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非科学的潜在力女子  作者: ゆずさくら
非科学的潜在力女子

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21/42

(21)

 亜夢は頬を赤くして黙ってしまった。

「……」

「干渉波は強い? 弱い?」

「……弱いです。学園のテレパシーが今」

「中谷、測定して裏付けを」

 中谷は長い棒を動かしながら、パソコンのモニターを見る。

 しかし、亜夢の様子をみて、動きが止まる。

「どうした、中谷?」

「ら、乱橋さんが……」

「ん? 乱橋くんがどうした?」

「頬を染めて……」

 がッ、と音が出た。

 いや、出てないかもしれないが、それぐらいの勢いで、加山は中谷の頭を叩いた。

「いったぁ…… パソコン落とすところでしたよ。何するんです」

「お前こそ、どうでもいいことで作業を中断するな」

 亜夢は黙って上を見ている。

 確かに頬は赤いままだった。

 それを見て、清川がたずねた。

「乱橋さん、顔赤いわよ? 熱でも出た」

「奈々の裸…… じゃなかなった、何でもないです」

「えっ、ナナ? ナナって男の子?」

 亜夢は首を振った。

「男の子の裸、ってわけじゃないんだ。ふーん」

 清川は亜夢とは反対を向くと、にやり、と笑った。

 亜夢は何かを感じ取って、清川の肩をグイっと引っ張った。

「あっ、笑いましたね。私、何か変なこといいましたか?」

「『ナナの裸』って、その単語だけ聞いても十分変だよ。しかも、顔赤くなってるし」

「けど、だからって、笑う必要ないじゃないですか!」

 さっきまでとは、違う意味で紅潮している。

「笑ったわけじゃないのよ。うふふ、って感じなだけ」

「どこがちがうんですか!」

 言い終わった亜夢の頬は膨れている。

 清川はそれをみてさらに微笑む。

「また笑った!」

「違うって、違うのよ」

「何がちがうんですか」

 完全にふくれっ面になっている。

「いや、可愛らしいな、と思って微笑んでいるだけなのよ。本当に他意はないの」

「むぅ」

 また清川は亜夢の反対を向いて、声を押し殺して笑った。

 同じように亜夢は肩を掴んで振り向かせるが、その瞬間に真面目な顔をした。

「……」

 それを見ていた中谷が言った。

「ほら、何か乱橋さんが大変な感じに……」

「な・か・た・に。お前はお前の仕事に集中しろ」

 加山は中谷の頭を強く頭を押さえつける。

「えっ、でも、でも……」

「お前が『でもでも』って言っても気持ち悪いだけだ」

 真剣な顔に戻って、必死に測定をづつける中谷。

 パソコンの画面を見る度、首をかしげる。

 計測用のアンテナを前後にゆっくり動かす。

「……」

「どうした、何か変なのか?」

「ものすごく弱いところと…… 何故こんなに差が」

 加山がアンテナを奪うように取ると、中谷と同じようにそっと前後に動かす。

「確かに、ものすごい差だな。まだらになっているのか?」

「……影?」

「太陽がどうかしたのか? こっち側は北だから何時も影の中だ」

「……いえ」

 清川と乱橋のじゃれ合いも落ち着き、一同は最初に検問をしていた場所に向かって歩き始めた。

 乱橋が中谷にたずねる。

「やっぱり干渉波は弱かったですか」

「うん、弱かったんだけど…… 強い所もあった。均一じゃない感じ」

「あ…… そうですね。私もなんかそんな風に思いました」

 乱橋がにっこりと笑うと、中谷も笑い返した。

「そう…… 気が合うね。ボクタチ」

「コラ」

 加山がまた中谷の頭を押さえつける。

「調子に乗るな。捜査協力者なんだぞ」

「まあまあ……」

 亜夢が手を開いて抑えるようなしぐさをした。

「干渉波はそんなに高い波長じゃないから、あんな小さい範囲で、極端な強弱が出ないはずなんだよね」

「そうなんですか?」

「帰りにお寺の近くの坂を通る時に確かめてみればいいよ。あそこがわかりやすい」

「……」

 加山は振り返った。

 清川が声をかける。

「加山さん、先に行きますよ」

 背中を見せたまま、加山は言う。

「ああ……」

 亜夢は加山の背中越しに、カメラを仕掛けたビルを見た。

「……」

「どうしたの?」

「清川さん…… いえ、別に。あのビルに何か仕掛けがあるのかな…… って」

「ビルだからね。つったってビル。建物だから」

「なんのことですか?」

「ビルを調べるってことは、ビルに入っている人を調べるってこと? かな」

「……」

 亜夢はもう一度ビルを見つめた。

「あれ? 清川さん?」

「こっちよ!」

 亜夢は慌てて後を追った。

 しばらく歩いて、検問があったところ、すなわち最初の小競り合いがあった場所についた。

 亜夢は何も言われずにキャンセラーをはずし、状況を確認した。

「それほどクリアではないです。非常に強い…… ってわけでもないですけど」

 中谷が装置を見ながら動き回る。

 ビルの時にちょっとした位置で測定値が変わったからのようだ。

「ここは言う通りそんなに弱くない…… このくらいだと超能力使えるの?」

「学園の()達のテレパシーは聞こえませんが…… 」

 周りを見回す。車は走っているが、人通りはほぼない。

 亜夢は清川のおでこの近くに手を持っていくと、触れずにその前髪を吹き上げた。

「わっわっ…… すごい風っ……」

 中谷はノートパソコンに何か打ち込みながら言う。

「お寺からの坂道ぐらいかな?」

「ちょっと、前髪吹くのやめて……」

「あっ、清川さんごめんなさい」

「昨日の格闘戦ぐらいは出来そう?」

「……ええ」

 中谷が無言でうなずく。

「中谷、何かわかったのか?」

「どれくらいの干渉波で超能力が使えなくなるのかは大体わかってきました」

「ここは?」

「弱、といったところでしょうか。体周りには超能力が使える感じです」

 亜夢がうなずく。

「だからここで暴れられたのか」

「そうでしょうね。さっきの寺の近くの坂といい、ここといい、土地の傾斜で影になっているのかもしれませんね」

 加山が来た道の方をさし、全員で来た道を戻っていった。

 弾丸を弾いたり、電撃が飛び交った場所に戻ると、中谷はまた計測を始めた。

 しかし、始めた直後から何度も首を傾げた。

 加山が中谷の後ろに回って、パソコン画面をみて、肩を叩いた。

「どうした中谷。何があった?」

「ちょっとおかしい。さっきみたな干渉波の強弱がなくなっているんです」

「そんなすぐにわかることなのか、さっきの計測が間違えということもある」

「ん~ そういうことも、なくはないですが……」

 二人のやり取りを見ていた亜夢はビルを見上げた。

「……」

 そして清川の袖を引っ張って、加山と中谷から離れるようにビルの影に入った。

「このビルの中。さっき清川さんが言ったみたいに、ビルの中を調べませんか?」

「うん。ちょっと加山さんに言ってくる」

「!」

 戻ろうとする清川の腕を引っ張る。

「?」

「加山さんと中谷さんにはここの状態を調べてもらった方がいいんです」

「それにしたって、一言いうぐらいしないと」

「お願いです。急がないと」

 清川は亜夢の顔から何かを感じ取ったようだった。

 軽くうなずくと、亜夢と一緒にビルの中に入った。

 通用口から、ビルのロビーに入り、フロアの案内をみる。

 色々な名前が書きこまれていて、テナントビルであることがわかる。

「知ってる会社はないわね……」

 亜夢はヘッドホンを少しずらして、フロア案内のパネルに手で触れる。

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