依頼狩の生活
依頼狩
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この世界には、日本とは違い、魔物と呼ばれる生物がいる。
聞いたことはあるだろう、「剣と魔法の世界」、スライム、ゴブリン、ドラゴン、オークだけではなく、人間、精霊、魔族と言った生物が住む異世界。
その世界の名は、【舞笑様盤】と言う。
その世界の人間は、剣を使う「剣士」、魔法を使う「魔法使い」物理攻撃に特化している「武闘家」、治癒魔法や補助魔法が得意な「僧侶」、そして魔王を討つ「勇者」と言った職業がある。
そう見てみると、彼はやはり特別なのかもしれない___。
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「さてと、今日も依頼をこなすか。」
「うーん、薬草採取に、ゴブリン10体討伐、ホーンラビットの森の見回り、あとは...」
「ペット探し、そして、魔法の手伝い、だな」
「よし、これを頼む。」
受付に依頼書を数枚持っていくと、声をかけられた。
「今日もたくさんですね、大丈夫なんですか?」
「あぁ、大丈夫だ。いつものことだからな。」
声をかけたのは、受付嬢のウラウミ・シャローラ。
彼女は彼とは長い付き合いなのだ。
「わかりました、お気をつけて!」
「あっ、そうだ。オルクスさん。」
「なんだ?」
「私、今日用事があって早く帰ってしまうので、依頼報告の時には気をつけてくださいね。」
「あ〜。分かった。」
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クエストをたくさん受ける彼、付けられた異名は「依頼狩り(クエストキラー)」
彼は一体何者なのだろうか。
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「さてと、まずは簡単なのから行くか、そしたら、魔法の手伝いだな」
【魔法の手伝い】
「お前が依頼者のタルトか?」
「そうです。魔法の手伝いをお願いします」
「具体的にはどんな魔法使いなんだ?」
「僕の適正は、炎と水、その二つの適正魔法を組み合わせてみたら面白いんじゃないかってそう思ったんです。それで、得意なファイアボールとアクアリウムを合わせようとしてみたんですが、炎と水とでは、相性が悪くて、どうもうまく出来なくて。」
「そうか、まずそのファイアボールとアクアリウムの組み合わせを見せてみてくれ。」
「はい。」
「我が魔法の水晶に合わせ、水の壁を創造せよ!アクアリウム!」
彼がそう詠唱を唱えると、ドーム型の水の壁ができた。
「我が魔法の炎晶に合わせ、炎の球を想像してせよ!ファイアーボールッ!」
そう唱えると、水の壁対して炎の球が当たった。
だが、魔法は不発、水の壁に対して、炎の魔法の粘土が足りない。
「いい魔法だな。面白い」
「ありがとうございます!」
「よし、修正していこう。」
「まず、アクアリウムに対しての魔力の消費が大きすぎて、ファイアボールの威力が下がっているため、魔力の大きい水に耐えきれず、ファイアボールはそのまま水に消化されてしまう。そこが問題点だ。」
「はい、、、ではアクアリウムに対しての魔力の込みを少し下げるといい。そう言うことですか?」
「あぁ、そうだ。やってみろ。」
「はい!」
「いい感じだな。試してみろ。」
「はい!」
「我が魔法の水晶に合わせ、水の壁を創造せよ!」
「我が魔法の炎晶に合わせ、炎の球を創造せよ!」
「水包壁炎弾!!」
ドーム型の水の壁ができ、炎の球が直撃。
水爆弾の完成だ。
「できたな。」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあな。他のクエストがあるから。」
「ありがとうございました!」
よしっとりあえずひとつだ。
【ペット探し】
「あなたが依頼者のリリアさんですか?」
「はい、ホーンラビットのメイを探しています。どうか一緒に探してくれませんか?」
「特徴は?」
「メスのホーンラビットです。頭に小さな桃色のリボンをしています。」
「わかりました。」
「探知」
それらしきものを発見。この方向は...ホーンラビットの森か?
行ってみるか。
?「それらしきものが探知でひっかかりましたので、そちらに行ってみます。リリアさんは、家でメイちゃんの帰りを待っててください。」
「わかりました。お願いします。」
「飛行」
「と、飛んだ!?」
彼はホーンラビットの森へと飛んで行った。
ホーンラビットの森か、、、、ちょうどいい、2個か3個は稼げそうだ。
「よっと。」
「まずは...探知」
「ゴブリンの巣が一個あるな...それと、ホーンラビットの巣もあった。行ってみるか。」
オルクスが歩いていく方向には、ゴブリンの巣があった。
ゴブリン、槍ゴブリン、ハイゴブリンにホブゴブリンにウィザードゴブリンといったでかい集落のようだ。
「数が多いな...そうだ。えっと...こんな感じか...」
「アクアリウム・バレット」
さっき、タルトと作った魔法を早速使った。広範囲魔法だから使い勝手が良さそうだ。
ゴブリンは急に魔法が放たれ動揺している。そして、すぐに警戒に入った。
先程のようにドーム型の水が集落を覆い、炎の弾が直撃、そのまま爆発。
ゴブリンたちは、一斉に死んでいった。
煙の奥になにかでかい人影のようなものが見える...これは...。
ゴブリンキングにゴブリンクイクイーン。ホーンラビット森にこんなでけぇゴブリンの巣があったら、生態系が崩れるな。街に被害が出たら面倒だ。倒しちまうか。
「誘導・貫通エンチャント:雷撃高矢線!」
雷の矢がオルクスの頭上に発生した。
そのまま2匹直撃。
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やはり彼は面白い。
ゴブリンキングとゴブリンクイーンを同時にを一発とは...
ふふふ...
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「よし。収納」
「メイちゃんのところに向かう途中で、薬草を採取していこう。一つ見つかればいいんだが...おっ、あった。」
「植物増殖」
彼が薬草に魔法を放つと、ひとつの薬草が数倍に増えた。
「どうせなら、上薬草にしておくか。」
「性能上昇」
「これで上薬草だな。」
「おっ、あれはまさか...」
「君がメイちゃん?」
「???」
「あっ、忘れてた。言語理解」
「君がメイちゃんかな?」
「話せるのですか!?確かに、私はメイ。リリア様にはメイちゃんと呼ばれていますが。あなたは?」
「俺は、君のご主人様の依頼を受けた者。オルクスだ。君が迷子とのことだったので、探してきたんだ。」
「そうだったのですね。ありがとうございます。でも...」
「どうしたんだ?」
「このホーンラビットの森に大きいゴブリンの巣ができてしまって仲間が心配なんです。」
「あぁ。そのことなら心配ない。俺が片付けておいたから。もう安心だ。」
「本当ですか!?それは良かったです!」
「さぁ、いこっか。君のご主人様が待ってるよ。」
「はい!」
「メイちゃんが無事に見つかりましたよ。」
「ありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか。」
「いえいえ、無事で何よりです。」
「ありがとうございました。」
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依頼狩り(クエストキラー)はずっと依頼をして、1日を終えてしまう。
彼は一体なんのために依頼をこなすのだろうか。
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オルクスくんはウラウミ・シャローラの言葉を覚えているでしょうか。
「私、今日用事があって早く帰ってしまうので、依頼報告の時には気をつけてくださいね。」
次回は依頼報告です。