表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
669/677

49話 さっさとこの騒動を終わらせて確認させろ

 

 こんな大量の【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】に襲われている状況であるにもかかわらず、僕はあまりにも感慨深いせいで涙が出そうだった。

 課金出来なくなってもうすぐ1年経ちそうになる前に、使用することでデメリットスキルを一時的にインターバルによって無効化できる最終派生スキルを獲得できるのだから。


 僕は効果もろくに確認せずに〖Yes〗を選択する。

 これがどんなスキルであったとしても、それを取得しないのだけは有り得ないのだから。


『スキルを得たわね。一体どんなスキルを手に入れたの?』

「今確認するよ」


 僕がエバノラにそう返事した時だった。


『ぐぅっ! もう、無理だ!』


 かなり辛そうなアンリの声が聞こえてきた。

 そちらに視線を向けると複数体の【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】の攻撃を必死に受け止めており、いつアンリを突破してこっちに向かって来てもおかしくない状態だった。


『クシシシ、仕方ないわね』

『キシシシ、私達でなんとか時間を稼いであげるから、どうにかしてそのスキルでこの状況を乗り切る術を考えなさい』


 マリ達はすでに僕がエバノラにスキルを弄ってもらってる間も、【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】から僕らを守るようにこの場から動かずに遠距離から攻撃したりしてくれていた。

 だけど今はエバノラを守る必要はないためか、アンリの傍に移動して率先して【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】と相対して時間を稼ぎ始める。

 もちろん“怠惰(ローリー)”は相変わらず寝てるだけだけど、それでもこの周囲なら敵に攻撃されなくて済むので助かってるけど。


 それはさておき今はスキルだ。

 僕は一体どんなスキルを習得したんだ?


 ………


 ………………


 ………………………は?


 いやいや待って。

 ん? これってできるのか? これ()()()()()課金できるのか?


『何をしてるの! 一体あなたはどんな力を手に入れたの?!』


 エバノラが【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】に衝撃波らしきものを放って後退させており、そんな風に戦えたのか――と、感心する余裕は僕にはなかった。


 群れを成す【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】とかもうどうでもいい。

 この最終派生スキルを使って果たして僕は課金できるようになるのかが問題だ。

 だから――


「さっさとこの騒動を終わらせて確認させろ。最終派生スキル[純然たる遊戯を(フリーミアム)享受せよ(ユーザー)]」


 スキルを発動させると僕の左手首にある入れ墨、【典正装備】が収納されている証から10個の光が僕が手に持ってるスキルのスマホへと吸い込まれていく。

 全ての光がスマホへと吸い込まれるとスマホは砕け散り光の粒子となるも、それが新たに別の形に形成される。


『な、なんじゃあれは?』


 徐々に形成されていってるため分からなかったのだろうけど、誰もが一度は必ず見た事のあるその形は察しの良い人間ならすぐに分かるやつだ。


『ガチャの筐体じゃと?』


 僕の背後に現れたのは当然とも言うべきかガチャだ。

 僕の背丈ほどもある半透明のそれは明らかに非物質であり、干渉できないものであることは誰の目にも明らかだった。


 それが現れた後、僕の中から何かがごっそりと抜け落ちてその筐体の中へと流れ込んでしまったような感覚がしたけれど、今はそれはいいか。

 ()()()()()()()乃亜達に危害が及ばないようにアグネスをここで止めないと。


「3連ガチャだ」


 すでにこのスキルの使い方はスキルを使用した時に自然と頭に入ってきている。


 僕が指示するとガチャのツマミがガチャリと回る。

 1回、2回、3回と回るごとに取り出し口からポンッと出てくるのは親の顔より見たガチャ演出で光る色とりどりのカプセル。


 そのカプセルが勝手に割れ、中から現れたのはかつての強敵の幻影――【ドッペルゲンガー】【マッチ売りの少女】【アリス】だった。


 その3体が僕へと向かって飛び込んできて入ってくる。


『『『『『『はっ?』』』』』』


 と、同時にアグネスを含めたエバノラ達が僕が【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】のような何かを取り込んだからか、思わず声に出して困惑しだす。なお“怠惰(ローリー)”と“暴食(ビディ)”は無言。


 それはさておき次だ。


「セット、【ドッペルゲンガー】【マッチ売りの少女】【アリス】」


 そう宣言すると僕の身体が〔明晰夢を歩く者(アリス)〕を使った時のように変化しだした。

 ただいつもと違いがあり、それは衣装だろうか。

 いつもの〔明晰夢を歩く者(アリス)〕の衣装より黒っぽい上に継ぎはぎがあってみすぼらしくなっているのだ。


 さて、準備は整った。


「ここは僕の領域。夢は現実となり、虚構が世界を塗りつぶす」

『『なっ?!』』


 僕が自然と頭に浮かぶ言葉を紡ぐと、当然と言うべきか真っ先に驚いたのはマリとイザベルだった。

 それもそのはず。なぜならこの一節はこの2人が【アリス】を展開した時に使用した言葉なのだから。


「穴に落ちた少女は別の世界へと旅立った。

 鏡を潜り抜けた少女は別の世界へと旅立った。

 どちらの世界も所詮は夢。だけど夢が現実にならない決まりはないよね?

 さあみんなで一緒に現実()を見よう。その命が尽きるまで。〝ドリームエンド〟」


 僕を中心に真っ黒な球体を展開し、乃亜達を除いたアグネス達や全ての【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】を僕の夢の世界へと引きずり込む。


『う、嘘でしょ? こんな力有り得るの?』

『有り得ない、と言いたいけどこれが現実なのよね……』


 いつも人を小馬鹿にするような笑いをせずに呆然とする2人。

 かつて自分達が使った【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】の力を目の前で使われたらさもありなんと言ったところだろうか。


 そう。最終派生スキル[純然たる遊戯を(フリーミアム)享受せよ(ユーザー)]は自身が獲得した【典正装備】の元になった【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】の力をランダムで使えるという規格外のものだった。


最終派生スキルから出てくるものは蒼汰が手に入れた順で数字を割り振った後、数字をランダム生成で算出した物で、リアルガチャしました(笑)

それにしてもまともに戦えない主人公がついに週一で戦えるように……〔太郎坊兼光・破解〕より規模が大きくなっただけか。こっちも週一でしか使えないし。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ガチャで物語のフィナーレ決めたんですか!? デメリットとと言うなのメリット、スキル権能停止は果たして!?
…そんなことよりって言ったね…ガチャ欲…大丈夫ですかね…???
これで戦える、、、そう、、、思っていた時期が いやそれより何回だ何回ガチャできるかが重要なんだ!! て言いそう(*´∀`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ