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そっと鏡に手を伸ばす。
写る女の子も同じ動きをする。
瞬きしてみても、目を擦っても写るのは同じ。
んんん?あれ、なんか仕掛けとかある?
裏を見ても叩いてみてもさっぱりわからない、種も仕掛けもない鏡。
そう、つまり。
この美少女が、私!??
うっわ、まじでかー。
私めっちゃ可愛いじゃないですか。
ちょっとつり目が気になるけど、パーツ整ってるし、うん。可愛い。
思わず鏡に向かって微笑んじゃうくらいには可愛い。
いやー、自分の顔見て鏡ににっこりとかどんなナルシストですかって話だけど、別にかまわんね!
だってこれ夢でしょ。
めいせきむ、だっけ?夢だと気づいたら自由にできるとかいうあれ。
昔から色つきのリアルな夢見ることは多かったけど、今回はまた、一段とリアルだな。
着てる服もひらひらふわふわな、フリルたっぷり白のお嬢様ネグリジェだし、ベッドもふっかふかだし!
調度品も美術館でみたような細工の細かい高そうなやつでしょ。
キョロキョロと周囲を見渡し、カーテンのかかった大きな窓に目をつける。
さてさて、外はどんな感じか。
高鳴る胸を押さえながら力強くカーテンを開く。
白を貴重としたバルコニー、それから・・・
「うわぁ・・・」
見事な庭園。
おそらく薔薇のアーチに、生垣。
大きな噴水まであって、あれかな、フラワーパーク的なあれかな??国立公園なのかな?って規模の広い、ひろぉいお庭!
これはテンション上がる‼はぁあ、植物の名前とかほんと基本のしかわからないけど、お庭大好きなんだよね!でかした夢!!
空の青さからまだ早朝っぽいけど、いざゆかんお庭!
ぐっ、と拳を作り踵を返す。
たとえ夢でも庭が見渡せる二階のバルコニーから飛び降りる勇気はない。
普通にドアあけて、階段ダッシュでいきますよ、えぇ。
駆け足でおそらく廊下にでも繋がるだろうドアのノブに手をかける。しかし、小さな体だ、ギリギリ手を伸ばしてノブを回せるってちょっと不便。
どうせ夢なんだからここで急成長すればいいのに、なんて文句を考えながら飛び出せば、これまたひろぉい廊下。
絨毯も高そうだし、天井にぶる下がるシャンデリアとか、ほんと半端ないな、とぼけっと天井をみあげたそこで。
「お嬢様?なんて格好で出歩いてらっしゃるんですか!!」
思わず身を震わせるような、女性の怒声が響き、腕を強い力で捕まれた。