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我儘王女は目下逃亡中につき  作者: 春賀 天(はるか てん)
【小話】~サイドストーリー
57/80

【小話④『契約』~リルディアの秘密より】

【小話④】




「ーーあんた、職業間違えているんじゃない?」


「何だ? 藪から棒だな」



15時を回る午後のお茶の時間。


沢山の菓子に夢中になっている娘には聞こえないように私達は少し離れた所から小声で話していた。



「……前から思っていた事だけれど、随分、子供の扱いが上手いじゃない。


リルディアは自分が納得出来れば聞き分けのよい子だけれど、そうでなければ、他人の言う事など全く聞かないとても難しい子だわ。まして自分の楽しい事を他人がやめさせるなんて、かなりの至難の業よ? それなのにあんな意とも簡単に納得させてしまうなんて。


しかも子供の言動や行動を頭から否定せずに敢えて肯定しつつ、しかし然り気無く、本人が納得してやめるように仕向けさせる。


……あんたって、頭の中も筋肉で詰まった戦しか能の無い、単細胞の『馬鹿男』だとずっと思っていたけれど、実のところは人心術にも長けている結構、賢い奴だったのね? ーーふうん? 意外と便利な長所もあるんじゃない」



私が珍しく誉める?と、この『馬鹿男』は娘の姿をその細めた目に映しながら壁に寄り掛かり、腕を組んだままの状態でフッと笑う。



「ただの“単細胞の馬鹿”に国王など務まるわけがなかろうが。国が直ぐ様傾くぞ? ーーまあ、そういう国に攻め入るのは非常に楽だけれどな」



それを聞いて私は呆れた声を掛ける。



「どうりであの第一騎士団隊長が、あんたに言い様に振り回されているわけね? あ~あ、可哀想に」


「……ククッ、振り回しているのは、なにも私だけではないのだがな……」



隣の『馬鹿男』が何かを呟いたようだが、あまりにも小さな声だったのでよく聞き取れない。


ーーまあ、どうでもいいか。



「だけどまさか諸国から最も畏怖されている暴君が、実は大の子供好きで、しかも非常に子供の扱いの得意な子煩悩な父親だなんて、誰が信じられるかしら?


私もリルディアが生まれてくるまでは全く思いもよらなかったわよ。だってあんたは確かに世間の評判通りの【最低の酷い男】だもの」



敢えて“最低の酷い男”を強調した言葉にしても、この男にはそんな嫌味など一切通用しない。分かってはいるがそれでも懲りずに言ってやる。この『馬鹿男』にはっきりと物言えるのはどうやら私だけーーらしいから。


そんな『馬鹿男』は娘から私に視線を移すと首を横に振る。



「エルヴィラ、それは違う。お前の思い違いだ。私はお前と同じで子供など大して好きではない。しかし王家に生まれた者として私の代で血を絶やすわけにはいかぬから、王家の長の責務として妃を娶り子は成してはいるがな。私が子煩悩であるのはリルディアだけだ」


「はあ? 言っている事が矛盾しているんじゃない? 子供が嫌いならどうしてリルディアだけはいいのよ? あんたには王妃との間に三人も娘がいるでしょう? 上の三人の娘達はあんたには全く似ていないリルディアとは違って、どの娘もあんたによく似ているわよ? 実の娘はリルディアだけではないのに、あんたはどうしてリルディアだけを“特別視”するのよ」



ーー私は、この男が他にも実子である娘が三人もいるのに、市井出の私が後から産んだこの男の第四子にあたるリルディアだけを溺愛する、その『真意』が全く分からないので、この機会にその疑問をぶつけてやった。


そもそもこの男のせいで、私もリルディアも王妃やその娘達からの風当たりは暴風の嵐の如く激しい。私も同じく子を持つ『女』として一応、王妃の気持ちは分かっているつもりだが、全ての元凶はこの『馬鹿男』だ。私にはその『真意』を聞く権利がある。


するとこの『馬鹿男』は娘に心配を掛けたくはないので、私達が喧嘩をしているような会話は聞かせたくはないと言って、娘には聞こえないように小声で話せと、己から言っておきながら、それをすっかり頭の中から失念しているのか、真顔で私を見据えながら事もあろうに自ら大声を上げる。



「そんな事は決まっている!! リルディアはお前が産んだからだ!!私の何よりも愛してやまない女が命懸けで産んだ、私の血を分けた子供が愛しいのは当たり前だ!!」


「ち、ちょっと!? 声!声、大きいから!!リルディアに聞こえるわ!」



ーー見れば、リルディアが驚いた様子で、その場に固まったままこちらを見ている。しかしこの男は娘のそんな様子すら目に入っていないのか、真っ直ぐに私を見つめたまま、全く視線を逸らそうとはしない。



「……エルヴィラ」



そして私の名を呼ぶその声音に思わずギクリとする。


ーーそれは、とても切なく情の込められた色香のある低く甘やかな声色だ。突如として私の頭の中に“警鐘”が鳴り響く。



ーーヤバい。これは非常に不味い事になった。



私は少しずつだが微妙な距離を確保しつつも、『馬鹿男』からの突き刺すような自分に向けられる視線から逃れるように俯いたまま直に思考を全てその一点に総動員させてこの後の対策を巡らす。  


しかもこの“流れ”は長年の経験上からいって、私にとって非常に不味い展開だ。



ーーそういえば、私もすっかり失念していたが、先月はこの『馬鹿男』が戦の視察でひと月、城を空けていたから、今月はその2回分が加算されており、今月分と合わせれば、計4回……


……それは私と『馬鹿男』との間に交わされたーー『契約』



あれはちょうど私がリルディアを懐妊した頃、この『馬鹿男』は私にその“話”を持ちかけてきた。



*****



「はあ? 『契約』ですって!?」


「ーーああ、そうだ。お前に子が出来た以上、その体に負担はかけられん。ーー月に2回だ。お前が抵抗せずに大人しく私の“夜の相手”を務めるならば、私は今後、無理矢理、お前を抱かない」


「い、いやよ!!私はあんたが|大嫌いなのよっ!? それなのに大人しく身を差し出せだなんて出来るわけがないわっ!!


あんたには王妃がいるじゃないっ!王妃はあんたの正真正銘の奥さんなんだから“夜の相手”は自分の妻にしてもらいなさいよっ!」


「エルヴィラ、落ち着け。つわりが酷いのに、そんなに叫んだら、また具合が悪くなってしまうだろう?」


「誰のせいだと…うっ…ぷ」


「ほら、言わん事ではないーー大丈夫か?」


「おぇっ……ちょ、背中擦んないで、さ、擦られたら……は、吐きそう」


「あ、ああ、そうか。ーー悪い」


「大丈夫か?」


「っぷ……え、ええ、なんとかね」


「エルヴィラ、お前はもう、私の“妻”なのだ。それは生涯変わらぬ事実だ。そして今、お前の|腹の中には私の子が生を受けている。


お前は私から逃げられないし、決して逃がさない。ーーだから諦めて妥協しろ。私はもう、お前以外の女は抱かない。ーーいや、抱けない。私が欲しい女はただ一人、ーーお前だけだ。


だがお前が私の申し出を拒絶すればーー今まで通り、私はどんなにお前に拒絶され抵抗されようと、お前を抱きたい時に抱く。私の“性の欲求”は今後もお前一人が受けるのだ。


抵抗する女を無理矢理犯して屈服させるのは楽しいが、私はお前を愛している。出来る事ならもうお前には手荒な真似はしたくはない。だから私の“申し出”を受けて欲しい」



「……嫌がる女を犯して屈服だなんてあんたは本当に“野蛮”で“最低”よ。この野蛮人の『エロジジイ』」


「フッ、『エロジジイ』かーー確かにな。私は女が好きだーー今はお前だけだがな」


「…………」


「……本当に月2回だけ? 本当に……月2回だけ大人しくあんたの相手をすれば、あんたは私を無理矢理、襲ったりはしないのね? でもあんたの性分で本当にそれを『約束』できるの?


私はあんたに1週間毎日、日中夜関係なく襲われ続けて、体を壊して10日以上も寝込んだ事は、今だって恨んでんのよ? 私は酒場の娘だけれど決して商売女じゃなくて、まだ16の生娘だって言ってんのに。


あんたも一回、……いえ、七回ね。自分よりもはるかにデカい体躯の巨大熊に襲われ続けて見なさいよ。すっごい恐怖をそれこそ生きながらにして体験できるわよ?  


ーーったく、私がそこらの並みの|精神力の女だったら、それこそ1日で廃人だったわ」



「ーーまだ、あの時の事を恨んでいたのか。ーーあの時は本当に悪かった。信じろと言うのも今となっては無理な話ではあるが、それこそ当初はあんなに早くお前に手を出すつもりでは無かったのだ。お前はまだ16で生娘だというのも分かっていたからな。


だからあと1、2年はお前には手を出さずに、私に慣れさせる事だけを優先に待つつもりではいたのだがーーお前の魅惑的な『誘惑』には、私の“男”の部分が大いに刺激されて到底、我慢することが出来なかった。気付けば、理性の(たが)が外れて年甲斐もなく暴走してしまっていたなーー」


「ちょっと!聞き捨てならないわね!!誰が『誘惑』したですって!? あんたを『殺したい』と思うことはあっても『誘惑』したいだなんて微塵にも思った事など無いわ!!妄想も大概にしてよっ!!」


「ククッ………お前に『誘惑』する意思は無くとも、お前のその全てが“男”を『誘惑』するのだ。ーーまあ、女のお前には分からんだろうが」


「そんなもの知るかっ!!ーーううっ、どうして私の周りにはこんな男ばっかり!!」


「それはお前が『傾国の美女』だからだろう? ーーだが、確かに、10日以上もお前を動けなくさせてしまった事は、さすがに私も反省した。本当に申し訳ないと思っている。医者からもお前を「殺す気か」と散々怒られた。もうあんな真似は二度としない。だからもう許してくれ」


「は? 馬鹿言わないでくれる? あれからまだ一年も経っていないのに、そう簡単に許すわけが無いでしょ!!あの時は私がどれだけ恥ずかしい思いをしたと思ってんのよ!!


いくら女の医者だとはいえ、あんな自分でも見たことのないところまで診られて薬まで入れられたのよ!? しかも暫く出血が続いて痛くて本当に歩けなかったんだからっ!!あの時ほど自分が女だということを心底呪ったわよ!!


しかも今、私のお腹にいる子はあの時の私の恐怖の7日間の間に出来た子なんですってよ!? 私、この子を産んでも愛せる|自信な……い……うっ? うぅ……ぷ……おぇ」



「エルヴィラ!!大丈夫か!? ーーああ、これは駄目だな。すまん、興奮させすぎた。直ぐに医者を呼んでくる!」


「……っぷ……ま、待って? うっ!?…ぅおえぇぇぇーーー」


「エルヴィラ!? 吐け!全部吐いてしまった方が楽になる!」


「……うぇぇっ……だ、だから背中擦んないで……ぅっぷ」


「し、しかしーーー」


「い、医者は呼んで……ぅえぇっ……でも、その前に……っ ーーあんたと『契約』するわ。あんたの忍耐力は全く……ぅっぷ信用してなどいないけれど、少なくとも私の体の負担が減るなら、それに越したことな……い……ぃ!? うっ!……お、おえぇぇぇぇーー」


「あ?……あ、ああ、『契約』は成立だな。それよりもう話すな体に障る。ーーおい!!誰か!そこに控えているか!? 医者だ!!直ぐに医者を呼べ!!」



*****



そして私はこの男との『契約』を選んだ。


よく考えてみれば結果的には、『契約』をしたほうが私には好都合であり、どっちにしろ無理矢理されるよりは予め回数が決まっている分、私の心労も少なくなる。


ーーと思っていたのに、相手の方が一枚上手であった事に気付かされた………



ーーその後、『契約』の補足と言う事でその“月2回”が戦や遠征でやむを得ず流れた場合は、その流れた回数を翌月に加算すると悪怯れもせずに言われた時は、


「それじゃあ『約束』が違うわ!“月2回”じゃないじゃないっ!」と、反発するも、この男は「それでは『契約』は無効にしても良いのだな? ーー私にしてみれば、その方が好都合だが」などと、ニヤリと笑いながら(のたま)ったので、私はその『補足』も受け入れるしか無かった。


私はこの男をよく『馬鹿男』と呼んではいるが、本当は“頭の回転の早い賢い奴”だったのかと、今の今になって認識させられている。


それはさておきーー今は目前(もくぜん)の“危機”を何とかしなくてはーー



私は意を決して恐る恐る顔を上げると『馬鹿男』の“欲情”ダダ漏れの熱を帯びた淡い青色の瞳が、まるで炎を宿《すように私を直視している。


ああ、これは冗談抜きに本当にヤバい……下手に刺激をすればこの男の理性が吹っ飛んで、最悪な結果ーー私は自分の娘の前で“犯される”!!


それにしてもどうしてこの男はこんな日も高い内から“発情”してんのよ!? ーー確かに前月は相手をしてはいないから欲求不満なのかもだけれど、それにしたって、いつもなら夜まで待てるじゃない!


男の性欲なんて女の私には分からないけれど、そんなにヤリたいのなら、出向いた先の娼館にでも行って、そこの女性達に性欲処理をしてもらえばよかったのよ。


ーーはっ、まさか、あの『キス』!? “あれ”がこの男に火をつけた『原因』なの??



「エルヴィラ……」



更に懇願するように一層甘く囁くような色香の深まっていくその声色に背中がゾクリとして慌てて、この男の元より存在するのかも分からない『理性』を呼び戻そうと必死になる。



「え~と? アレイスト? 前をよく見て?」



「……もう、見ている。お前が『私の名』を呼んでくれるのは久方ぶりだな………」


「そ、そうだったかしら?」



ああ、目、目が据わっている……“名前”で呼ぶのは不味かったか??



「ああ、……お前が前に『私の名』を呼んでくれたのは、先々月の“ベッドの中”だった」



ーーー!? いやぁぁぁーーやめてぇぇぇ!!



「アレイスト!!前よ前!! 私の顔じゃないわ!ーーいや、この場合、横か!? あんたの“左横”を見てよっ!!」



いくら言っても私の顔を直視したまま視線を全く逸らさない『馬鹿男』の顔をリルディアのいる方へ強引にでも向けさせようと、その顔に両手を伸ばした|途端、何が起こったのか分からないほどの一瞬で腰に腕を回されその大きな体に引き寄せられると次の瞬間、自分の唇が『馬鹿男』の唇で塞がれていた。



「んんっ!……ん……っ!」



まるで獰猛な肉食獣に補食されているような噛み付くような深い口付けから逃れようと必死でもがくも、そうすると『馬鹿男』の腕が私の体をしっかりと絡め取って私は全く身動きが出来ない。



「んんっ……んーー!!や、やめ……て、っ……んんーー!!」



拒絶すればするほど更にもっと深く私を侵食していくその口付けに、呼吸をするのも苦しくなり、少しすつ後方へと逃げるように下がると『馬鹿男』の体も私と一緒について来る。


ーーそうして逃げ着いた先は、私達の娘の“ベッド”だったーー



その瞬間、私を捕らえていた大きな体が傾いて私の方に倒れてくると、私はそれをどうする事も出来ずにそのまま娘のベッドの上に押し倒されている状態になる。その体勢になってようやくこの男からの深く長い口付けから解放され、私は再び唇を塞がれてしまう前に慌てて言葉を発した。



「アレイスト!!やめてっ!! リルディアがいるのよ!? ここは私達の『娘の部屋』なのよ!? 忘れないで!!あんたは“父親”なのよ!?」



しかしアレイストはそんな私の言葉さえも聞こえてなどいない様にずっと無言のまま、組み敷いている私の体の上から動かずに視線を外さず真顔で私の顔を見つめている。


そんな私はまるで大きな体躯の白金の狼に今にも喰われてしまいそうな小動物にでもなったような気がして、思わず全身から血の気が引いた。


そして私はようやく気が付いた。どうやら彼は『本気』で怒っているのだと。彼が怒鳴りながら、怒っている時はその怒りの度数は“7割” けれど真顔で口数が少なくなりその口調が静かな時は、その怒りの度数は“10割”なのだと言う。


ブランノアの国王の『本気』の怒りの状態のことは周りから聞いてはいたが普段は滅多にないらしく、私もこの城に連れて来られてからも臣下達の前では時折それは見られた様ではあっても、この男は私の前では、一度も“それ”を見せた事が無かった。


だから初めは全く気付かなかったのだが、実際それに気付いた上で目の当たりにすると、普段のアレイストの纏う雰囲気とは別人のように違い、彼から無言で発せられる張り詰めたような得体の知れない緊迫した雰囲気が、人の心の内の『恐怖心』を揺り動かしてくる。


私はいつ、彼を『本気』で怒らせたのか皆目、見当がつかない。この男が娘のリルディアに対して“怒り”を覚える事は決してあり得ない。だから彼の『本気』の怒りの原因はーーこの『私』だ。


しかし、この男は、“それ”を当事者の私には言わない。だから私は自分でこの男を怒らせた“原因”を探すしかない。いつまでもわけが分からないまま、私に怒りの矛先を向けられ続けても私が大いに困る!!


でも、いつ? どこで?


私は自分の今までの会話や行動を振り返りながら、“原因”を探すべく頭の中で回顧していると、今まで私を組み敷いて動かなかったアレイストの左手が突如動いて私の頬に触れると、その手はゆっくりと私の頬の輪郭をなぞっていく。


すると無意識に彼への『恐怖心』からか、体が自分の意思を置いてきぼりにして勝手に反応し、彼に触れられた瞬間、ビクッと背中が跳ねるとその後は小刻みに体の震えは止まらなかった。



「………… 珍しいな。この私が怖いのか?」



そう言うアレイストの表情はやはり変わらず真顔のまま、穏やかな口調の低い声音で尚も私の頬をゆっくりと撫でる。


そんな私の体は彼が頬を撫でるたびにひたすら硬直していき、指一つ動かせずに小刻みな震えだけが止まらないまま、まるで自分の体ではないかのように自分では動きたい意思があるのに体の方は私の意思を無視して全く言う事を聞かない。



ーーああ、これがいわゆる“蛇に睨まれた蛙”の状態なのかーー



ーーと、硬直している体とは裏腹に、体から分離された私の思考はどうやら現実逃避を始めたらしく、


わあ~? 体が動かない!!わあ~? すっご~い!!


などと、リルディア化していた。


するとアレイストはそんな私の体の状態を見たからなのか、私の頬を撫でるのを止めると自分の左手を私の頬から離し、更には覆い被さっていた体も私から離して起こしたので、


私の体は正直にも全身から一気に力が抜けて、やっと硬直から解放され、私は大きく息を吐いて深呼吸をすると、それを見たアレイストは苦笑いで微笑む。



「大丈夫か?」



そしていつの間にか普段の雰囲気に戻っていたアレイストに今度は私が“怒り”を覚えて、娘の枕であるにもかかわらず、それを投げ付ける。



「大丈夫か? ですって!? 散々人の『恐怖心』を煽っておいて、何言ってんのよっ!!しかもあんなの怖いに決まっているでしょ!!


何なのよ一体!お陰様で“蛇に睨まれた蛙”の状態を身を持って体験したわ。しかも『理性』を失くしたあんたに、「娘の前で犯されるっ!」って本気で心配したのよ!? 本当に(たち)が悪いったらないわよ!いくら何でも酷いじゃない!!」



そんな怒る私とは正反対で、やはりいつもの飄々とした顔のアレイストは笑うだけだ。



「ははは、すまん、すまん!しかしいくら私でもまさか、自分の娘の前で“事に及ぶ”わけがないだろう? 野生の動物ではあるまいし。私はそこまで“鬼畜”ではないぞ?」



ーーああ、この男、ぶん殴りたいっ!!




【④ー終】









































































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