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読んだ本の記録  作者: 萩尾雅縁
【精神分析・心理学】
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「赤ちゃんはなぜなくの」(心理学)

「赤ちゃんはなぜなくの-ウィニコット博士の育児講義- (子どもと家族とまわりの世界(上))」


 D.W,ウィニコット 著




 もう前書きの時点でツボる。


「最もよい母親のかかわりは、自然に自分自身を信頼することから生まれてきます。自然ににじみ出てくることと、学んだこととは、違うのです。私は、自然に生まれてくるものがそこなわれないように、この二つを区別しようと努めているのです」


「出生直前の母と子の関係や生後一週間あるいは数か月の間の母子関係をとても重要であると考えている」


 自分の子どもに対して献身的であることによってのみなしえる貢献。


「依存ということに気付くことのできない生まれたばかりの頃には、私たちは絶対的な依存の状態にあった」


 この依存に気付かないでいれば、健康を損なったり、恐怖から生じるつまづきを残すことになる。


 母親の役割についての真の認識がなければ、漠然とした依存の恐怖が残るに違いない。


 →一般、あるいは特定の女性に対する恐怖。

 →常に支配されるという恐怖を含み容易に識別できないような形をとる。


 支配される恐怖は、支配されることを避けさせようとはしないで、特殊な支配や選択的支配へとかりたてる。


 支配者心理では、私的な闘争のなかで、女性からの支配を無意識的に恐れ、女性に順応し、女性のために行動し、そのかわりにあらゆる服従と「愛」を要求することにより女性を統御しようとしている心理がある。


 女性恐怖は、生れたばかりの頃の絶対的依存を認めることの恐怖。



【第一章 母性の考察】


 幼児の世話をしている人たちのはたしている役割の重要性を理解する。


「母親が自分のしていることをよく理解できなければ、自分なりのやり方を主張するてだてがなく、言われたことや、自分の母親がしてくれたこと、あるいは本に書いてあることなどをそっくり真似しようとし、自分自身しなくてはならないことが出来にくくなってしまうのです」



 精神分析医ではなく、小児科医としてのウィニコットの、お母さん方を対象とした講義なんだけど、対象関係論の基礎の基礎を学んでいる感じ。これから育児を始めるお母さんに、「依存」と「恐怖」を解いてついていけるのかな、って気はする。



【第二章 あなたの赤ん坊をよく知ること】


 妊娠によって母親「個人」の生活が防げられることを知らしめられる。

 関心は外側から自分の内側へ向う。世界の中心は自分の体の中にあると信じるようになる。


「赤ん坊を一人の人間として理解し、生れた時からこのように理解していく価値あるものと感じることが最も重要である」


「私があなた方の立場であれば、

 ――すぐさま取り組んでこの生まれたばかりの人を理解しようとするでしょう。そして赤ん坊にも私を理解させるように努めるでしょう。


 中断することなく広がっていく親密な関係。


 子どもが発達途中で遭遇する葛藤やショックに対処する能力の基礎を築く助けとなる。=情緒的発達。


 あなたは赤ん坊がどのような状態にいるのかを知らなければ赤ん坊を助けることはできません。

 ・満足しそれほど興奮していない時。

 ・興奮している時。

 どうしようもならなくなるのは、赤ん坊が興奮した時だけ。


 赤ん坊の全てを充分に理解しているわけではないと、


 欲求不満のかたまりの赤ん坊は、自分の内側に猛り狂うライオンや虎を秘めている人間。赤ん坊はまた、自分自身の感情に怯やかされている。あなた方にこのようなことすべてを説明してくれる人がいなければ、あなたもまた怯えることになる。


 赤ん坊をよく知っている場合、赤ん坊の興奮の程度が分かり、それを愛の形として認識。


 思うようにならなくてむずがっているとき、

「赤ん坊は自分の感情そのものに怯えている」


「あなたが赤ん坊の信頼を裏切れば、野生動物にむさぼり食い尽くされるかのように赤ん坊には感じられる」

「赤ん坊に時間を与えなさい。すると赤ん坊は、あなたを発見するでしょう」


「そして何時かは、あなた方は互いに、あなたの乳房に対する赤ん坊の貪欲な愛さえも価値あるものと感じるでしょう」



【第三章 生きている人としての赤ん坊】


 母親が自分のしたいことをし、それを体験できることは極めて重要。

 →自分自身の中にある満ち足りた母親らしさを見出させる。


 母親が自分なりの判断で母親としての十分な責任を果たす。


 言われたことだけをする母親は、いつまでも人から言われたことをし続ける、また母親が何をすべきか忠告してくれるより良い人を選び利用し続けていかなければならなくなる。


 母親の心に自然に湧いてくる方法で自由に世話をしようという気持ちが、成長を促す。


 父親は母親が心のゆとりを持てるような余地をつくることで手助けができる。


 生れたばかりの赤ん坊は、母親の絶対的愛を必要としている。


 人間の健康の基盤は、生後数週間、数か月のうちに、母親によって築かれる。

 そのようなかかわり方をするのは、ほんのわずかな期間だけ。


「まず、あなた方自身を楽しんでください! 大事だと思うことを楽しんでおやりなさい

「あなたの夫が、あなたや赤ん坊の幸せに責任を感じるような方法で楽しんで下さい」


 気苦労は大部分無知に由来する。


 ・赤ん坊の身体や心の中で起こっていること

 ・発達していく人としての赤ん坊

 ・赤ん坊が混乱しないように世の中のことを僅かづつ指し示していく方法


 について。



 赤ん坊は、世話が必要だが、生きることや成長へ向う力が生まれながらに備わっている。


「赤ん坊のなかに生命過程が連続していることを知るために自分たちが安心できることならどんなことでもしようとする」親。


 これは、親のかまいすぎについてなのかな。自身の安心のために、赤ん坊に干渉する。気をつけなきゃ。


「赤ん坊は成長するのです。あなた方は、適切な環境を提供するお母さんなのです」


「赤ん坊は生きている人(going concern)という考えを受け入れることができれば、あなた方は赤ん坊の要求に応えることを楽しみながら、赤ん坊の発達のなかで起こってくることを見つけては多くの興味を味わうことができるのです」




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