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2 兄上はシスコンです。


 私――藤咲夕フジサキ ユウ)


 ちょっと人に言うのを躊躇うお年頃でこんなファンタジーなことに巻き込まれるとは思いませんでした。


 ゲームが現実に!? ってなあれをリアルに経験中。


 よく考えるとすごい。


 さて現実逃避をやめて現実を見ることにしましょう。



 さっき、ゲームが現実に!? とか言いましたが本当に現実世界と変わりないみたいです。


 きちんと心臓がどくんと鳴る音がしますし、素早く周りを見渡してもゲームにあるラグがありません。


 これらをゲームで再現出来たらより現実っぽいんですけどね、全然再現出来ないんですよ、残念。



 さて現実みたいだと分かった所で、周りを見まわしますと。


 今は主人公の部屋みたいですね。


 薄い紫を基調とした落ち着いた部屋です。


 全体的にそこまで高そうな家具はなくしっかりした造りの物が多く置いてあります。


 私はその部屋の端の方に置いてある椅子に座って、前の机に向かってます。


 机の上にあるのはスタートさせてまず目につく、茶色い革に金色の糸で止めてある魔法の本。


 題名は『カンタレラ補助本』。


 そのまんまの題名ですが気にしちゃいけません。


 そして設定が異世界学園ファンタジーですので、よくあるお助け携帯がありません。なので本になりましたが気にしちゃいけません。



 ですが便利です、この補助本。現時点での好感度は表示されますし、意味の分からなさそうな言葉は出ます、本に浮き出ます。


 それに攻略に必要なことを現実で入れとけば入ってます。


 プレイヤーに優しいですね。



 当然私は入れてきました。記憶力に自信なんてありません。



 さて最初に、その本に名前を書きます。その名前で呼ばれるのでちゃんと書きましょう。


 変なのにすると後々泣きます。


 甘い場面が、シリアルな場面が、オールコメディです。実際にして泣きました。

 やめましょう。



 ついでに何故その本があるのか、とか色々分かるか、については『魔法だから』と納得しましょう。


 魔法は偉大ですね。

 素晴らしいです。


 さて、名前は書きましたか?

 書きましたね。



 藤咲夕。



 いいえ、違います。



 ユウ・フジサキです。



 異世界学園ファンタジーですよ。 題材は外国です、よって横文字風です。



 しかしゲームの都合上と大人の都合上により、言語は日本語に統一です。


 いや、助かりますね。



 はい、話を変えて、主人公=私の設定を話しましょう。


 一般社員?違う違う。



 今の私はフジサキ家の一人娘のユウですよ。両親と義兄がいる17歳の学生です。


 フジサキ家とは商いを生業としている家系で、食料品から生活用品、家具まで幅広く取り扱っているので昔から沢山の利用者がいる大手の商家なのです。


 よってお金には不自由しません。良かったです。


 そんな家に生まれたユウ。

 家業を継ぐのは3つ上の義兄の役割だったので、ユウはほのぼのと愛されて育ち、物静かで本やお花が好きな優しい性格に育ちました。


 私と性格が全然違いますね。


 そんな一人娘のユウ。順調な人生かと思われた。


 しかし、問題がありました。


 そう、不幸体質。



 んなもん早く直せと厳しくも優しい父上に言われ、世界でも有数の学校『セントラル学園』へ入学。



 実験体として。


 授業は受けれますが放課後や休みをたまに拘束されます。


 そんな学園生活、そしてそんな主人公設定。



 ――コンコン


 おっと、父上から呼び出しですね。


 いってきます。




 『行ってきます』か『逝ってきます』かはご想像に任せます。




――――




 ――コンコン


ユ「失礼します」


 ガチャ



 重厚そうな扉をくぐりやって来ました地獄への編入通告のお時間。


 入って向かいの椅子に腰かける銀髪の厳格そうなお父上。


 部屋に入ってすぐの対面式ソファーには机をはさんで、

右、銀髪の兄上

左、黒髪の母上。


 と、座っている


 私? 当然立ちっぱです、ついでに母上似の黒髪です。


父上「ユウ、お前を呼び出した理由が分かるか?」


 父上が話を切り出す。


 分かってます、分かってます

転入の件ですね。


ユ「何のことですか?父上」


 とは言えずとぼける、分かってたら怖いしね。



兄上「あのな、ユウ、俺と同じ学園に転入出来るんだぞ!」


 兄上が勢いよく言う。


 銀髪のキリッとしたイケメン兄、シルバス・フジサキ。

 攻略可能キャラ。


 実は義兄妹だが私は知らないという設定。ついでに重度のシスコン病を患っている。治る気配は今のところ皆無。



ユ「え? 転入? 何故ですか、父上?」


父「お前のその不幸体質のせいだ」


 いや簡潔すぎてよく分かりませんよ、父上。


母上「ユウ、あなたの不幸体質を治す為に、お父さんの友達が理事長をしてるセントラル学園に転入させてもらうことになったのよ」


 代わりに説明してくれたのは黒髪が豊かな優しそうな女の人。


 主人公の母親だ。

 溢れるような母性が感じられ、開発スタッフ内では"THE母親"の称号をもらっていた。


 食堂のおばちゃんのような温かさを感じる人と言えば分かりやすいだろうか?


父「だから、ユウ、セントラル学園に転入しなさい」


シルバス「俺がユウのこと案内するからな」


 ちなみにシルバスことシルバにぃはセントラル学園に在籍中。難関と呼ばれる学園のトップクラスの成績だ、すごいなシスコン兄上。


 主人公は当然他の学園だ。頭はそこまで悪くないが、良くもない、ほどほどの成績だ。


シ「明日は一緒に行こうな、俺が荷物持つからな」


 嬉しそうに笑っていうシスコン兄上にふと疑問が。



 セントラル学園は全寮制だ。そして今日は平日。


 シルバ兄は何故いるんでしょうか?

 わざわざ、平日に帰省ですか。


 魔法で動く、魔導飛行機で半日はかかる場所に。



 ……シスコンってすごいな。



 そう実感した。

 ゲーム内生活一日目でした。


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