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骸の巨神は名を得る。【短編】  作者: 東 日輪斎
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【零界の神】




 ベイグランド(次元跳躍覚醒者)と遭遇して以降、我はその後も複数のベイグランド達と遭遇する機会を得た。


 異界の地で目撃するベイグランドはその殆どが人類であり、当然、我はその悉くを殲滅した。


 次元跳躍という究極とも言える逃走法を持つベイグランドだが、慣れれば捕らえるのは容易かった。


 故に我は、我以外のベイグランドを捕らえては情報を抽出し、死を与える事を繰り返した。そして、これにより我は更なる知識を身に付けた。


 先ず、我はこの世の構造を理解した。


 世界とは無数に存在しており、その無限に続く各世界を内包した次元のことをベイグランドの間では、【零界】と呼称している様だ。そして世界と世界を繋ぐ暗き狭間を【虚歪次元】若しくは【混沌】と呼ぶのだそうだ。


 全体構造を簡潔にイメージするならば、零界を宇宙、世界を星、虚歪次元を真空空間と例えればよかろう。

 

 そして我は更に、重要な情報を得る。


 どうやら次元跳躍に順応した存在はベイグランドだけではないとの事だ。ベイグランドとは後天的に次元跳躍能力に覚醒した存在を指す呼称のようで、先天的にその能力を持って産まれる種族、個体のことは【インフィニュート】(無窮の一族)と、区別しているとの事だ。

 

 つまり我は覚醒後に龍神としての生を開花させた故、分類はインフィニュートと呼んで差し支えないだろう。

 これには納得だ。何せこの我が人類などと同じ分類として語られるなどあってはならない事なのだからな。


 そして最後に、これは噂程度の信憑性でしかないが、この零界にもなんと、零界を支配する神が存在するとのことだ。

 しかしそれは点在する世界の中で信仰を集める矮小な神とは訳が違う。言うなればその存在は神々にとっての神。

 故にこの存在の一端に触れたと主張する者は、その存在を神とは別に区別する為、こう呼ぶ……



 【エクスデウス】と。



 真偽の程は定かではないが、我はそんな超次元的な存在を夢想し、それと同時に、確かなる興奮を覚えた。


 (零界の神、か……フハハッ!!素晴らしいっ!それでこそ己が故郷を捨て外界に旅立った甲斐があった!)


 そして我には新たなる指標が生まれる。


 (あぁ、良かろう。もし、その様な存在が在るとするならば、我はその存在を滅し、我こそが零界の神となりてエクスデウスに成り代わろうではないかッ!!)


 これ程に心が打ち震えたのはいつ以来か。我は迅る欲望を抑え込みながらに、エクスデウスへと至るまでの覇道を計画するのであった。



 そして、この時を持って零界に蔓延る全人類には宣告しておこう…



「…貴様らの『死』は、程近いぞ…」





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