表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キリサメ区  作者: ななな。
3/4

第2話 〜 黒鳥 〜

【 天気:快晴 場所:キリサメ区商店街 】


杙无「……怠い。」


幹部会の後、

自室からスクリュナを拾い

商店街へ移動するも


商店街はいつもの活気にあふれ

連続して事件が起きている街とは思えない。


スクリュナ「"黒鳥"の捜索……。

(わたくし)のみでよろしかったでしょうか。」


杙无「学校が終わるまで待ってるのも非効率。

あのバカは見つからなかった。」


杙无にはあと2人直属の部下がいるのだが

1人は学生、もう1人は別の依頼で不在だった。


スクリュナ「(みどり)様は

工事現場の大型貨物の配送依頼の最中かと。」


杙无「……携帯を忘れてんの。」


スクリュナ「お声がけと、

忘れ防止の入れ物をご用意致します。」


杙无「……よろしく。」



八百屋の店主「ここ最近の変なこと?

そうだなぁ……やっぱり連続通り魔事件だろ。

先週も1人、商店街の奴のせがれが

やられたって噂だ。」


魚屋の女店主「見つかる前に必ず

隣街のギルドの人の目撃証言があるって聞いたわ。

四丁目の引きこもりの息子さんの時も神父みたいな

格好をしたここら辺じゃ見かけない人を見たって……」



スクリュナ「如何されますか。」


杙无「現場を押さえない限りなんとも。

アンタの能力で追えないの?」


スクリュナ「かしこまりました、実行します。」


「キャァァァァァァッ!!!!」


杙无・スクリュナ「「!」」


路地裏から女性の悲鳴が商店街に響く。


杙无「チッ……行くぞ。」


スクリュナ「はい。」



女性「あ……ああっ……!」


「そんなに怯えないで、お嬢さん。

すぐに彼と同じようにしてあげますからね。」


路地裏へ入ると、呆然とする女性と

女性ににじり寄る全身黒衣服で

統一した男が目に入る。


男の傍には"人間だったもの"と推測する

バケモノじみた何かがいた。


女性「い、いやっ……こないで、こないでぇ……!」


「成功すれば世界が変わります。

成功するかは貴女の潜在能力次第ですが。」


杙无「……おい。」


「!」


「これはこれは……。

キリサメ区最有力ギルド「庭園」

幹部Queenの瀬攞杙无さんではないですか。」


「お会いできて光栄です。」


驚いた様子で一歩下がり、一礼する。


杙无「……ギルドマスターが直々かよ。

塔 飛雁(あららぎ ひがん)。」


塔 飛雁、「黒い鳥」ギルドマスターであり

超危険人物として政府にリストアップされている

男である。


杙无「わざわざキリサメに来てまで何が目的なワケ?」


飛雁「我が【 神より与えられし果実(ゴッド・アクト) 】による

異端者創造です。」


飛雁「我々が与えられた能力というのは

全て意味があると思いませんか?」


飛雁「私の能力は異端者を造る。

それは能力を持たない非異端者の排除という

神から与えられし信託。」


やけに芝居のかかったような手つきで

流暢に語り出す。


飛雁「我が区の選定は終わりました。

ならば次は隣の区へ移るのが定石的。

キリサメ区は非異端者が多いですから骨は折れますが

半年もすれば終わるでしょう。」


杙无「カルトかよ。

そんなの頼んでないから帰ってくんない?」


飛雁「非異端者など必要ないではありませんか。

そこまでかばい立てする理由がわかりませんね。」


杙无「お前の理念はここでは生きない。

ていうか、邪魔。」


杙无「……依頼通り、ここに2度と来ないと誓うか

ここで人生やめるか決めろ。」


飛雁「どちらも、却下です。」


「アアアアアアアアッ!!!!」


女性「ひっ!?」


杙无「"能力限定開放(コール)"【時狭間の波紋(タイム・リップル)】」


トンッ


杙无「【 私はその時を見ない 】」


ブォンッ


杙无が異形のバケモノに触れた瞬間、

変形していた身体が男性の身体に変化していた。


女性「マサト!」


飛雁「唯一無二の最上位種の一つ、

あらゆる時を操る能力、【時狭間の波紋(タイム・リップル)】」


飛雁「やはり美しい。

私が求める総合SSの筆頭能力………。」


杙无「………………」


カチャッ


瞬間、目の前に現れ銃口を額に突きつけてくる杙无を

見つめながら薄ら笑いを浮かべる。


飛雁「やはり、君たち三大幹部の能力は魅力的です。

神から与えられし大いなる至極の品。

君はその意味を理解するに至っていますか?」


杙无「……お生憎様。」


杙无「神なんて信じてない。」


飛雁「残念です。

ですが、すぐに分かります。」


飛雁「私と神による所業を見れば……」


パンッ!


銃口から放たれた銃弾は何も貫くことはなかった。


飛雁『君も我らと意を共にするでしょう。』


杙无「………………」


スクリュナ「近くに仲間が潜伏してた様です。

それよりも異形となっていた男性の様子が、」


杙无「……診せろ。」


塔飛雁が逃げたであろう先………サジン区の方向を

見つめるがすぐに倒れこむ男性の方へ向かう。


飛雁「キリサメ区の警備が

薄手のこの機会に畳み掛けましょう。」


飛雁「例え、総合S以上の異端者が半数のギルドといえど肝心のメンバーが依頼で出払って人手不足となれば

侵略は容易です。」


飛雁「力なき者は排除を、

力がありながらも淘汰される異端者には救済を。

それが神が望むこの世界の進化………」



・最有力ギルド

→ 多くあるギルドの中で

各区で1番強い、または住民たちから支持を

1番受けているギルドのことを指す。

キリサメ区は「庭園」、サジン区は「黒鳥」


・正規ギルド

→ 政府・区に運営を許可されたギルドの名称。

住民の依頼、区間貢献活動が主な仕事。


・違法ギルド

→ 政府・区に無断で運営されているギルドの名称。

また、政府・区に運営許可を破棄されたにも関わらず

今だに活動し続けているギルドのこと。

主に殺人などの非合法なことを生業としている。

正規ギルドが違法ギルドの討伐を依頼される時もある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ