら骨の下に鉄、この人内骨格じゃなくて全身外骨格の生き物なの?


「勇者様ー!」


後ろからジルドレイさんの声がした。


「やりましたね勇者様!これでドラグエンパイアの危機は救われました!我々もなんと感謝したらよいか…………」


僕の側に寄ると涙ながらジルドレイさんが言った、そんな泣くことかなー。


「ここ一ヶ月暗黒ジャグラーズに襲われてたけどこれで仕事が楽になるよ、ほんとありがとう」


ゴローさんが手を出してきてその手を握った。


「もう仕事休んで遊んじまおうぜー!」


ユーリさんは既に宴会モードだ。


「ハッピーハッピー、きゅぴらっぱ」


ハリーさんに至っては謎のポーズまでしている。幸福を示すサインとかかな。


「よかったね、司」


さなえも笑顔で言った。


「うん、後でエミリアに知らせないとね」


シュウゥという音がしてボーンキングの身体が消える。鎧は元から彼の持ち物じゃないからそこに残った、剣も消えないからそれも人のものだったみたいだ。



今回もお読みいただきありがとうございます。今回でやられたボーンキングですが骸骨軍団の王だからボーンキングとかエンマジンの力で作った剣だからエンマジンブレードなど結構安直な名前付けしてます。ブックマークや評価もお願いします

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