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28話 ようやく出番なのです

 

『おや、思ったよりもやりますね。ならば槍兵は駆け足であそこにいる者達を討ちなさい。陰陽師は援護射撃を開始。そして私はこの者達をまずは討ちます!』

「何?! 自分から斬り込んで来ただと!?」

『将たる者、みずから先頭に立たずしてどうしますか!』


 謙信はスケルトン達の後ろに控えていることも出来たのに、あえて亮さん達に向かって攻撃を仕掛けに行っていた。

 歴史上の謙信もみずから敵陣に攻め込んだりしていたみたいだし、性格というか戦い方は上杉謙信本人の影響があるのかもしれない。


 それはさておき、スケルトン達の動きが先ほどまでゆっくりとこちらに向かって来ていたのが駆け足となったため、ドンドン攻撃を仕掛けていかないとすぐに僕らのいるところまで来てしまう。


「どうするのよこれ。しばらくは今の火力を維持できるけど、5分後には威力が半減するわ」


 〔業火を(スペリオル)育む薪炭(フューエル)〕は30分のインターバルを無視して連続使用できないから仕方ないね。


「そうなのか。ならその5分でどれだけ敵の数を減らせるかだ。

 俺達は左側の突出している方を狙うから、君達は右側を頼む」

「「「「分かりました」」」」


 まとめ役の男性の指示に従い、僕らは鶴翼の陣の両端、翼の先端部分にいるスケルトン達に攻撃を仕掛けていく。

 攻撃を仕掛けながら左側はどうなっているのかと確認すると、さすがベテランでSランクダンジョンの【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】に召集されただけあって、冬乃が先ほど放った最大火力並みの攻撃を【典正装備】の能力か魔法を1人ずつ交代して行使して敵の数を着実に減らしていた。


 しかし敵もただやられるだけではなく、陰陽師リッチが遠距離攻撃を放ってくるので、ベテラン冒険者の何人かはその攻撃を防ぐために手数が若干減らされていた。


 何とか敵の数は順調に減らせているけれど攻撃の激しさで土煙が上がり、敵がどれくらいか、どこに何体いるか分かりづらくなってきた。


「よしそれなら。出てきてアヤメ」

『やれやれ、ようやく呼んでくれたのです、ってご主人さまに放置プレイをかまされたと思ったら、いきなりとんでもない場所に呼び出されたのです?!』

「人聞きの悪いこと言わないでくれない?」


 和服少女とはいえ2頭身の人形みたいな見た目だし、こんな状況でそんな事ツッコんでくる人はいないだろうけどさ。

 今までアヤメを出さなかったのは、ただでさえ安全地帯の設置なんて僕らしか出来ない事だけに注目を浴びそうなのに、アヤメみたいなマスコットキャラがいたら余計に目立つからね。


 それに加え、普段アヤメに頼んでいる索敵なんかはベテラン冒険者がしてくれていたし、以前アヤメの親であるクロとシロが発情のせいで行動不能になったのも考慮して、冬乃は[気配感知]のスキルを入手しているので、わざわざ目立ってまで呼ぶ必要がなかったからだ。


「早速だけど敵の位置と数を教えてくれないか」

『いえす、まいろーど!』


 何かのアニメの影響かな?

 コミュニケーション取るために家では呼び出してたりするし、とあるアニメを元にストーリーを追加したアプリゲーを一緒にやっていたからだね、きっと。


『現在の敵の数、1438体。そのうち右翼から377体、左翼から523体が迫って来ています。敵の位置はここです』

「うわっ、なんだ?!」


 頭に直接流れ込んでくる位置情報には最初は慣れなかったけど、何度もやられているので今では慣れた。

 それは冬乃達も同じで平然とそれを受け入れている。


 ただ他の冒険者の皆さんはそんなのやられたこともないので、いきなりの事に驚くのは当然だろう。


「いきなりやってすいません。この子の能力的なもので敵の位置を脳内に直接教えてくれます」

「わ、分かった。ビックリはしたがありがたい。引き続き敵の位置を教えてくれ」

「分かりました。というわけで頼んだよアヤメ」

『来月の課金は期待してるのですよ!』


 せめて1回はガチャさせてくれない?

 来月の5000円の課金は1回ガチャ出来るか怪しくなりそうだけど、そこは要交渉で。


 アヤメのお陰で土煙があろうと関係なく敵の位置を正確に捉える事ができるため、順調に敵を減らしていたのだけど、ここで時間切れとなってしまう。


「くぅっ、ごめんなさい。効果が切れたわ」


 冬乃が謝りながら少し苦しそうに呻いていた。

 〔業火を(スペリオル)育む薪炭(フューエル)〕はやっぱり身体への負担が大きそうだな。


「いや十分だよ冬乃。お陰でかなり数が減ってる」


 とはいえそれでもまだ200体以上は右側から来ているので、ここで威力ダウンは正直痛いけれど。


 威力は半減したものの、なんとかスケルトン達を少しずつ倒せてはいる。

 ただ先ほどまでの威力がないせいかスケルトン達が徐々にこちらに近づいて来ていて、いずれ接敵されてしまうのも時間の問題か。


「ん、咲夜に任せて。乃亜ちゃん、投擲代わってくれる?」

「あ、はい、分かりました」


 今まで咲夜に〔忌まわしき穢れは(ブラック)逃れられぬ定め(イロウシェン)〕の効果を付与した手頃に投げつけられる日用品を渡していたのを、乃亜が代わりに投げ始め、咲夜はスケルトン達に向かって駆けだして行った。


「てい」


 ちょっと気の抜ける声と共に、咲夜はいつの間にか取り出した鞭をスケルトン達に向けて振るっていく。


 〔傷跡のない恍惚なる(アンフォゲッタブル)痛み(ペイン)〕という名の鞭がスケルトン達に当たると、その攻撃を受けたスケルトン達は軒並み転倒させられていた。

 あの鞭は攻撃した相手に対して必ずノックバック効果が発生する効果があり、そのため少しでも掠れば後退させたり転ばせたり出来る。


 転ばされたスケルトンのせいでその背後にいるスケルトン達が前に進みづらくなり、この状況ではピッタリな【典正装備】なんだけど……名前ぇ~。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて1話先行で投稿しています。

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