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魔導奏者りりかさん魔界編  作者: 兵郎
一章 龍の国 ドラグエンパイアとデッドボーン軍
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十話 風呂、朝食、そして襲撃




異世界に来て初めて食べた夕食を終え僕は大浴場にいた、異世界なんだけど出てくる料理は夕食も昼食も僕が見知ったものでそれがどこか安心感をもたらしてくれた。


でもお城でっていうのはちょっと緊張するな、お風呂も大浴場で壁やバスタブが豪華な大理石で出来てるし。ファンタジー世界なのにシャワーがあって温度調整が出来るのはすごい、魔法の道具なのかな。 椅子も桶もシャンプーのボトルもプラスチックみたいで僕の世界となんら変わりがない。優れた魔法は科学と同じことが出来るってことかな。


「ふぅー」


身体を洗って湯船に浸かると一日の疲れがため息になって出ていく。


「いつつ………」


僕は身体の痛みに声を上げた。


「大丈夫か司」


アマツカが僕を心配して言う。


「ちょっと疲れが………」


異世界に来る前に今日既に怪物と戦っていて大分身体が悲鳴を上げていた。昼間は気づかなかったけど湯船に浸かるとその疲れが表面に出てくる。明日筋肉痛じゃないかなぁ…………。


「これだから人間は………」


ガルムが馬鹿にしたように言ってくる。


「モンスターの君に言われたくないし。だいたい、君は僕達と違ってこっち来て一度も戦ってないでしょう」


僕はやつに嫌味を込めて返した。


「ああ、フレアドラゴンとの戦いの時か。その程度で疲れるとはやはり脆弱だな」


城の噂で聞いたのかもしれないけれどやっぱりこの言い方ムカつく。


この時間は王様の手配で僕達以外風呂場にいる人はいない、勇者としての高待遇だけどこの状況には安心出来る。銭湯とか温泉に行ったことないからもしそういう場所だったなら緊張して安心できなかったかもしれない。


お風呂から出て脱衣所に行くと籠に銀色のシルクのボタンで止めるパジャマと替えの下着があった。一応向こうの世界から着替えとかも持ってきて置いておいたはずなんだけどそれとは別に着替えがあったんだ。勇者だからパジャマもくれるなんて、なんて高待遇なんだろ。勇者っていいな。


着替えを終え脱衣所を出ると自分の部屋に向かう。でもお城だからかな、危うく迷子になりかけたよ。


「おい司、この道で合ってるのか?」


曲がり道を進むとアマツカが言う。


「え、違うの?」


「どうも違うような気がするが」


アマツカが腕を組んで唸る。


「まあいいか」


細かいことは気にしないアマツカだった。


「ねえガルム、この道でほんとに合ってる?」


僕は不安になり隣を歩く狼に聞いた。


「間違ってるぞ、さっきの道は左だ」


「マジで………」


僕は気付かない内に道を間違えていたことにあぜんとした。


今来た道を戻って正しい道を進むけどその後も何度か道を間違えてガルムに指摘された。


しまいには


「お前達疲れてるんじゃないか、部屋に着いたら寝た方がいいぞ」


なんて言われる始末。僕達、本当に疲れてるじゃないかな。




部屋に着くころにはもう日も落ちていたけれど廊下には明かりが点いていた。油で燃やすランプじゃなくて自動で点く魔法のランプなのかな。どこかで誰かが操作してるのかもしれないけど暗闇じゃないのは安心出来る。


ベッドにつくと僕は倒れるようにうつ伏せになると深く沈むように眠りについた。アマツカがどうなったのかはわからない。






「うーん……」


朝目覚めて起きるけど身体の節々から痛みが出ていた。やっぱり筋肉痛だ、これで敵襲とか来たら大丈夫かな。


アマツカを起こすけど彼もどこか調子が悪いみたいだ。


着替えを済ませアマツカと食堂に行くと朝ご飯のお皿がいくつか並んでいた。さなえやガルムはもう席についており僕達が最後だ。


朝食はご飯に目玉焼きなどが並んでいて明らかに日本風の食事風景だった。異世界って、なんだろう。


「おはよう」


「おはよう」


さなえと挨拶を交わす。


「おはようございます勇者様、昨夜はよく寝れましたか」


王様が言う。


「まあなんとか…………」


正直ボロボロだけど人前で事実を言うわけにはいかず誤魔化してしまう。


「司さん、本日はいかがしましょう」


王女様が言う。


「うーん、今のところ予定はないですね」


「でしたら演奏会に行きましょう、本日は城で楽隊の演奏会があるんです」


「どうする、さなえ?」


「わたしは大丈夫」


「同じく」


とガルム。


「敵が来なければ行ってもいい」


アマツカが言う。


「じゃあ行ってもいいかな」


「ありがとうございます!勇者様達もきっと楽しんでくれると思います」



僕はゆっくり朝食をとりながら演奏会に行くのかなーて思ってたけどそうは行かなかった。いや、行くはずなかった。


「失礼します!」


ジルドレイさんが食堂に入ってきた。


「なんじゃ朝から騒々しい」


朝食を邪魔された王様はジルドレイさんを睨みつけた。うわ、こわ。僕達にはあまり見せない顔で萎縮しちゃうよ。


「も、申し訳ありません。しかし早急にお耳に入ればねと」


「なに?!」


けど次のジルドレイさんの言葉に王様の目に警戒心が表れた。


「デビルドラゴンの大軍です、暗黒ジャグラーズが攻めて来ました!」


その言葉に僕達も驚いた。 そもそも僕達昨日敵の部隊の一つを全滅させた、てことは本隊にその部隊は帰らない。そうなれば本隊は昨日の部隊が誰かが倒したてことが分かって援軍を差し向けるのは当然てことだけど…………………。


「ばかもん!それならそうと先に言わんか!」


王様が怒鳴って言う。


「申し訳ありません…………。今すぐ迎撃準備に入ります!」


ジルドレイさんが慌てて部屋を出る。


「勇者様、すみませんがあなた方にも戦ってもらいたいのですが」


王様に言われて僕は慌てた。


「え、ちょ、待ってください!今ご飯食べてるんで!戦うにもエネルギーがないと…………」


「う、うむ。そうですな」


「いいの?司」


さなえが言う。


「戦いの途中でバレたらやばいじゃん、だから食べるの」


「ふーん、ほんとに?」


疑り深いさなえの目。僕の身体が本調子じゃないって………………バレてないよね?


「ほんとだよー、だからさなえも今の内に食べとこっ、ね?」


「まあいいけど」






僕はご飯を少しだけおかわりしてから竜小屋でジルドレイさんと合流してフレアドラゴンに乗って現場に向かう。このドラゴン達は調教がちゃんとしてあったりジルドレイさんがちゃんと乗り方を教えてくれたので振り落とされたり乗るのに困るってことはなかった。


「あそこです!」


ジルドレイさんが指さす方に赤や黒の炎が飛んでいるのが見える。幸い、まだ来たばかりで街は襲われてない。二つ気になる点を上げれば昨日僕が来た時より交戦してる高度が低いってのと昨日のより敵と王国側の数が多いってことだ。


気になる二つはこの際置いておこう、今は戦うことに集中しないと。戦場についた僕とさなえはMギアを構える。


『召喚!』


かけ声と共に人より大きな姿になったガルムとアマツカが駆ける。


「すごい、これが勇者の力…………」


「いっけー!」


「頑張れ」


ジルドレイさん達がアマツカとガルムを応援する。


「いや、ボケっとしてる場合じゃないだろ!お前達も行くんだよ!わたしはここで二人の護衛をしてるから」


『了解!』


ジルドレイさんが慌てて隊員達に命じる。


「フリージングブレス!」


ガルムの口から冷気が飛びデビルドラゴン達が氷漬けに遭う。こうなってはもう身体も心臓もカチンコチンで生命活動なんてのはないに等しかった。


「スプレッドアロー!」


アマツカが矢をたくさん構えて飛ばす。エンジェリックアローの改良型で一発一発の威力は低いけどデビルドラゴンみたいな弱くてもたくさんいる相手がいる時にはぴったりだ。ぶっちゃけ初めて見たけど。


一人と一匹の活躍で一気にデビルドラゴンが減っていく。その時、戦場の向こうから何かが近づいてくるのが見えた。

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