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100話 脳内会議





こんばんは、五樹です。先の更新から1週間程ですね。



僕も驚きましたが、「統合した時子」に言い負かされてから少しして、「弱々しい時子」は、僕達と自由に対話が出来るようになり、僕達の記憶も共有出来るようになりました。


強がっていた「統合した時子」が誰だったのかは、僕にもよく分かりません。彼女が現れる時は、僕も眠っていましたから。


どうして、今まで出来なかった記憶の共有と、脳内会議が出来るようになったのかも、僕は見通せませんでした。


彼女、「統合した時子」が居なくなってから、時子は心中に眠っている時でも、しょっちゅう僕に要求を言うようになりました。


前は、時子が眠っていて別人格が目覚めている時は、主人格の時子は全く眠っていました。だから、記憶も対話も不可能でした。僕達の間には、分厚い壁があったように思います。それがどうやら決壊したのです。



記憶の共有をするようになって、僕はこっそりと自分の好きな物を食べたり、ちょっと刺激的な動画を観たりする事は出来なくなりました。


ポテチを食べようかなと思うと「ダメ!」と聴こえてきて、怖い動画や写真は「やめて!」と言われます。


でも、前よりも時子は僕を怖がらなくなったので、非常識な事は拒否されますが、常識の範囲内であれば、怒られる事は減りました。以前は食事をしていただけで怒られたものですが。



“脳内会議”という単語をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。それはどうやら別人格全員か、もしくは数人が参加して話し合う物のようですが、時子がまだ少し僕達を怖がっているのか、主人格も参加して、というのはあまりやっていません。


でも僕は、脳内会議に主人格も参加出来るとは知りませんでした。それはどうやら可能なようだと、時子の叔母は言っていました。


時子は、僕の事は気に入ってくれているようなので、僕とはよく会話をします。


これは、今日、時子の夫に頼む買い物について、僕が夫君にLINEをしていた時の話です。



僕は、LINEにこう打っていました。


「買い物は牛乳ぐらいかな。他は特にありません。お願いします。」


すると、頭の中で、時子が「ドーナツ!ドーナツー!」と叫ぶ声がしました。なので、僕は返事をして、少し会話しました。


“却下します”これは僕。


“えー!”これは時子。


“えーじゃない。ドーナツは、砂糖を使わずに作っている会社はないでしょ。君この間パフェを食べたばかりじゃないか”


“やだー!ドーナツー!”


“ダメです。この後、砂糖無しのチョコレートでチョコレートミルクを作るから、それを飲んでなさい”


“はーい…”



脳内会議って、こういう物なんでしょうか?どうも生活感に溢れていて、サイコホラー映画などでよく観る、差し迫った状況ではないなと思いました。まあでも、人の生活の多くは、さして重要でない事ばかりでしょう。



僕がチョコレートミルクを作ったからかは分かりませんが、時子は、さっき起きて家事をしてから、深煎りコーヒーを淹れてくれました。


コーヒーをテーブルに置き、僕に交代した時子。僕を呼び出すのも大分スムーズになったと思います。


まるで僕達は、この状態が自然であり、病ではないかのように、もう誰も多重人格である事に悩んでいません。それは、時子が僕達の記憶を見る事が出来るようになったので、“得体の知れない者達”と思わなくなったからだと思います。


でも、「悠」だけは未だに「自分は時子という女性の別人格である」とは知りません。彼の存在の特性上、それは仕方ないと思います。課題が無い訳ではありません。



このように、状況は変わっていきます。でも、よい方へ変わったなと思いました。


いつもお読み頂き有難うございます。早いもので、この小説も100話になりました。もちろん、病気が治って連載が終わるに越した事はありませんが、こうして病の中を歩んで行くのに、読者の方がいらっしゃれば心強いと思いますし、有難いです。これからもどうぞ、よろしくお願いします。それでは、また。





つづく

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