白い空間で
暖かい…
なんだ?この感覚……なにか懐かしいような…
どこだ…ここ
気がつくと俺は無限に続く真っ白な無の空間にいた。
前までいたあの無の空間とは違う。
あそこと違ってここは何故か寂しくない…
つまり死んだのか?俺。
俺はここに至るまでの記憶を思い出すことにした。
……!!
そうだ、あの子を助けなければ。
ならばまずやる事は一つ、ここから早く出る事だ。
まずは情報集めから……
「あなたは…なぜ助けようとするのですか?」
!?
どこからともなく美しい女性の声がした。
相手を警戒すらさせない柔らかな声だ。
だが周りを見渡しても何故か姿かたちは見えない。
「というと?」
俺は冷静に言葉を返した。
「なぜあなたは知りも知らぬあの少女を助けようとしているんですか?ましてやあなたを殺そうとした人を」
俺は苦笑した。
「知りも知らぬ少女を?ならば問うが、逆にあんたはあの子の目を見ても助けようとは思わないのか?」
「それは…」
「きっとあの子には何か重い過去がある。それはあの幼さでかけていい負荷ではない」
「……」
「それが分かったなら助けようと思うのは当然だ。質問の答えはこれでいいか?」
「はい」
こういう場合の情報交換は命取りだ。
常に次の一手を考えて言葉を発する必要がある。
「ならば次は俺が問う。あんたは言ったよな、ましてやあなたを殺そうとした人を…と。つまりまだ俺は死んでないという事だよな?」
「そうですね、あなたはまだ生きています」
「俺の感だが、あんたは俺をここの空間から出せるんじゃないか?」
「出せます…というより、ここの空間にあなたを呼び寄せたのは私ですから」
「目的はなんだ?」
「興味ですよ、あなたは実にイレギュラーな存在ですからね。あなたはここの世界の住人ではありませんよね?」
「あんたも自分の情報を提示してないんだ。あんたに答える義理はない」
「それもそう…ですね。失礼しました」
「それで、あんたは俺をここから出してくれるのか?出してくれないなら俺にも考えがあるが…」
「言ったでしょう、興味だと。別に私はあなたと敵対したいのではありません、むしろ逆です」
「…逆?」
その問いに答えは返ってこなかった。
「ペチャ」
「……んあ?」
ジメジメした風が頬を撫でる。
雨粒が顔に当たる感触で俺は目を覚ました。
「ここ…は、馬車……か?」
意識はすぐに覚醒した。
俺はその場で起き上がる。
「本当に生きてる…。腹の傷も…ない」
上の服を捲り上げ確認するが、傷一つついていない。
「どういうことだ…?まさかあの女性の声の主が俺を助けたのか?」
だがそんな事今はどうでもいい。
問題はさっきそこにいた少女がいないのだ。
「どこにいったんだ…!」
馬車の荷台から降り、探し始めようとした直後、
「きゃぁあぁあ!」
!?
西の森の奥から少女と思しき悲鳴が聞こえた。
俺はすぐに自分に身体強化をかけ、悲鳴が聞こえた場所まで全力で走った。
そこにいたのは大きい翼を広げ、硬そうな鱗を身にまとった赤茶色の龍と少女だった。