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サヨナラ、ばいばい

作者: カゲマヤ

ーキーンコーンカーンコーンー

H27.6月29日

無機質な音がこの社会科教室を劈く。3限の倫理の授業だ。先生はまだこられていない。

突然だが俺はリストカットをしている。いわゆるリスカというやつだ。男がリスカをしているのを聞いたことはないがどうでもいいだろう。周りに合わせて行動をする。そんな苦痛に比べればこの痛みなど、「海はなんで青いのか」という疑問くらいどうでもいいと思う。もうすぐ夏が来るのか...あの夏が。話は変わるがこれは日記だよ。なんで付けてるかも後々言えたらいいと思う。あー倫理の授業か。最悪だ。今回も生きる価値について考えさせられる。俺はこの授業への偏見を果てしなく持っている。何故かって?さっきも言った通り、自分を見失ってしまうからだ。おっと、先生がこられたようだ。この続きはまた後で書くことにするよ。


7月1日

俺は馬鹿か。なんてくさい文章を書き残してあとを書き忘れるん

だ。恥ずかしい。それともう一つ忘れていた。この日記の存在意義だ。何でこんなことをしているのか、それは記さないと自分を見失ってしまうからだ。今日もまたくさい文章になりそうだ。書くこともないし今日はこれくらいにしておこう。


7月2日

今日は俺の町で花火大会があった。「人がゴミのようだ」とは言ったものだ。この町の人口の倍は見物客がいただろうか。専ら自分には仲の良い人はおらず、ましてや彼女なんて作ったら緊張して死んでしまう。だから今日は1人だ。いや、訂正をするいつも1人だ。それはさておき花火はとても綺麗だったよ。特にナイアガラのやつ。虚空に響く轟音、まるでアメリカに行き、実物を見てきたようだった。本当はテレビでしか見たことはないんだけどね。

でもその時同時に1滴の不安が俺の身体に染み渡った。言葉に出来ない、そう水の味みたいなそんな気分を感じた。そして俺は過呼吸になり救急車で運ばれたとか何とか...今は無事だよ。だってこれを書いているくらいだから。


あの時感じた息苦しさは何だったのだろう。ふと過去の自分が気になり日記を捲った。


H26.6月29日

死にた死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。


うわ!なんだこれは俺はメンヘラか?


6月30日

少し落ち着いた。病名は社会不安障害とうつ病だそうだどうしたらいいんだ。


何だって、俺は病気を持っているのか。なぜ俺は覚えていない。


7月1日

苦しいよ。周りの視線が怖い。その視線は絶対に哀れみを持っている。なんでだよ。そんなに俺おかしいのか。ああ死んでしまいたい。そして手首を切ってしまった。生々しい傷からは血が流れだしていた。俺にはそれが赤い涙に見えた。最近泣いてないな。

そう、心は砂漠のよう。そして五感は何も無い深海にいるよう。


そうだ俺は病気になって悩んでいたんだ。でもどうして忘れている。


7月2日

花火大会が今日はあった。美しいのかもしれない。だがそんな感性すら今の自分には存在しない。そうだこの薬を飲めば...


思い出した。俺は大量服薬によって都合よく嫌な記憶を失ったんだ。


H27.7月3日

去年の今頃の日記を俺は捲っていた。そこには全く別人格の自分の姿が写っていた。そして今に至る経緯を俺はすべて知った。

倫理の時間の先生の言葉か蘇る。「人はなぜ生きるのでしょうか」

ああ、また自分の存在意義を探さなければならない。そう俺は病気を患っているんだ。来年の今頃俺はどんな姿でこの日記を捲っているのだろう。



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