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スキルAIがチートすぎて俺、使われてる気がするんだが?  作者: 暁の裏


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第14話 破壊神復活 前編 「滅びの焔と、恋の残響」

 海での休暇から王都に戻って数日が過ぎた。

 俺たちは『永遠の闇の森(ネクロ・フォレスト)』の調査依頼に向けて、着々と準備を進めていた。


「必要な物資のリストです」


 エリアが羊皮紙に書かれた目録を広げる。


「食料は二週間分、魔法触媒、回復薬、テント、それから……」

「防寒具も必要ですね。永遠の闇の森は常に薄暗く、気温も低いと聞いています」


 リナリアが補足する。彼女は王女として、様々な知識を持っていた。


「お兄ちゃん、私も頑張るからね」


 リリィが元気よく言う。彼女の浄化能力は、森での戦闘で大きな武器になるはずだ。


『旦那様、物資の調達は私の物質創造でかなり賄えますよ♪』


 アイが俺の肩の上で自信満々に言う。さすがはおれの頼れる相棒だ。


「それは助かる。でも、魔力消費も考えないとな」

「大丈夫です♪私の魔力回復速度なら問題ありません」


 俺は窓の外を見る。王都の街は活気に満ちている。俺たちが築き上げた商業帝国が、この街の経済を支えているのだ。


『現在の総資産は3500万ルスです』


 アイが報告する。


「35億円か……よくここまで来たな」

「悠真さんの努力の賜物です」


 リナリアが微笑む。


「いや、みんなのおかげだよ」


 俺は仲間たちを見回す。リナリア、エリア、リリィ、そしてアイ。この絆があれば、どんな困難も乗り越えられる。

 しかし、心の奥底に小さな不安が芽生えていた。『永遠の闇の森(ネクロ・フォレスト)』──その名前には、何か不吉なものを感じさせる響きがあった。

 翌日、俺たちは王城で最終的な打ち合わせを行った。


永遠の闇の森(ネクロ・フォレスト)は、古代から封印の地として知られています」


 エヴァンジェリンが地図を広げながら説明する。


「伝説によれば、古代魔法文明の時代に、破壊神ゼルヴァロスが封印された場所だと」

「破壊神……」


 エリアが緊張した表情を見せる。


「はい。世界を滅ぼそうとした邪神です。古代の七賢者たちが総力を結集して封印したと言われています」

「その封印が解けかけているということですか?」


 リナリアが尋ねる。


「可能性は高いです。最近、森の周辺で魔物の目撃情報が急増しています。それも、通常の魔物とは比較にならない凶暴性を持っているとのことです、おそらく封印が解けかけている影響かと…」


 セラフィナが補足する。


「我々三賢人も同行したいところですが、王都の防衛を考えると……」

「大丈夫です」


 俺が答える。


「俺たちだけで何とかします」


 アルフレッド国王が厳かに言う。


「悠真殿、無理はしないでください。危険だと判断したら、すぐに撤退してください」

「承知しています」


 国王は深く頷くと、小さな箱を取り出した。


「これを持っていってください」


 箱の中には、美しい青い宝石が入っていた。


「これは『帰還の宝珠』です。緊急時に砕けば、王城まで転移できます」

「ありがとうございます」


 俺は宝珠を受け取り、大切にアイテムボックスに収納した。

 出発の日の朝、俺たちは王都の門前に集まった。


「準備はいいか?」


 俺が仲間たちに確認する。


「はい」


 リナリアが剣の柄に手をかける。


「大丈夫です」


 エリアが杖を握りしめる。


「いつでも行けるよ」


 リリィが元気よく答える。


『旦那様、全システム正常です♪いつでも出発できますよ』


 アイが報告する。


「よし、行こう」


 俺は《空間転移》を発動し、永遠の闇の森(ネクロ・フォレスト)の入口付近に転移した。

 森の入口は、想像以上に不気味だった。

 巨大な木々が天を覆い、昼間だというのに薄暗い。空気は重く湿っており、何か邪悪なものが潜んでいるような気配がする。


「……気味が悪いですね」


 エリアが小声で言う。


「ええ。魔力の流れが異常です」


 リナリアも警戒している。


『旦那様、この森から強大な魔力を感知します。通常の魔物とは比較にならないレベルです』


 アイが警告する。


「わかってる。慎重に進もう」


 俺たちは森の中へと足を踏み入れた。

 森の中は想像以上に暗く、魔法の光を灯さなければ何も見えないほどだった。


「《ライトボール》」


 エリアが光の球を作り出す。周囲が明るくなるが、それでも不気味な雰囲気は消えない。

 木々の間から、時折奇妙な鳴き声が聞こえる。見たこともない植物が生い茂り、地面には腐った落ち葉が分厚く積もっている。


「お兄ちゃん、何か嫌な感じがする……」


 リリィが俺の服を掴む。


「大丈夫だ。みんなで一緒にいるから」


 数時間歩き続けた頃、太陽が沈み始めた。森の中は更に暗くなり、視界がほとんど効かなくなった。


「今夜はここで野営しましょう」


 リナリアが提案する。


「そうだな」


 俺たちは開けた場所を見つけ、テントを設営した。アイの物質創造で、快適な寝袋や暖かい毛布も用意される。


「夕食の準備をしますね」


 エリアが張り切って料理を始める。

 アイが創り出した食材を使って、エリアが美味しそうなシチューを作った。温かい食事に、みんなの表情が和らぐ。


「美味しい……」


 リリィが幸せそうに言う。


「エリアさんの料理は本当に美味しいですね」


 リナリアも微笑む。


「ありがとうございます」


 エリアが照れくさそうに答える。

 夕食後、俺たちは焚き火を囲んで座っていた。


「明日はいよいよ森の奥深くまで進むことになりますね」


 リナリアが言う。


「ああ。気を引き締めていこう」


 その時、リリィが大きなあくびをした。


「眠いの?」

「うん……ちょっと疲れちゃった」

「じゃあ、もう寝よう。明日に備えないと」


 リリィはテントに入って眠りについた。


『旦那様、私が見張りをしますから、ゆっくり休んでください♪』


「ありがとう、アイ」


 しかし、俺はまだ眠気を感じなかった。焚き火の前で、一人静かに炎を見つめる。


「悠真さん、まだ起きていらっしゃるんですか?」


 振り返ると、リナリアが立っていた。


「ああ、少し考え事をしてた」

「わたくしも眠れなくて」


 リナリアが隣に座る。焚き火の光が彼女の横顔を美しく照らしていた。


「明日のことが心配ですか?」

「まあな。でも、お前たちがいれば大丈夫だと思ってる」

「悠真さん……」


 リナリアが俺の手を握る。


「わたくし、この旅で本当に多くのことを学びました」

「そうか」

「そして……悠真さんへの気持ちも、より確かなものになりました」


 リナリアが俺を見つめる。


「わたくし、悠真さんのことが本当に好きです」

「俺も、リナリア」


 俺はリナリアを抱き寄せる。彼女の体は柔らかく、心地よい温もりを感じる。


「悠真さん……」


 リナリアが顔を赤らめる。

 その瞬間、テントから物音が聞こえた。


「あ、あの……」


 振り返ると、エリアが顔を出していた。


「ご、ごめんなさい。お邪魔でしたか?」

「いや、大丈夫だ」


 俺は慌ててリナリアから離れる。


「エリアも眠れないのか?」

「はい……少し喉が渇いて」


 エリアがテントから出てくる。彼女も寝間着姿で、髪を下ろしている。普段とは違う雰囲気に、少しドキッとする。


「水なら、アイに作ってもらおうか」


『はい♪すぐに用意します』


 アイが綺麗な水を創り出す。


「ありがとうございます」


 エリアが水を飲む。その様子を見ていると、ふと彼女の胸元が気になった。

 寝間着が少しはだけていて、白い肌が見える。思わず視線を逸らす。


「悠真さん?」


 エリアが不思議そうに見る。


「い、いや、なんでもない」


『旦那様、顔が赤いですよ♪』


 アイが茶化すように言う。


「うるさい」


 リナリアがクスクスと笑う。


「悠真さん、可愛いですね」

「か、可愛いって……」


 三人で焚き火を囲んで座る。しばらく静かな時間が流れた。


「ねえ、悠真さん」


 エリアが口を開く。


「なんだ?」

「もし……もし、わたくしたちの誰かが危険な目に遭ったら、悠真さんはどうしますか?」


 突然の質問に、俺は少し考える。


「当然、助ける。お前たちは俺の大切な仲間だからな」

「仲間……ですか」


 エリアの表情が少し寂しそうに見えた。


「エリア?」

「いえ、何でもありません」


 彼女は笑顔を作るが、どこか無理をしているように感じる。


「エリアさん、大丈夫ですか?」


 リナリアが心配そうに尋ねる。


「はい、大丈夫です。ちょっと疲れているだけですから」


 エリアは立ち上がる。


「そろそろ寝ますね。おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」


 エリアがテントに戻ると、リナリアが小声で言う。


「エリアさん、何か悩んでいるようですね」

「そうだな……」


 俺も気になったが、今はそっとしておくことにした。


「わたくしたちも寝ましょうか」

「そうだな」


 俺とリナリアもそれぞれのテントに入った。

 しかし、俺はなかなか眠れなかった。エリアの表情が気になって仕方がない。


『旦那様、エリアさんのこと、気になりますか?』


 アイが小声で尋ねる。


「ああ……何か悩んでいるみたいだったからな」


『そうですね。でも、明日になれば元気になるかもしれませんよ』


「そうだといいんだけど」


 結局、俺は明け方近くまで眠れなかった。




 翌朝、俺たちは早めに出発の準備を始めた。


「おはようございます」


 エリアが元気な声で挨拶する。昨夜の様子は嘘のように、明るい表情だった。


「おはよう。よく眠れたか?」

「はい、ぐっすりです」


 彼女の笑顔を見て、少し安心する。

 朝食を済ませ、テントを片付けると、俺たちは再び森の奥へと進んだ。

 森は進むにつれて、さらに不気味な雰囲気を増していく。木々はより巨大になり、根が地面から這い出ているような奇妙な形をしている。


「魔力の流れが更に乱れています」


 エリアが警告する。


「ええ。何か強大な存在が近くにいる気がします」


 リナリアも剣を構える。

 その時だった。


「グルルルル……」


 低い唸り声が聞こえた。振り返ると、巨大な黒い狼が現れた。

 いや、狼というよりは魔獣だ。全身から邪悪な気配が溢れ、目は血のように赤く光っている。


『旦那様、これは通常の魔物ではありません。魔力に侵食されて凶暴化しています』


「凶暴化……?」


 その瞬間、魔獣が飛びかかってきた。


「《時間操作》!」


 俺は周囲の時間を遅くする。魔獣の動きがスローモーションになった。


「《ライトニング・エッジ》!」


 俺の魔法付与されたナイフが魔獣を切り裂く。


「ギャオオオ!」


 魔獣が苦痛の声を上げて倒れる。


「やった……」


 しかし、安心したのも束の間だった。

 森の奥から、さらに多くの魔獣が現れた。狼だけでなく、熊、猪、そして見たこともない異形の生物たち。


「こんなに……!」


 エリアが驚く。


「みんな、陣形を組め!」


 俺たちは背中合わせになり、迫りくる魔獣の群れと戦闘を開始した。


「《ウィンドカッター》!」


 エリアの風の刃が複数の魔獣を切り裂く。


「《ホーリーレイン》!」


 リリィの浄化魔法が魔獣たちに降り注ぐ。凶暴化した魔獣たちは浄化の光を受けて苦しみ、正気を取り戻すように動きが鈍る。


「はぁっ!」


 リナリアの剣が閃き、魔獣を次々と倒していく。

 俺も《身体能力強化》を発動し、《時間操作》と《空間転移》を駆使して戦う。

 しかし、魔獣の数は減らない。倒しても倒しても、次々と現れる。


「きりがない……!」


『旦那様、この魔獣たちは何かに操られています。本能だけで行動しているのではありません』


「操られている……?」


 その時、森の奥から巨大な魔力を感じた。

 地面が揺れ、木々が倒れる音が響く。

 そして──


「ガアアアアアアア!」


 耳をつんざくような咆哮が森中に響き渡った。

 木々が薙ぎ倒され、巨大な影が姿を現した。

 全長20メートルを超える、漆黒の竜。いや、竜というよりは悪魔だ。

 全身から禍々しいオーラが溢れ、その存在だけで周囲の魔力が歪む。頭部には三本の角が生え、背中には骨のような翼が生えている。


「あれは……!」


 エリアが震える声で言う。


『旦那様、大変です。あれが伝説の魔物──()()()()()()()()()!』


「破壊神……!」


 伝説によれば、古代に世界を滅ぼそうとした破壊の化身。七賢者が総力を結集して封印したはずの邪神だったな。


「封印が……解けたのか……!」


 破壊竜ゼルヴァロスが俺たちを見下ろす。その眼光だけで、体が硬直しそうになる。


『旦那様、この相手は危険すぎます。封印によって力が落ちていると推測しますが、あらゆるデータを分析しても、勝率は0.001%以下です』


「0.001%……」


『逃げてください。今すぐ!』


 アイが必死に訴える。彼女がこんなに焦った声を出すのは初めてだった。


「でも……」


 その瞬間、ゼルヴァロスが口を開いた。

 漆黒の炎が俺たちに向かって吐き出される。


「《バリア》最大展開!」


 俺は全力で防御障壁を張る。しかし、ゼルヴァロスの攻撃はあまりにも強力だった。

 障壁にひび割れが入り、徐々に崩壊していく。


「くそ……!」


『旦那様、障壁が持ちません!』


「みんな、伏せろ!」


 俺の叫びと同時に、障壁が完全に砕け散った。

 漆黒の炎が俺たちを襲う──

 その瞬間、リナリアが前に出た。


「《聖剣の(セイクリッド・)輝き(ジャッジメント)》!」


 魔力増幅の指輪の力を最大限に引き出し、剣から聖なる光を放つ。光が漆黒の炎と激突し、一瞬だけ相殺される。

 しかし、その反動でリナリアが吹き飛ばされた。


「リナリア!」


 俺が駆け寄ると、彼女は気を失っていた。


「リナリアさん!」


 エリアも駆け寄る。


「《ヒーリング》!」


 リリィが治癒魔法をかけるが、ダメージが大きすぎる。


「くそ……くそ!」


 ゼルヴァロスが再び攻撃の構えを取る。


『旦那様、もうこれ以上は無理です。帰還の宝珠を使ってください!』


 アイが叫ぶ。


「でも……」

「悠真さん、逃げてください」


 エリアが立ち上がる。


「エリア?」

「わたくしが時間を稼ぎます。その間に、リナリアさんとリリィちゃんを連れて逃げてください」

「何を言ってるんだ! そんなこと──」

「お願いです!」


 エリアが俺を見つめる。その瞳には、強い決意が宿っていた。


「わたくしでは、あの魔物には勝てません。でも、時間を稼ぐことはできます」

「エリア、やめろ。みんなで逃げよう」

「それでは全員が死んでしまいます」


 エリアが杖を握りしめる。


「わたくし、魔法学校で一番の天才と言われていました。でも、それは井の中の蛙だったんですね」

「エリア……」

「この旅で、わたくしは本当の強さを知りました。それは、大切な人を守るために戦う勇気です」


 ゼルヴァロスが再び口を開く。


「《エンシェント・バリア》!」


 エリアが古代魔法の防御障壁を展開する。時空魔法の書で学んだ最強の防御魔法だ。


「これで数分は持ちます。その間に、お願いします」

「エリア、お前……!」


 俺が叫ぶが、エリアは振り返らない。


「悠真さん……わたくし、実は……」


 エリアがゆっくりと振り返る。


「わたくしも、リナリアさんに負けないくらい、悠真さんのことが()()です」

「え……?」

「ずっと言えませんでした。リナリアさんが悠真さんの恋人だって知っていたから」


 エリアの目に涙が浮かぶ。


「でも、最後だけは……言わせてください」

「エリア……!」

「悠真さんと出会えて、本当に幸せでした」


 エリアが微笑む。


「だから、どうか……生きてください」


 ゼルヴァロスの攻撃が障壁に激突する。


「お兄ちゃん、早く……!」


 リリィが泣きながら言う。


『旦那様、決断を!』


 アイも叫ぶ。

 俺は拳を握りしめる。悔しい。悔しすぎる。

 自分の力のなさが、こんなにも恨めしいと思ったことはない。


「エリア……必ず、必ず助けに戻る!」

「ありがとうございます……」


 エリアが最後に微笑んだ。

 俺は帰還の宝珠を取り出し、砕いた。

 光に包まれる直前、俺はエリアの姿を目に焼き付けた。

 巨大な破壊竜に立ち向かう、小さな少女の背中を。


「エリアああああああ!」


 俺の叫びが森に響いた。

 次の瞬間、俺たちは王城の謁見の間に転移していた。


「悠真殿!」


 アルフレッド国王が驚いて駆け寄る。


「リナリアが……!」

「すぐに治療を!」


 セラフィナが治癒魔法をかける。リナリアの傷が徐々に癒えていく。


「お、お父様……?」


 リナリアが目を覚ます。


「リナリア! 無事か!」


 国王が抱きしめる。


「は、はい……でも、エリアさんは……!」


 リナリアが周囲を見回す。


「エリアは……」


 俺が拳を握りしめる。


「くそっ、何もできなかった。俺が……弱かったから……」

「悠真さん……」


 リナリアが俺の手を握る。


「悠真さんのせいではありません」

「でも……!」


 俺は膝をつく。

 力が入らない。悔しさと怒りと、そして自分への情けなさで、全身が震える。


『旦那様……』


 アイが小さく呟く。彼女も、泣いているようだった。


「エリアお姉ちゃん……」


 リリィも泣いている。

 謁見の間に、重い沈黙が流れた。

 俺は拳を握りしめる。

 エリアが最後に見せた笑顔。


「わたくしも、リナリアさんに負けないくらい、悠真さんのことが好きです」


 その言葉が、胸に突き刺さる。

 俺は何もできなかった。

 ただ、彼女を残して逃げることしかできなかった。


「くそ……くそ!」


 俺は床を叩く。


「俺は……何のために力を得たんだ……!」


『旦那様……』


「大切な仲間も守れない俺に、何の価値がある……!」


 リナリアが俺を抱きしめる。


「泣かないでください……悠真さん」

「リナリア……」

「わたくしたちは生きています。エリアさんが命をかけて守ってくれたんです」


 リナリアの言葉に、俺は何も言えなかった。


「だから……無駄にしてはいけません」


 その時、エヴァンジェリンが口を開いた。


「破壊神ゼルヴァロスが復活したとなると、事態は深刻です」

「ええ。あの魔物が王都に向かってくれば……」


 マクシミリアンも厳しい表情だ。


「我々三賢人でも、勝てる保証はありません」

「では、どうすれば……」


 国王が尋ねる。


「少し時間をください。俺が何とかします」



 俺の力強い言葉に国王は深く頷いた。


「わかった。そなたに託そう」


『旦那様、私が全力でサポートします』


 アイが決意を込めて言う。


「お兄ちゃん、私も一緒に行く」


 リリィも立ち上がる。


「わたくしも、もちろん」


 リナリアも剣を握りしめる。


「エリアさんは、わたくしの大切な友人です。必ず救い出しましょう」


 俺は仲間たちを見回す。

 みんなの決意に満ちた表情を見て、胸が熱くなる。


「ありがとう、みんな」


 俺は拳を握りしめる。

 エリア、待っていてくれ。

 必ず、お前を助けに行く。

 そして、破壊神を倒し、平和を取り戻す。

 それが、俺の──一ノ瀬悠真の使命だ。

 夜、俺は一人で城の屋上にいた。

 星空を見上げながら、エリアのことを考える。


「エリア……」


 彼女の最後の言葉が、何度も心に響く。


「わたくしも、リナリアさんに負けないくらい、悠真さんのことが好きです」


 エリアの想いは俺の心に響いた。


「必ず助けてみせる。どんなことをしても…」


 その言葉に合わせ、自分の中で何かが解き放たれたような感覚があった。

 まるで俺のエリアを救いたいという気持ちに答えるように…


ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

 今回の第14話では、【伝説魔物の復活】を描きました。次回は「【邪神復活 後編】」を予定しています。

 それでは、また次回お会いしましょう。

 感想・ご意見などいただけると、とても励みになります。


暁の裏

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