十二話 ボーンキング戦初戦後の謁見
僕達は今日の戦いの報告をすべく謁見の間に来ている。
「おお、勇者様!よくぞご無事で、こ度の働きは国王としても大変嬉しく思いますぞ」
「ははは、それはどうも………」
「む、あまり嬉しくなさそうですが何かあったので」
苦笑いする僕を見て王様が言う。そこでジルドレイさんが戦いのあらましを報告した。
「それは大変じゃったのう。しかし勇者様でも撤退させるのがやっととなると暗黒ジャグラーズは本当に倒せるのじゃろうか」
王様の顔が不安そうなものになる。
「だ、大丈夫ですよ!僕達は勇者です、あれくらいの敵なんとかしてみせますよ!」
せっかく僕達を頼りにしてくれるのにがっかりさせてはいけない、強がりでも言っとかないと。
「ね、みんな」
僕はアマツカ達を見た。
「ああ。やつは倒す、それには変わりない」
「狼に不可能はない」
「わたしも頑張る」
「それは心強い、引き続き頑張ってくだされ!」
『はい!』
謁見の間での話はここで終わった。
謁見の間から少し進んだところで僕は口を開いた。
「あのさ、君達戦いの時喧嘩してたよね?戦いながらじゃなくて戦いに支障がレベルで」
「そう見えたのなら白状しよう、俺はこの生意気な狼が気に食わん」
アマツカがガルムを指して言う。
「貴様こそ天使の分際で偉そうに、所詮は神の下僕だろうに」
ガルムも負けじと言い返した。神の下僕て言うけど天界の天使は羽根や輪っかがあったり他の種族よりエネルギーの使い方が上手いてだけで別に神に仕えてるわけじゃないんだよね。
「どこで得た知識か知らんが天使は神の下僕じゃない。それにお前の方こそオスのくせに一人称がわたしとか変だぞ、性別くらいはっきりしたらどうだ」
アマツカが言う。というか君も少し前まで自分のことわたして言ってた気がするんだけど。
「ほう、人の一人称に文句があるか」
「あるぞ」
「ああ?!」
「ほう、やるか?」
「いいだろう、ならば表に…………」
一色触発、かと思ったけどガルムがその言葉を最後まで言うことは無かった。さなえがガルムを蹴飛ばしたんだ。
そしてさなえの指がアマツカの首に伸びる。
「喧嘩したら、締めるよ?」
さなえの言葉にガクガクと頷くアマツカ。今のアマツカとガルムは子供サイズに戻っているから中学生相手に歯向かうなんて出来ない。いや、さなえの方にも今の彼女には逆らえないオーラがあった。
「さなえー!うわ、なんですかこれ」
後ろから走ってきた王女様が地面に倒れたガルムに引いていた。
「なに?呼んだ?」
なにごともなかったように王女様に話しかけるさなえ。切り替えはやっ。
「あ、はい。謁見の間でのことなんですが……さなえ、元気ありません?司さんも妙に張り詰めているというか…………」
気づいていたか。それを聞いて僕達は苦い顔をした。
「アマツカとガルムが真面目にやらなかったていうのもあるんだけどあの敵、ボーンキングっていうやつにはそれだけじゃ勝てない気がして…………」
僕は事情を説明した。
「司、すごく傷ついてた」
さなえは言うけど魔法天使の衣装も戦闘時のアマツカ達も頑丈だから身体に大きな傷が残るってことはないんだけどね。
「そう、ですか………。なら、これからリュウエン山に行きませんか?そこには炎の神がいると言われてるんです、彼ならきっと何か勝つ方法を知ってるかもしれません」
「え、でも演奏会行くって…………」
「いいんです。さなえの、司さんの力になれればそれで」
「ありがとうエミリア」
さなえが王女様にお礼を言う。
「待って、いいんですか王女様!演奏会、楽しみにしてたんじゃないんですか?それなのに僕達と一緒にって……………」
僕の言葉が終わる前に王女様が僕の口に指を当てた。
「エミリア、ですよ」
ちょっと色っぽい王女様が言った。
「いや、だから…………」
「さなえはわたしの友達、司さんはさなえの幼なじみ、それだけじゃ不満ですか?」
「不満じゃありませんけど……………いや、ていうか君達いつからそんな仲良くなったのさ」
あまりの混乱にこの言葉を吐き出すのがやっとだ。
「つい昨日です」
「出掛ける前の着替えとか、買い物の時とかお風呂の時とかお風呂から出た後とか、色々話したから」
さなえが言うけどさっぱりわからない。女の子って……………こんな直ぐ仲良くなるものなのか。
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