「妖精にさらわれた男の子」(児童書)
―アイルランドの昔話 単行本 – 1999/7/2
W.B.イェイツ (著), N.フィリップ (編集), 山内 玲子 (翻訳)
素朴でときには意地悪な人間そっくりの妖精と,人間たちとの知恵比べ.不思議な地形のいわれを語る数々の物語.詩人イェイツが各地で聞き集めた民話集から,フォークロア・児童文学研究家によってさらに編まれた,アイルランド妖精物語のエッセンスをつたえる1冊.イェイツ自作の詩1編と昔話19編をおさめる.
1.「妖精にさらわれた男の子」
冒頭の詩って、「夏の扉を開けるとき」で使った詩やん。
2.「司祭さまの食事」
妖精たちって、堕天使なのか。妖精との取引は魂を質に入れるようなもの、と、認識も悪魔に対するもののよう。
「良い人たち」は有名よね。他に、よいお隣さん、紳士がた、正直な人、小さい人、ちっちゃい人などがよく使われた。
「妖精」と名指しで呼ばれることを嫌って危害をくわえることがないように、って、日本の忌み言葉みたいね。
3.ノックグラフトンのこぶとり妖精の伝説
日本の「こぶとり爺さん」の話とほぼ同じ。鬼の宴会と、妖精の歌、介入する場面の違いが文化の差?
4.ドニゴールの妖精
鍋の中に落ちた妖精の小咄。怒らせたらどんないじわるをするかわからない。けれど、親切にしてあげたらいいお隣さんになってくれる。
とりあえず、自分の過失を人間のせいにしたりはしないらしい。
5.ジェイミー・フリールと若い娘
これ知ってる。妖精が娘をさらって、それを横取りしてくる話。
6.ノックメニーの巨人伝説
名前だけは聞いたことのある、巨人クフーリンをやっつける話。
「女の智慧と落着きをもってすれば、成し遂げられないことなど、あるだろうか」
奥さんのウーナに頼りっぱなしのフィン。ウーナの知恵でもって危機を切り抜ける。
*ナイトキャップ 寝酒の意味のほかに、山の頂上にかかる雲の意味も。
7.十二羽の雁
出だしは白雪姫みたいで、物語は白鳥の王子っぽい。グリム童話にあった嘘をついた娘の話にも似ている。
呪いをかける妖精と、援助する妖精が同じなのはこの手のお話では初めて見るかも。
呪いは「邪な願い」に対する罰であって、善意の者に対しては援助を惜しまない。でも、呪いを解くのは、呪われた王子たちではなく、当事者の王妃でもなく、呪いの原因となった王妃の願いによって生まれてきた娘。本人の責任じゃないのに因果律がかかってくるんだね。
読んでいると面白いけれど、本を閉じるとつい後回しにしてしまうので、読んだのはここまでで、返却期限がきてしまった。また借りてこよう。




