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108話 羽根猫と悠





こんばんは、皆さん。五樹です。今晩は立て続けになりまして、すみません。取り急ぎ、大きなトピックスがありました。



羽根猫に、「あの子はもう居ないよ」と、悠が言ってしまいました。


今日、僕達はまだ3時間しか眠らず、夕方に目覚めました。悠がさっき、昼食を食べたばかりです。


外は雨、夜で真っ暗。夫君の帰りは朝の7時なので、悠はずっと一人です。それが怖かったのでしょう。悠は眠って僕に交代し、僕、五樹が目覚めました。



本題に入る前に、悠と羽根猫の関係について話しましょう。


羽根猫と悠はほとんど関わりませんが、悠が僕と交代する時には、僕が部屋のドアを開けるからか、羽根猫を見つけた悠が部屋に入っていく事がよくありました。


でも、羽根猫は警戒心が強く、悠はいつも威嚇されたり、引っ掻かれたりしていました。羽根猫は、どうやら僕にしか懐いていなかったようです。



でも、今晩の悠は、「家に一人きり」という、幼い頃に時子が陥った、「悠」という人格を作るに至ったトラウマを再現されてしまったのです。


彼は混乱し、怖がりながら心中に戻って、泣いていました。以下に、その時の羽根猫と悠のやり取りを書きます。



「うう〜…怖いよ〜…」


僕の耳に悠の泣き声が響いてきたのは、僕が目覚めてすぐでした。


悠は力無くしくしくと泣いていて、そこへ、羽根を畳んだままの羽根猫が近づいてきます。僕は、目には見ていなくとも、心中がどうなったのか、解っていました。


「怖くないよ」


そう声を掛けられて驚いて悠が顔を上げると、いつもは悠を攻撃していた羽根猫が目の前に腰を下ろしている。猫好きの悠はとても喜んだでしょう。


「羽根猫ちゃん!」


ところが、羽根猫は悠を慰めるのを早々にやめて、自分の用件を切り出します。


「あの子、探しに行こうよ」


悠はそれを聞き、顔を引きつらせました。羽根猫の言う「あの子」が誰なのかも、悠は記憶として僕達から受け取って、知っていたからです。


悠はとにかく、その場をきりぬけるためだったのでしょう、こう言いました。


「今は行けないよ。五樹お兄ちゃんが戻ってから…」


“行こうよ”と悠が言い切る事は出来ませんでした。羽根猫はすかさずこう言います。


「あの子、もう居ないの」


その時、悠はなんと言えば良かったのでしょうか。それはきっと誰も分からないでしょう。悠は我慢出来ず、悲しそうに「うん」と頷いてしまいました。



今、心中からは何も聴こえません。でも、目を閉じれば、11歳位の子供が猫を抱いているのが見えます。


羽根猫は、きっと真実には怯えないでしょう。時子は、真実を怖がる人ではありません。だから、大丈夫です。


羽根猫の事は、これで一区切りになるかもしれません。まだ分かりませんが。


大人として、これが歯痒く悔しい出来事なのは変わりません。でも、今はこれでよしとしましょう。



報告だけだったのに、少し長くなりましたね。お読み頂きまして、有難うございます。急に寒くなりましたので、どなた様におかれましても、お風邪など引かないよう、お気を付け下さい。それでは、また。





つづく

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