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クーカイ×クーカイ  作者: 青山 高峰
第十章(第四部)

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31/35

31 追跡

 通路(つうろ)は50メートルほど進むたびに、二股(ふたまた)、または三股(みまた)に分かれている。


ここに入る前、連城(れんじょう)先生は北北西(ほくほくせい)に進めと言っていたけど、()く道が(さだ)まっていないように思えた。というのも(つね)に決まった道を進んでいくのかと思っていたのだが、分かれ道の(たび)に右に進んだり、左に進んだり、真ん中を進んだりと選択(せんたく)が毎回(ちが)っている。


これでどうして北北西(ほくほくせい)に進んでいけるのか、進んでいると分かるのかが不思議(ふしぎ)だった。最初の分かれ道で方位磁石(ほういじしゃく)を取り出したクリスは、針がくるくる回転(かいてん)しているのを見て驚愕(きょうがく)し、さっさと方位磁石(ほういじしゃく)をしまった。


連城(れんじょう)先生は、道が分岐(ぶんき)するたびに、(ゆび)()るようにして何かを(かぞ)えているのが印象的(いんしょうてき)だ。それで方角(ほうがく)が分かるのかもしれない。


「ここに来たのは、子どもの(ころ)だが。もっと美しい通路(つうろ)だった」

 連城(れんじょう)先生の声が(なつ)かしむように言った。


「川の水は透明(とうめい)で、通路(つうろ)(かべ)四季折々(しきおりおり)の花の絵が美しく()かれていた。大祭(たいさい)の年、地下神殿(ちかしんでん)へ、やんごとなき人々を川に()かべた(ふね)でお()れするのに相応(ふさわ)しい水路(すいろ)だった。それがここまで変わってしまったとは」

 (ある)きながら話す連城(れんじょう)先生の(こえ)()ちひしがれている。


一列(いちれつ)になって歩いているせいで、前をいく先生の表情(ひょうじょう)は分からないが、「黒羽(くろは)がこんなことまでするなんて」という(なげ)きが背中(せなか)から(かん)じられる。


「また綺麗(きれい)にすればいいだけの話です。なんならリー財団(ざいだん)をお使いください」

 (うし)ろからクリスの(ほが)らかな(こえ)(ひび)いた。


日本政府(にほんせいふ)にも、もちろん宮内庁(くないちょう)にも顔がききますから」


 一体ぜんたいクリスってのは何者(なにもの)なんだろう? 今更(いまさら)ながらそう思っていると、クリスが(わら)った。


「こんなところで自己紹介(じこしょうかい)ってのも何だけど。俺は魔術師(まじゅつし)であり、結界師(けっかいし)であり、あと、もう一つの役割(やくわり)は言えないけど。現在(げんざい)はリー一族(いちぞく)当主(とうしゅ)。とはいえまだ16歳だから普段(ふだん)はフランスの高校(こうこう)(かよ)っている」


「えっ、まさか、(おな)(どし)?」


「おいおい、俺をいくつだと思ってたんだ」


「2~3歳上か、下手したらもっと上かと……えっと、ぼくの名前は」


海人(かいと)のことはいい。全部知っているから。それからムッシュ連城(れんじょう)譲之助(じょうのすけ)についても。そして黒羽伊吹(くろはいぶき)についても」

 黒羽(くろは)の名前だけが、(やみ)の中に不吉(ふきつ)にこだました。それからは、だれも口を(ひら)かず、ただ歩き(つづ)けた。


☆☆☆☆☆


 道の先に目を()らし、耳を()ました。川の(なが)れる(おと)()ざり、なにか(おと)()こえた気がする。


気のせい? いや、そうじゃない。なにかが前方(ぜんぽう)から(ちか)づいてくる! 


連城(れんじょう)先生やクリスも気づいたらしく、先生が(いん)(むす)び、クリスは指揮棒(しきぼう)を取り出している。その時、クリスが(とも)した壁沿(かべぞ)いの電気(でんき)がパチパチッと点滅(てんめつ)し、ふっと消えた。とたんに漆黒(しっこく)(やみ)(ひろ)がった。


歓迎(かんげい)(しるし)らしい」

 クリスが連城(れんじょう)先生の肩越(かたご)しに前方(ぜんぽう)暗闇(くらやみ)をのぞきこむようにしてささやいた。

「それも大歓迎(だいかんげい)の」


 (おと)が大きくなってきた。その(おと)が、川に落ちる水滴(すいてき)やネズミの足音(あしおと)ではないことが今はもうはっきりと分かる。


足音(あしおと)だ。それも何百(なんびゃく)何千(なんぜん)もの。血臭(ちしゅう)腐敗臭(ふはいしゅう)をまき()らし、(ほね)(きし)むような(おと)(ひび)かせ歩いてくる。


「何であれ」

 連城(れんじょう)先生の声は冷厳(れいげん)としている。


()()(はば)むものは摩滅(まめつ)させる」

 (すさ)まじい気が(はっ)せられた。その時、(かべ)のロウソク(がた)電球(でんきゅう)鬼火(おにび)のような青白(あおじろ)いぼんやりとした(ひかり)(とも)った。


その仄暗(ほのぐら)(あか)りのせいで、前方(ぜんぽう)から(くさ)りかけの死体(したい)がまるでゾンビのように歩いてくるのが見えた。悪霊(あくりょう)行列(ぎょうれつ)だ。


(よこ)(れつ)縦隊(じゅうたい)()んで(せま)ってくる。内臓(ないぞう)()()らしている者もいれば、()れた大腿骨(だいたいこつ)でいざるように(ある)いてくる者もいる。それだけでもいい加減(かげん)おぞましい光景(こうけい)なのに、その(うえ)、みな一様(いちよう)に、()刃物(はもの)(おの)などあらゆる武器(ぶき)(たずさ)えている。恐怖(きょうふ)(ふる)えそうになり、手にした金剛杵(こんごうしょう)(にぎ)りしめた。


恐怖(きょうふ)()()まれるな」

 連城(れんじょう)先生がお(なか)から(こえ)()り上げた。


「あいつらは人の恐怖(きょうふ)(かて)にする」

 ()いで、先生が力強(ちからづよ)(きょう)(とな)(はじ)めた。


(まど)いのない力強(ちからづよ)(こえ)は、本堂(ほんどう)(いの)りを(ささ)げる時や護摩焚(ごまだき)(おこな)う時となんら変わらない。(いか)めしく鮮烈(せんれつ)(ひび)いてくる。その声に合わせるように(きょう)(とな)え、(いん)(むす)ぶ。


クリスが指揮棒(しきぼう)からいくつもの魔法陣(まほうじん)()()した。(きよ)らかな気の(なが)れが渦巻(うずま)くようにクリスに(あつ)まっていくのを(かん)じる。クリスが大きく指揮棒(しきぼう)()り上げると空間(くうかん)()かぶ8つの魔法陣(まほうじん)()わさり1つの大きな魔法陣(まほうじん)となった。白金(ぷらちな)のような光をたたえ頭上(ずじょう)回転(かいてん)しながら魔法陣(まほうじん)(かがや)(はじ)めた。


結界(けっかい)です」

 クリスが疲労(ひろう)のせいか、(あら)(いき)で言った。


 結界(けっかい)通常(つうじょう)(きよ)められた場所(ばしょ)()る。西洋(せいよう)結界(けっかい)(ほう)(おそ)らくは同じはずだ。それを“()(きよ)めること”をせず、無理(むり)やり()ったせいで相当(そうとう)(ちから)を使ったらしい。


クリスは目を(ほそ)め、

「この空間(くうかん)では、あの結界(けっかい)もわずかな時間しかもたないでしょう」

 自分が作った魔法陣(まほうじん)の光を(たし)かめるように頭上(ずじょう)を見つめた。


魔法陣(まほうじん)回転(かいてん)しながら(なげ)げかける白金色(ぷらちないろ)の光が、今シールドのようにしてぼく達3人を(つつ)んでいる。


「ああ、ありがとう。では行くぞ」

 連城(れんじょう)先生が言うや(いな)や、その口から物凄(ものすご)気合(きあい)(はっ)せられた。


一瞬(いっしゅん)前方(ぜんぽう)からやってくる悪霊(あくりょう)たちがその(たましい)(こお)らせ、動きを止めるほどの迫力(はくりょく)だった。(きょ)をつかれた悪霊(あくりょう)蹴散(けち)らすよう連城(れんじょう)先生が(はし)り出した。()のような(はや)さだ。(つえ)手放(てばな)せないでいる人とは(おも)えない迅速(じんそく)さだった。


ぼくらも先生の(あと)(つづ)いた。クリスの作った頭上(ずじょう)結界(けっかい)(かがや)きながらついてくる。その光に(まも)られているおかげで、連城(れんじょう)先生の体から(つよ)(ちから)(ひかり)のようにほとばしるのを(かん)じる。その力の放出(ほうしゅつ)(すさ)まじい。ぼくも(いん)(むす)(ゆび)に力をこめる。するとぼくらの(まわ)りが黄金(おうごん)光始(ひかりはじ)めた。悪霊(あくりょう)()り上げる(おの)も、(かたな)も、何もかも、光に()たった者から()えていく。まるで熱々(あつあつ)鉄板(てっぱん)に水を1滴(いってき)()せた時のように、一瞬(いっしゅん)蒸発(じょうはつ)するように消えていく。その中をしゃにむに走った。


その時、悪霊(あくりょう)たちの背後(はいご)で何かが動いた。地響(じひび)きと(とも)悪霊(あくりょう)たちの2列縦隊(れつじゅうたい)(くず)れ、(きゅう)2手(ふたて)()かれ、中央(ちゅうおう)に道を作り始めた。道を()けてくれているんだ。最初(さいしょ)そう思った。しかしすぐに前方(ぜんぽう)から()の高い、グレズリーのような怪物(かいぶつ)が、のそりのそりとやってくるのが見えた。怪物(かいぶつ)は“邪魔(じゃま)だ”と言わんばかりに悪霊(あくりょう)(するど)(つめ)にかけ、()しのけるようにして向かってくる。(つめ)にかかった悪霊(あくりょう)は川に流され、あるいは(かべ)(たた)きつけられ、()えていく。連城(れんじょう)先生が(はじ)めて立ち止まった。そしてぼくを()(かえ)った。


「これを()って(さき)にいきなさい」

 連城(れんじょう)先生が金剛杵(こんごうしょう)()()した。


「先生、何をおっしゃるんですか!」


 拒もうとする手に、連城(れんじょう)先生が強引(ごういん)に先生の金剛杵(こんごうしょう)(にぎ)らせてきた。


その途端(とたん)、頭の中に(たき)のような(いきお)いで音と映像(えいぞう)(あらわ)れた。


夕方(ゆうがた)(そら)(よい)明星(みょうじょう)(かがや)く、山中(さんちゅう)座禅(ざぜん)()んでいる人が見える。(よご)れた法衣(ほうい)からかなり(なが)(あいだ)座禅(ざぜん)()んでいたことが(うかが)える。しかし背筋(せすじ)はピンと()び、(うつく)しい姿勢(しせい)のまま(きょう)(とな)えている。


その時、(そら)()かぶ(よい)明星(みょうじょう)突然(とつぜん)大きく光り、まるで(なが)(ぼし)(ごと)く、急降下(きゅうこうか)(はじ)めた。そして座禅(ざぜん)()んでいる人の口の中に()()んだ。瞬間(しゅんかん)、光が体の中で(ねつ)を持って()(めぐ)っていくのを感じた。それはまるで自分自身(じぶんじしん)記憶(きおく)のように鮮明(せんめい)感覚(かんかく)だった――


全身(ぜんしん)血管(けっかん)拡張(かくちょう)し、心臓(しんぞう)限界(げんかい)まで鼓動(こどう)する。光の強さに思わず(うめ)いた。(うめ)きながらも、聞こえてくる旋律(せんりつ)全細胞(ぜんさいぼう)が耳を()ます。あらゆるものを()(きよ)める(ほのお)の音に(ちか)い。


その旋律(せんりつ)の中、(こえ)()こえた。男とも女ともつかない(こえ)が言う


「クーカイ、この(おと)破壊(はかい)。そして……」


(きゅう)旋律(せんりつ)()わった。今度(こんど)水滴(すいてき)から、(きよ)らかな川の(なが)れ、潮騒(しおさい)大海原(おおうなばら)へと()わりゆく(みず)(こえ)()ている。


「この(おと)再生(さいせい)破壊(はかい)再生(さいせい)(さず)ける、(たが)うことなかれ。また、いざと言う時以外(いがい)(もち)いてはならぬ秘術(ひじゅつ)(ゆえ)、1700年の時を()げ」


その(こえ)(とも)に、周囲(しゅうい)映像(えいぞう)がゆがみ(はじ)めた、曼荼羅(まんだら)(さず)けてくれた美しい和尚(おしょう)(かお)建立(こんりゅう)されていく寺院(じいん)、いく(にん)もの袈裟(けさ)をつけた(ぼう)さんの(かお)()かんでは()え、()かんでは()えていく。


(かぞ)えきれないほどたくさんの人たちが、金剛杵(こんごうしょう)()()っては()えていく。(とき)()ぶように()ぎ、最後(さいご)連城(れんじょう)亮太(りょうた)の、お父さんの(かお)が見えた。お父さんの()からぼくの()金剛杵(こんごうしょう)手渡(てわた)され――お父さんの()連城(れんじょう)先生の()(かさ)なるように()かれた瞬間(しゅんかん)金剛杵(こんごうしょう)()()(ひら)から全身(ぜんしん)(はげ)しい電流(でんりゅう)(はし)った。身体中(からだじゅう)がぴりぴりする。


「どうやらここでお(わか)れのようだ」

 連城(れんじょう)先生の(こえ)(われ)(かえ)った。


連城(れんじょう)先生が金剛杵(こんごうしょう)から()(はな)した。()(なか)には金剛杵(こんごうしょう)(とも)に、不思議(ふしぎ)(ぬく)もりが(のこ)っている。


「先生、今のは一体……」


「いざという時が来たのだ」

 連城(れんじょう)先生の黒い(ひとみ)火花(ひばな)()らすように()()がった。


“いざという時”というのがなんなのか。言わなくても、それが秘術(ひじゅつ)を使う時のことだと分かる。(こわ)くなって(さけ)んだ。

「でも先生、ぼくにはまだ無理(むり)です」


「いや、お前にはできる! 自分を(しん)じろ」

 連城(れんじょう)先生の()がふと頭上(ずじょう)(うつ)った。


クリスの作った結界(けっかい)魔法陣(まほうじん)が、電球(でんきゅう)のようにチカチカと点滅(てんめつ)(はじ)めた。クリスが指揮棒(しきぼう)を手に前に出ようとした。それを連城(れんじょう)先生の(うで)制止(せいし)する。

「ここは、私に(まか)せて(さき)に行きなさい」


「しかしムッシュ、結界(けっかい)限界(げんかい)(ちか)いんです。あの()(もの)はみんなで(たたか)った方がいい。一人で簡単(かんたん)(たお)せるような(やつ)じゃない」


「お前たちは先に行きなさい。ここをまっすぐ(すす)めば、地下神殿(ちかしんでん)だ」

 その言葉が()()めないうちに、連城(れんじょう)先生が怪物(かいぶつ)()()んでいった。両手(りょうて)(いん)(むす)び、(きょう)(とな)えながら。


連城(れんじょう)先生!」

 (さけ)(ごえ)怪物(かいぶつ)咆哮(ほうこう)でかき()された。


大きな手を()()げ、連城(れんじょう)先生をはたこうと()(まわ)す。強烈(きょうれつ)()(うご)きを、連城(れんじょう)先生が敏捷(びんしょう)()()がって()けた。


「早く行け! ぐずぐずするな」

 連城(れんじょう)先生が怪物(かいぶつ)胴体(どうたい)(はい)()み、手で作った(いん)()しつけるようにした。瞬間(しゅんかん)怪物(かいぶつ)絶叫(ぜっきょう)し、もう片方(かたほう)の手で連城(れんじょう)先生をはたき()ばした。物凄(ものすご)(いきお)いで先生の身体(からだ)()んだ。


「先生」

 地面(じめん)(たた)きつけられた先生に()()ろうとした。途端(とたん)、クリスに身体(からだ)ごと()められた。連城(れんじょう)先生が()()きながら怒鳴(どな)った。


海人(かいと)、クリス、(はや)()け! ()って黒羽(くろは)を! 伊吹(いぶき)()めてくれ!」


 ()(もの)が、また先生を(なぐ)った。まるで()(かん)のように体が()()がった。


「先生」


海人(かいと)、ダメだ。(さき)()くぞ!」


「何言ってんだ、このままじゃ先生が()んじゃう」

 クリスの(うで)から(はな)れようともがいたその時、怪物(かいぶつ)がこちらを()き、ニヤリと(わら)った。そして(するど)(つめ)()て、大きな()をふり上げる。瞬間(しゅんかん)(かぜ)(かん)じた。


「お前の相手(あいて)は私だ」

 連城(れんじょう)先生がよろめきながら()の前に立っている。両手(りょうて)をクロスさせるようにして、怪物(かいぶつ)(うで)全身(ぜんしん)()()めていた。先生の(うで)から(あたま)から()から()がぽたぽたと(なが)()ちている。


連城(れんじょう)先生」


(さき)に行けと言ったはずだ」

 怪物(かいぶつ)()がさないという(ふう)にぼくを(にら)んだ。そして、()をぼくに()かって()り上げようとして、異変(いへん)に気づいた。(おどろ)いて自分の手元(てもと)を見ている。連城(れんじょう)先生を(なぐ)った()()けないのだ。見ると先生が(いん)(むす)んだ()()(もの)()()()けている。もう片方(かたほう)()が先生の身体(からだ)(なぐ)った。(はら)()れ、(いきお)いよく()噴出(ふんしゅつ)した。


「先生」

 ()きながら先生に()()ばそうとした途端(とたん)、クリスに(つよ)(ちから)(かか)えられた。まるで米俵(こめだわら)のように(かた)(かつ)がれる。


()ろせ」

 クリスが()()した。頭上(ずじょう)結界(けっかい)がきらめきながらついてくる。


()ろせよ、()ろせ! 俺は(もど)る。(もど)って先生を(たす)けるんだ!」


「バカ野郎(やろう)! ムッシュを無駄死(むだじ)にさせる()か!」


「なっ、なんてこと言うんだ! 先生は()んだりしない!」


 その時、背後(はいご)(かみなり)()ちるような爆音(ばくおん)(とどろ)いた。怪物(かいぶつ)禍々(まがまが)しい気や大量(たいりょう)悪霊(あくりょう)のおぞましい気と(とも)に、連城(れんじょう)先生の剛毅(ごうき)(あふ)れる()がプツリと()えた。


(うそ)だ! (うそ)だ! 先生、連城(れんじょう)先生!!」

 ()(さけ)(こえ)がこだまし、(なが)れる(くら)(かわ)(おと)()()っていく。それは(あらが)いようもない連城(れんじょう)先生の()だった。

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