人生の終わり
きねんすべきにわめだよ!
ああ…最後に良いものを見れた…
俺は遠くなっていく意識の中幸せな気持ちで旅立った。この世に未練があるとすれば、パンツは本当に盗んでいないという事だけだが、シスコンの俺にとって人生最後のあのピンクの風景は、俺の人生を価値あるものだったと認めてくれる素晴らしいエンディングだった。いや、ホントによかったよ、うん!お父さん、お母さん、今までありがとう。僕の人生は幸せだったよ…
それからどれだけの時間がたっただろうか。カップヌードルが出来るかどうかと言われると難しいが、シコれるかと言われたらシコり切れる。それぐらいの時間だったのではないかと思う。
だがしかし、今の俺にはそんな時間差は些細な情報でしかない。
「おい!なんだよここ!」
視界に広がるのは中世の風景!ここは妹の部屋だったはずだ…その時、俺の脳は久々に覚醒した。脳細胞一つ一つが冴え渡り、ありとあらゆる可能性を打算してみる。その結果に導き出された解はただ一つ!ものの見事な異世界転移!QEDだ!
空を見上げても高層ビルはおろか電柱の一本もなく、地面を見下ろしてもアスファルトはなく、端正に敷き詰められた石畳。いやいや、これで驚いて貰っちゃ困りますよお嬢さん。周りに居る人をご覧下さい!右奥で喋っている4人組は騎士ですよ!騎士!この調子なら女騎士とか間違いなく居る。是非とも魔王に攫われて頂きたい。ん?もしかしてこの流れ魔王とかも居るのか?この流れ完全にあれだぞ!俺は実は勇者の血統を持っているだとか、100年に一度の英雄だって判明するパターンだ…
「ふふふ…そうか…」
わざとらしく右手を額に重ねて呟く。その右手を空気を撫でるような仕草でゆっくりと天に掲げながら叫ぶ。
「ハハハハ!異世界よ!俺は来たぞ!異世界行ったら本気出す!フハハハハハ!」
あれ…そういえば妹が居ないな…