表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
441/677

24話 ムリゲーにはムリゲーの理由がある

 

 〈ガチャ〉を回すのは危険だという警告を周囲にしたのはほぼ無駄ではあったけれど、一部の人は真摯に話を聞いてくれたのでその人達は助かってくれると思いたいところ。


「やれる事はやりましたし、わたし達はわたし達で何とかボスを倒せるように強化しなければいけませんね」

「だけど乃亜ちゃん。今倒しているゴブリン達はそんなに強くないけど、ボスってそんなに強いのか、な?」

「油断してはいけませよ咲夜先輩。ここの【泉の女神】相手では100体近いゴブリンと戦う事になる上に、どんな防具を着ていても一撃死させられる必殺技を向こうは使ってきますから」

『それだと誰が勝てるのです?』


 警告を終えた僕らは、乃亜が〝鍵〟を所持している5体のボスの内、【泉の女神】場所は分かると言うのでその確認のためにそちらへと向かっている。


 乃亜が向かう方向からシュッ、シュッ、シュッと謎の音が聞こえることを伝えたら、その音の場所にいるので間違いないそうだ。


 ゴブリンを倒して進むことしばらくすると、全員が謎の音が聞こえてきたようでそちらに迷うことなく進んで行く。


『はぁ……』

「いました」


 ため息をつきながら墨を磨っている【泉の女神】が乃亜の言った通り見つかった。


「あの人が【泉の女神】、なの?」

『透けているのです』

「へぇ、あれがそうなんだ?」

「……強くなさそう」

「透けている以外はただの女性だな」


 咲夜、アヤメ、ソフィアさん、オルガ、オリヴィアさんは視線の先にいる半透明の女性がボスっぽくないと思っているようだけど、それは間違いだ。


 僕らが初めて出会った時、【泉の女神】はゴブリンの物量攻撃に加え魔剣の大量生産とやりたい放題で、増やしているのがFランクダンジョンのゴブリンとその装備を強化した魔剣程度でなければどうにもならなかったほどなのだから。


 何故か今は哀愁漂わせて墨を磨っているけれど。


 その【泉の女神】を発見した後、しばらくアヤメ達にその時の僕らのレベルやどうやって倒したのか話している時だった。


『いつまでそこでお喋りをしているのですか』


【泉の女神】がこちらに話しかけてきた。


『夢の主と共に来ましたか。私と()()()()()()()レベルが低い上に装備もろくに揃っていないようですね。

 どうしますか? 私と戦いますか?』

「ん~?」


【泉の女神】がゲームで言えばまるで目が合えばバトルになる敵とは違い、こちらが話しかけるまでどれだけ周囲をウロウロしてもバトルにはならない敵のように、問答無用でこちらと戦おうとするのではなく、戦うか戦わないかの選択をこちらにゆだねてきた。


 そんなゲームじみた行動の【泉の女神】はともかく、乃亜が何故か首をひねって何かを考えだしたんだけどどうしたんだろうか?


「乃亜さん、どうしたの?」

「冬乃先輩……。いえ、【泉の女神】の言動がどこかおかしいように感じてしまったせいで考え込んでしまいまして」

「乃亜ちゃん、どこがおかしいの? ただ戦うかどうか聞いてきただけだよ、ね」


 咲夜の言う通り、別段どこもおかしくないように思えるのだけど、乃亜は何が引っかかっているのだろうか?


「確かにそうなんですが、問いかけ方が何となく腑に落ちないんです」

『ゲームとか似たような場面ではあんな感じじゃないのです?』

『何が腑に落ちないの?』


 僕は考え込んでいる乃亜にどうしたんだろうと思いながら尋ねた時、【泉の女神】が僕らに再び問いかけてきた。


『どうしましたか? 戦うのか戦わないのかハッキリさせてください』

「あ、戦いません」

『………………そうですか』


 乃亜に戦闘拒否されてどこかしゅんとした顔になった【泉の女神】。

 待たされたあげくに尋ねたら即答で戦わないと言われたら、「あ、そうなの……」と思ってしまうのも無理はないかな。


 それはそうと、乃亜は結局何が腑に落ちないのだろうか?


「う~んなんて言えばいいんでしょうか? 死に戻りする前にも【泉の女神】と会いましたが、その時も【泉の女神】は戦うかどうかを聞いてきたんです」

『それのどこがおかしいの? ボスなんだしそういうものなんじゃ?』

「はい。わたしも1度目は別におかしいと思わなかったんですが、戦うか聞いているだけで〝鍵〟については一切言及していないんです。

 そんな【泉の女神】の発言、そして死に戻りする前に聞いたウサギと猫の発言をよくよく思い返してふと思ったんです。

 〝鍵〟は戦闘じゃなくても手に入るんじゃないか、と」


 はい?


 え、嘘でしょ?

 あんな特効ガチャとかあからさまに戦闘するためのものがあるのに、戦闘以外でも手に入るとかそんなはず……。


『おや、あなた達はそれに気が付きましたか。欲望を刺激されて思考が狭くなっている人間では中々気づけないのですが、あなた達はまだそれほど欲に支配されていませんね。

 ではそんなあなた達にお願いがあります。私の願いを1つ聞いてはいただけませんか?』


 ――特殊ミッション発生! 【穢されし泉の女神】の願いを叶えよう


 えっ、なにこれ?


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] RPGあるある なんじゃそりぁ!!!!w
[一言] なるほど?倒さなくても特殊なミッションクリアで手に入ると 勝ち筋は残さないといけないのは魔女の紡ぐ物語としての制限かな?
[一言] 女神救済ルート来た。 これで勝つる。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ