「ケルト妖精物語」(説話集)
「ケルト妖精物語」 (ちくま文庫) W・B. イエイツ (編集)
月夜の緑の草原や、青い海原の底で、バラエティーに富んだ妖精たちと人間が織りなす詩情ゆたかな物語のかずかず。アイルランドで何世紀にもわたって語りつがれ、今なお人びとの心に息づいている祖先ケルト民族のさまざまな民間伝承や昔話のなかから、妖精譚のみを収めた古典的名著。付録にイエイツの「アイルランドの妖精の分類」を収録。
詩と説話で綴られている。幻想怪奇譚といった物語もあって面白い。
「タイグ・オケインと死体」の話が好き。
「風は冷たく、道は悪かった。背中の荷物は重く、夜は暗かった。そして、自分自身も疲れ切っていた」
この文章が好き。背中の荷物とは、放蕩息子のタイグが偶然出くわした妖精たちに押し付けられた、喋る死体です。この死体を埋める場所を求めて、一晩中あちこち放浪させられるお話。無事に死体を葬った後、タイグは人が変わったように真面目な人間になっていたという。
「ノックグラフトンの伝説」は、瘤取りじいさんだ。二人目の男が瘤をくっつけられるところまで一緒。こういう説話の相似点って、いつも不思議に思う。
プーカ族…… 動物の精霊。11月の精霊。
いろんなものに姿を変える。すべての精霊と同じように、この形ある世界では、半分の存在であるに過ぎない。




