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鮭くんとかえるくんの旅
第3話 はじめまして
隣りあわせで産まれた、ふたつのたまご。
鮭のたまごと、かえるのたまごです。
たまごから孵って最初に目にしたのは、目の前の生きもの。
違和感もありません。
だからお互いを家族や仲間のように思ったのかもしれません。
「きみはだれ?」
鮭の赤ちゃんがたずねます。
「きみはだれ?」
かえるの赤ちゃんもたずねます。
「ぼくは鮭」
「ぼくはかえる」
「かえるくん、なんかぼくと違うね」
「鮭くんも、なんかぼくと違うね」
生まれたばかりのふたりの赤ちゃん。
どちらのお腹もぽっこりとはしていますが、全体にちょっぴり違います。
鮭くんのぽっこりはより大きく、かえるくんのぽっこりは鮭くんほど大きくはありません。
「なんか違うね」
「なんか違うね」
いつしかふたりは自然に近寄り。
すりすり、すりすり。
すりすり、すりすり。
頬を寄せあいます。
そして、ふたり同時にこう言いました。
「おもしろいね!」
「おもしろいね!」
こうして姿かたちの違うふたりは、友だちになりました。