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「刺青・秘密」(小説)
谷崎潤一郎 著
究極の美女に土下座し、踏みにじられたい。
谷崎が描くエロティシズムの極み。
肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が、年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。
性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全七編を収める。
用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。
これをマゾヒズムと言っていいのか判らない。刺青師のアニマとして、娘像を思い描いた。支配され差しだす自我と、支配するアニマは同一なんじゃないか。
支配者としての刺青師が、自らを支配する対象を創り出しコントロールするのだから。




