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読んだ本の記録  作者: 萩尾雅縁
【実用書・エッセイ】
43/47

「人工知能と株価資本主義」(経済)

人工知能と株価資本主義――AI投機は何をもたらすのか


本山 美彦 著


際限なく拡大するIT社会に拍車をかけるAI技術の進歩。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめとする巨大IT企業の影響力が増し、株式が巨額の富と巨大な力を揮う「株価資本主義」が到来している。フィンテック、ブロックチェーン、ロボット人材がもたらす未来を金融、貨幣、コンピュータの淵源をたどりながら論じ、AI賛美論がもたらす投機的ユーフォリア(多幸感)に警鐘を鳴らす。



 全然読めてないけど。ちゃんと読みたいんだよな。



序章 株価資本主義の旗手――巨大IT企業の戦略


「所有と経営の一体化」「創業者の専制」

 作る側から考えれば当然そうなる。初代であれば。それがどうして駄目なのか。→課題


 CIAがファンドを持っていて税金でスタートアップ企業に投資、育成だなんて。IT企業を育てる資金力が違うってこと。それは国防技術の囲い込みでもあるんだね。


 国が積極的に新技術に投資囲い込みする。その技術を持つ飛鳥がイギリスに来たら…。ヘンリーとかエドの背後の思惑は? この辺り整理して書いたら、面白い。


第1章 高株価を武器とするフィンテック企業


 グーグルの創業者独裁を貫く株式発行の仕組みと、フェイスブックのワッツアップ買収の経緯。


 グーグルのやり方を傲慢だというけれど。なぜ傲慢なのか。誰に対して傲慢なのか。著者はどの視点で批判しているのだろう? 一般株主として? 創業者が最も利益を得る仕組みだから? 株価が上がり続ければ、株主も黙る。それを見越したやり方が、株主を馬鹿にしているというのだろうか。

 寡占状態が世界を歪にしていく可能性うんぬんならともかく、長期の視点で経営したいから目先の四半期決算の上下に目くじら立てられたくない、と投資家の議決権を煩わしいものとして、初めから締め出すの、すごく解る気がする。



第2章 積み上がった金融資産――フィンテックを押し上げる巨大マグマ


 日銀の異次元金融緩和が生んだ、資産格差。そこからの、貧困ビジネスに利用される「メルカリ」、銀行を介在させない地下経済の成立。IT依存から土俵そのものを奪われかねない銀行。2018年の本だから、ここから更に具現化されていると言えるんだろうな。

 これまでの金融を独占してきたと同時に、危機管理ノウハウを積み上げてきた銀行に、この短期間で成り代わろうとしているIT企業がもたらす構造変化が、急速に社会構造をも変えようとしているということでいいのかな。

 長期的な視点で企業や社会を育てるのではなくて、金だけが急流となって動き回るようなそんな仕組み。



第3章 金融の異次元緩和と出口リスク


 日米欧の金融緩和政策を解りやすく説明してくれている。やっとマイナス金利の仕組みを理解できた。

 減価速度において、消費財に比べて通貨は遅い。だから先行き不安が強いと流通が滞り、溜めておこうとする。これは書かれてないことだけど、だから穏やかなインフレを起こして、溜めておくことで通貨価値を減価させる政策をとるんだね。

 当座預金に預ける金に対してマイナス金利をつけることで、市中銀行にお金を溜め置かない処置を施しているのに、中央銀行が買い上げることで回した現金は、確実に買値を上回って買い上げられる国債買いに回され世の中に流れない、みたいなオチもあったような気がする(うろ覚えだけど)。


 こうして読んでみると、背筋の寒くなるような話だわ。



第4章 新しい型のIT寡占と情報解析戦略


1.目白押しの新技術


 なんか役立ちそうな用語解説。


・フィンテック 「金融」と「IT」の融合(簡単に言えば)。新しい生態系と

        して理解されるべき。


(a)P2P(ピア・トゥ・ピア) 

                システム管理者とその監督を受けるユーザ

                ーという上下関係ではなく、システムに参

                加するのはすべて対等の人たち(ピア)である。

                複数の端末コンピューター間で通信する。

                              

(b)プラットフォーム    コンピューターにおいて、ソフトウェアが動作

               するための土台(基盤)として機能する部分。

   プラットフォーマー   提供する側 例:マイクロソフト、GAFA、BAT(百度、アリババ集団、テンセント等中国企業)など


(c)ブロックチェーン     ブロックと呼ばれる順序づけられた記録を連

                続させる技術。しかし実際には相互に切り

                離され、P2Pで想定されているような真の共

                同作業など行われていない。


(d)アルゴリズム取引     自動売買システム。ちなみに「アルゴリズ

               ム」はコンピューターで演算を行う際の「計

               算方法」。

                

(e)インシュアテック    「保険」と「技術」を組み合わせた造語。これまでになかった保険商品の開発、顧客向けサービスの改善、後方業務の改革などがその内容。

 例:個々人の生活習慣を把握、保険料に反映。(各人ごとに適切な負担→高額保険料を課せられる人は保険に入らなくなる?)



【フィンテックの破壊力】


 金融の不安定=債権と債務のミスマッチ。債務償還時に、それを可能とさせる債権が決定的に不足することが金融危機を引き起こした。

 →原因は「レバレッジ」


「クラウドファンディング」による資金集め。浮動的な個人感情、評判に左右される。SNSに大きな影響力を持つ寡占的な「プラットフォーマー」によるデータ提供の仕方次第で、個人から資金提供を受けたい組織の評判が決定されてしまう。


 フィンテックの良い面:資金の融通を円滑にする機能。しかしそれはデータの質に左右される。

        悪い面:起伏の激しい人々の評判に依存しているため、「不良債権」を増加させる可能性も。→大規模企業倒産を導く。「システミック・リスク」を生じさせる。


「システミック・リスク」 個々の金融機関の破綻の連鎖が、金融システム全体を麻痺させるような危険性のあるドミノ倒し的なリスクを指す金融用語。

        


2.巨大プラットフォーマーへの危惧


 アマゾンやグーグルの寡占への危惧。フェイスブックの個人情報流用した政治利用。洗脳。


「ITの寡占的巨大企業は、ユーザーに、深く考えもせずに、情報を得たり、ゲームをする際に、自分たち(プラットフォーマー)に依存する性向を形成しようとしている。この繰り返しの中で、人々の思考様式が一定の方向に定式化させられてしまう」



 「ルネッサンス・テクノロジー」ジェームズ・シモンズ、吉野の師匠のジェームズ・テイラーのモデルやわ。

 

「人間が陥りやすい感情や認知バイアスをすべて排除し、まるでロボットのような運用を創業以来貫いてきたのが特徴」って、感情を数値化して組み込む、吉野とは正反対やんか(笑)。()

「人間の思い込みは正しい判断を鈍らせるとして、経済のファンダメンタルズ分析や人間の経験を一切運用に取り入れない」


「古い投資理論や人間の判断に基づくことに限界を感じ、機械学習や深層学習(ディープラーニング)などAIの研究成果を投資にいかそうとしている」


 運用テクノロジー=HFT(高頻度取引)、アルゴリズムによる自動トレード、AIによるデータ分析


「クォンツ・ショック」あるファンドの成功モデルを別のファンドが複製利用されたことで成功が害されたことが明るみに。

 →最新のAIは、複製発見後すぐに異なる種類のモデルに切り替える。


「AIが現実の経済社会に組み込まれることを望むかぎり、その開発者たちは、他とは区別される差別的な方向を競い合う性情を持つらしい」



 図書館でなんとなく手にとっただけの本なんだけど、めっさ面白い。大当たり!


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