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読んだ本の記録  作者: 萩尾雅縁
【小説・ラノベ・漫画・ノンフィクション】
37/47

「Heartstopper」(イギリスの漫画)

 Alice Oseman 著


「英国のBL漫画、「ハートストッパー」がネトフリでドラマ化するの!? グラマースクール(男子校)の二人の少年の恋愛」


 という、ツイートを見て読みました。


 2-8話 チャーリーを初めて自宅へ招待したときの、ニックのお母さんの評。


「H's very different to your other friends, isn't he? You seem much more like yourself around him」(彼はあなたの他の友達とはとても違うわね。あなた、彼のそばでもっとあなたらしく見えるわ)

「Do I?」(そう?)

「You do.」(そうよ)


 友だちとしてのチャーリーがどうのこうのって、言うんじゃなくて。この新しい友人といるときの息子が彼女の目からはどう見えるか。こういう肯定のされ方、いいな。

 そういえば、ビルさんも私がイギリスへ着いたばかりの頃、Nさんに同じように言われたと言っていた。「とても嬉しそうに見える」って。




  しかしこれ。ベタすぎてなんかもう、ニヤニヤ笑いが止まらない。やっぱり、ヒットするのって、王道中の王道をてらいなく進んでいけるやつなのかな。



「I'm used to it by now.」(もう慣れちゃったよ)

「It's not your fault.」(きみのせいじゃない。きみは悪くない)


 自分がよく使うこんな表現が、ここでも頻繁に使われていて、ちょっとほっとする。特にこの、fault これでもかってほど使われる。(悪い)責任が誰に属するものなのか。そこを明確にするのは、個人の気質というよりも、精神風土なのか。比較文化論なんかでよく問題にされる箇所だね。



 ところどころで挟まれる、二人の親や、チャーリーの姉弟、ラグビーのコーチの視線が優しくて、冷静、そして温かい。ちゃんと大人。


 そして、女友達。ストレートの子もいればレズビアンカップルもいる。それにストレートの同性友だちも。そんな理解者たちに慰められ、支えられていろんな葛藤を消化していくんだな。


 つき合うまでの初々しい葛藤から、カミングアウトと向き合う恐怖を孕んだ重い葛藤へ。チャーリーは自身のトラウマ的な体験から、かなりナーバスで抑うつ的になっていく。ストレートから、チャーリーを好きになって混乱していたニックよりも、幼いころから自覚のあったチャーリーの方が、病んでる。自身のトラウマもあるけれど、それ以上にニックに同じような想いをさせたくないという負い目のようなものがある。ゲイであることの罪悪感。理不尽な差別や攻撃に対して怒りを露わにできるニックに、救われると同時に、その怖さを知らないからと不安にもなるようで。



 sneaking 忍び歩く

 flirting with (性的に)誘惑する


「you don't get to ambush me into forgiving you in front of everyone.

  One"sorry" doesn't make up for all the things you said.

  So congrats on your incredibly difficult realisation that gay people actually do have feelings and have a nice life.」


(みんなの前できみを許すように僕を襲うことはできないからね。

「ごめん」の一言で、きみの言ったすべてのことを補えるわけがない。

 だから実際、ゲイが感情を持っていて素敵な生活を送っているなんて、きみにとっては信じられないほど難解な認識おめでとうだ)


 自分を侮辱した相手に、面と向かってタンカを切るチャーリー。




 つき合って、毎日デートしてキスする仲なのに、「I love you」を言うのに真剣に悩むチャーリー。言いたいのに、それが同じように返さないといけないという重荷になってしまっては、という。

 彼の弟は、「愛してるって言う意味は、永遠に一緒にいたいって意味だよね」とチャーリーに尋ねる。


「霧のはし」で書いた「愛してる」の告白の意味と、ちゃんと合っていて良かった!


 ニックはチャーリーの摂食障害を心配しているのに、侵襲的な介入はしない。出会いの、チャーリーの元カレとのいざこざの時は、もっとずかずかとした介入してるように見えたのに。


 assumed 偽りの、装った

 cure 治す

 obviously 明らかに

 nutritionist 栄養士


「愛は心の病を治すことはできない」

「16歳の恋人の方には重すぎる」


 チャーリーの摂食障害を心配して泣く息子に応える、ニックのお母さん。

 お母さんのアドバイス、とてもいいな。(シーン#134)


 摂食障害の治療で入院するチャーリー。その症状を語る言葉は、統合失調ぽい自身を迫害する声。精神病としての迫害者の声ではないのだろうけれど、自分ではコントロールできない。そして、恋人ニックにも、そばにいても助けることはできない。

 しかし、ハードな展開になってきた。なんだか、マシューや、コウの話とモチーフが被っていて、面白い。コウの話をもっと現実に沿わせて膨らませば、もっと受け入れられる話にできるんじゃないか。




「I was so scared of losing control」(コントロールを失うことが怖い)

「Eating was something I could control」(食べることは、コントロール

できる何かだった)


 このチャーリーの摂食障害の症状が、食欲をどうこうではなくて、マイルール通りかどうか。強迫神経症ぽくて。雰囲気的に自分を罰するみたいで。もっと丁寧に訳してみないと、それであってるか判らないけど。

 こういう雰囲気で捉えてるからなぁ。


 anorexia 食欲不振、拒食症

 OCD (Obsessive Compulsive Disorder)強迫性障害

 relief (苦痛・心配などの)除去,軽減.

 stuff 材料,原料

 hilarious 大変陽気な、とても楽しい


 退院してニューイヤーを二人で迎えるまで。その後、入院やセラピーを振り返るチャーリーのモノローグでいったん中断。


 また、辞書引きながら読もうかな。映画よりも日常会話表現を覚えられる気がする。





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