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第01話 光の国から正義のために・後編

挿絵(By みてみん)


* * *


――――そこにいるのは、誰?


* * *


 信二郎は、跳ねるように起き上がった。

 気が付いた時には、全てが終わっていた。

 あの二足歩行する牛の化け物は何処にもいない。マーランの姿もだ。

 何もかも夢だったと思えればそれが一番だったが、周囲を見渡せば厩舎の壁は崩れ落ち、馬場には一面ヒビが入り、柵はバラバラになって散らばっている。

 日ごろ見慣れた風景の至るところに刻まれた破壊の爪痕は、単なる幻想と断じるにはあまりにも生々しすぎた。


 あれからどれだけの時間が経ったのだろう。

 そういえば自分は酷い怪我を追ったハズではなかったのか。

 信二郎は確かめるように全身をまさぐってみたが、およそ不気味なぐらい、何処にも痛むところは見つからなかった。

「……どうなってるんだ? 夢……な訳ないよな……」


 信二郎は気持ちを静めようと、胸に手を当て深呼吸した。

 その動作の後で信二郎はふと、あることに気が付く。

 今まで落ち込んでいた暗闇が終わる直前、胸の奥に何か温かいものが入り込んでくる感覚がなかったかと。あの正体は、いったい何だったのか。


「――――ようやく、お目覚めですね」

 間近でした謎の声に、怯えたように振り返る信二郎。

 しかしマーランではない。女の声には違いないが、全く別の誰かだ。


「さっきは、柄にもなく慌てちまいましたよ……いや、お恥ずかしい。何はともあれ、無事みたいで良かったです、信二郎」

 どこか懐かしさを感じる古いセーラー服の少女が、そこに正座していた。

 美しい黒髪を小さく結い上げたポニーテール。

 まるでマントのような長さのロングスカート。

 透き通るようだがそれでいて不思議と不健康に見えない白い肌。

 整った目鼻立ち。宝石のような赤い瞳。

 自分を真っ直ぐに見てくるその少女を、信二郎は呆気に取られて見つめ返した。


「キミは……いったい誰……?」

「御覧の通りの女子高生です!」

 少女は自慢げに胸を張って答える。が、何処か返答がズレている。

 困惑する信二郎を尻目に、彼女は更に続けるように言った。


「名前は……そうですねぇ……サトリ・ソラとでもしておきましょうか」

「さとりそら?」

「気軽にソラって呼んで下さいね、信二郎!」

 ソラを名乗ったセーラー美少女が、二カッと元気いっぱいの笑みを浮かべた。


「ちなみに、女子高生というのは異次元ジョークです」

 笑っていいのか悪いのか、どうにも判断に迷うコメントだった。


* * *


 それから程なくして、信二郎はソラなる少女と共に本部会館内に移動して来ていた。倉庫として利用される部屋に鍵をかけ、ふたりきりだ。

 今この瞬間も、千手たちは怪我人の手当てに奔走している。

 信二郎も手伝いたかったが、こちらも放っておけなかった。密室にふたりきりなのは決して逢引きではない。不特定多数に聞かせるには、大きすぎる問題だったからだ。


「S78並行時空から派遣されてきた……異世界人だって!? キミが!?」

 信二郎は思わず、素っ頓狂な声を漏らしてしまう。

 ソラの口から明かされたのは、実に壮大すぎる事実であった。


「ええ、またの名を『聖天界せいてんかい』。我々は遥かな時代より、人間界をはじめ様々な世界に使者を送ることでその成長と発展に寄与し……ひいては全時空の平和と安全を守ることを、究極の使命としてきました」

 信二郎は話を聞きながらも、呆気に取られて間抜け面を晒すばかり。

 ソラの言うことが真実なら、この一見何の変哲もないセーラー服少女は信二郎のいるこことは並行して存在する別次元、時空の壁を飛び越えた先からやってきた、異世界の住人であるというのだ。


「しかし、その一方で……我々の活動を偽善に過ぎないものと断じ、その阻止や妨害をお題目に掲げる者たちが現れるようになったのです」

「もしかして……それがさっきボクを襲ったやつ?」

 信二郎の問いかけに、ソラはこくりと頷いてみせた。

「あの女の名はマーラン。牛魔王率いる最古の反天組織・ギューマ党の幹部です。言うなれば時空を股にかけるテロリスト。目的のためならどんな手段も正当化されるとして時空を荒らし回る、悪魔のような女ですよ」

「……何処の世界でも、似たようなことやってるんだな」

 繰り返される暴力と憎しみの連鎖。

 人間が住む世界の外側でも事情は変わらないのだと知って、信二郎はなんだか妙に切なかった。


「奴らはつい最近まで、首領の牛魔王はじめ殆どが、聖天界で投獄状態にありました。ですが先日、護送中の不手際で逃げ出されてしまい……私はそれを追ってこの人間界にやって来たんです」

「ねえ、まさかとは思うけど、昨日湖の方に落下した流星ってさ……」

「やっぱり目撃されてましたか。それ、間違いなく私とマーランのやつです」

「やっぱりか! お陰でウチの連中が大騒ぎして、大変だったんだからな!?」

「ギリギリまで追い詰めはしたんですが、取り逃がしてしまって……なんか申し訳ないことをしたみたいですね、信二郎。色々とすみません」

 大真面目に謝ってくるソラの姿に、信二郎もつい勢いがしぼんでしまう。

「……まあ過ぎたことだし、今更言っても仕方ないんだけどさ。それはそうと、さっきから少し気になってたんだけど」

「はて、なんでしょう?」

 キョトンとした顔で、訊ね返してくるソラ。


「キミの話に出てくる牛魔王って一体どんな奴? いや一応、異世界人なのに西遊記の敵キャラみたいな名前だなと思って……。ああ、キミに言っても分からないだろうけど人間界には、西遊記っていう有名な昔話があってさ……」

「知っていますよ。当事者ですもの」

「当事……ええっ、なんだって?」

「私自身がその西遊記の当事者なんです。もう一三〇〇年も前の話ですがね……」

 本気で意味不明という顔になってしまう信二郎。

 それに気付いたソラが、にやりと不敵な笑みを浮かべて言った。


「こちらの世界では忘却されてしまったようですが……西遊記ね、あれはかつて実際に起きた出来事なんですよ」

「……ああそういうことか。三蔵法師って実在の人だもんね。その人がインドまで旅をした記録を、後の人たちが勝手に想像で膨らませて……」

「いえいえ、そうではなくて、孫悟空とか牛魔王とかを含む、こちらでは一般に創作と思われてる内容の方が、むしろ真実の記録といえるものなんです」

「……本当に何言ってんの!?」


「聖天界についての説明は覚えてますか? あの当時……一〇〇〇年以上も昔ですが、こちらでいうシルクロード周辺地域は、反天主義を掲げる異世界人どもの巣窟と化していたんです。大半はその神通力で人間を脅かしたため、妖怪変化の類だと思われたようですが……それに対し、旅先で人々を解放して回っていたのが、当時の聖天界と契約を交わしたお師匠さん、すなわち三蔵法師と、私らお供の一行だったんです」


 何だか不意に、とんでもない話が飛び出してきた。比較的昔話などの好きな信二郎にしてみれば、異世界の存在よりある意味こちらの方が衝撃的であった。

「いや、冗談でしょ?」

「冗談言う意味あります?」

 言葉を失う信二郎を見て、ソラが微妙に得意げな表情になっていた。


「ただまあ、当時の権力者にとって不都合だったのか……我々の存在は、公の記録から抹消されてしまっていますがね。ちなみに私は、貴方がたが『孫悟空』と呼んでいる、有名キャラクターのモデルらしいですよ」

「キミが孫悟空!? 嘘だろ? だってキミ女……」

「まあ、あくまでモデルですから」

 そう釈明するソラは、今度はどこか照れくさそうだった。


「本当の記録が復元され、物語という形で世に広まっていく過程で、その辺が間違って伝わったのでしょう。自分自身、言動だけ見ればとても女に思えなかったというのも、承知しています」

「……性格も違わない? 孫悟空ってもっとこう……」

「乱暴者だって言うんでしょ? 恥ずかしながら、それに関しては事実です。あの頃の私は結構、やんちゃしてましたので……ぶっちゃけ今思えば、恥ずかしく感じるような言動も多々あります」

「やんちゃって言葉で片付くレベルかなあ、あの散々な暴れっぷり」


 信二郎はどこか遠い目になる。

 西遊記に出てくる孫悟空といえば、その傍若無人さは大きな特徴だ。

 三蔵法師を襲った盗賊らを問答無用で殴り殺す、寿命の宣告に現れた閻魔大王とその部下に逆ギレし地獄の帳簿を書き換えて不老不死になる、天女が管理する貴重な果実を無断で勝手に食い荒らす、賭け事を挑んだお釈迦さまの手のひらにそれと知らず小便を引っかけるなどなど、やりたい放題だ。

 とてもじゃないが、盗んだバイクで走り出すような行為と比較できる代物ではない。


「おほん、まあこの際その話は置いといてですね」

「ちゃっかり誤魔化そうとしてるね、キミ?」

「信二郎……私は是非貴方に、人間界でのパートナーになって貰いたいのです。そして共に牛魔王らの暴虐に立ち向かい、人々の平穏な日常を取り戻すため、力をお貸しして頂きたい」


「……ボクが? キミの、孫悟空のパートナーに?」

「ええ! 言うなれば……二代目の三蔵法師です!」

 サラッととんでもない提案をしてくるソラ。

 自信満々な表情をするセーラー服少女に、信二郎は戸惑いを隠せなかった。


「そんな、どうしてボクなんかが」

「私は、貴方の勇敢な行動を見ました。我が身さえ顧みず、大切な人を守ろうと危険に立ち向かった、その勇気と優しさに感動しました。貴方こそ、この私の力と命を預けるのに相応しい人物なのです」

「……そんなの過大評価だ」

 信二郎は一気に表情を暗くし、ソラから一歩後ずさった。

 それを見たソラが、心底不思議そうな顔になる。


「キミは知らないだろうけど、ボクは自分のことしか考えない最低のクズ人間なんだ。何より、ボクなんかと関われば大抵ロクなことにならないんだよ」

「私は、決してそんな風には思いません」

 ソラがたちまち首を横に振って言った。

「信二郎、貴方が自分で考えているより、貴方は素晴らしい人間であると……私はそう信じているのです」

「やめてってば!」

 思わず金切り声を上げた信二郎に、ソラが驚いたように口をつぐむ。


「ボクに向かって、素晴らしいとか信じるとか……お願いだから、そんな言葉を訊かせないでくれ! うんざりなんだよ、そういうのはもう!」

「信二郎……」

 ソラが更に何か言おうとしていたが、信二郎がそれを待つことはなかった。

 閉ざされた倉庫の扉を乱暴に開け放つと、偶然表を通りかかった信者数名がびっくりしていたが、彼らの顔を見ることなく信二郎は逃げるように走り去った。


* * *


 世界のすべてが灰色に染まっていた。

 天気の急変で町の上空に暗雲がたちこめ、王羅市全体が今にも雷雨に見舞われそうな空模様だったことが、一因ではあったかもしれない。

 だがそれ以上に、思いもかけぬ出来事の連続で追い詰められた信二郎の心が、世界をそのように捉えているだけなのかもしれなかった。


 ――ねぇ聞いた? さっきの騒ぎ、またあのゲンドー会が原因だそうよ。

 ――聞いた聞いた! 去年も変な騒ぎ起こしてたし、ホントやんなっちゃう!

 ――見ろよ、例の後継ぎ小僧だ。どの面さげて歩いてんだって感じだよな。

 ――気持ち悪いったらねえぜ。人畜無害な顔して、腹の底じゃ何考えてんだか。

 ――いっそ、全員まとめて死んでくれたりしねえかな~。

 ――カルト来店お断りって張り紙でも出しとこうぜ!


(……やめてよ! やめてくれ!)

 色彩の失われた商店街を独り、俯き歩く信二郎の内側で声にならない声が反響した。

 それでも容赦なく、道行く人々の白い眼差しとヒソヒソ声は彼の心身を蝕んでいく。

(ボクは違う! ボクは違うんだ…! お願いだから……そんな目でボクを見ないで! ボクをあんな父親と、あんな連中なんかと一緒にしないでくれ!)


 信二郎の鼓動は早鐘の様になり、呼吸は次第に荒くなっていく。

 顔を覆い、頭をかきむしりながら信二郎は、道の真ん中にしゃがみ込んだ。

 恐怖が、パニックが、今の信二郎の何もかもを支配しようとしていた。


「……こんなところに、いたんですね」


 いつの間にか追いかけて来たソラが、信二郎の傍に寄り添うようにして立っていた。

 怯えながら顔を上げた信二郎の前で、暗雲が決壊して地上に落ち始めた。

 滝の様に、とまではいかないが、流れ落ちる雨粒は少しずつその勢いを増していく。

 無数の水弾に打ち据える世界で、信二郎とソラは向かい合った。

「あまり出歩くと危険ですよ。敵の狙いは信二郎、貴方です。一人でいるとまた襲ってくる可能性があります」

「……ほっといてくれよ!」

 そっとソラが差し伸べてきた手を、信二郎は乱暴に振り払って立ち上がった。

 まるで逃げるように後ずさる信二郎を、ソラは黙って見ている。


「言ったハズだろ、ボクに関わるとロクなことにならないって! ボクには気にかけてもらう価値なんてないんだ。守ってもらう価値なんて無いんだよ!」

「……まあ、信二郎の自己評価が低い理由は、ここへ来るまでに大体分かりましたが」

「だったら、頼むから構わないでくれ」


 即座に背を向け立ち去ろうとする信二郎。

 だがしかし、ソラはまだそれを認めるつもりはないようだった。

「ねえ、何故こんなつまらない連中の言葉に、一喜一憂する必要があるんです? 別に貴方自身が何かした訳ではないんでしょう? もっと、堂々としていればいいじゃないですか」

「……キミなんかに分かるもんか!」

 ソラのことを振り返らず、信二郎は絞り出すように雨の中で叫んだ。


「この世界には、ただ生まれてきただけで怖がられたり、憎まれたりする人間もいる。ボク自身の事情なんか、彼らにとってはどうでもいいことなんだ。分かるもんか、キミなんかに……」

「分かりますよ?」

「は……?」

「私だって、昔はそうでしたからね」

 思わず立ち止まってソラを見ると、彼女はこれまでにない優しい顔をしていた。

 それは気遣いと同時に、どこか寂しさや憂いをも含んだ微笑みで。

 信二郎は返すべき言葉を見つけられず、ただ呆然とソラと見つめ合った。


「…………ッ!」

 何の前触れもなく、信二郎の背後で爆発が起こった。

 驚きのままに振り向くと、商店街の一角が完全に吹き飛ばされていた。

 予想外の事態に悲鳴を上げる人々の前に、不気味な一団がその姿を現した。


「ウシシッ! ウシシッ!」

「「ウシシシシシシッ!!」」

 それは見渡す限りほぼ全員が、執事服を身に纏った集団だった。

 一見すると普通の人間だが、なんと首から上が朴訥そうな乳牛のそれにすげ代わっているのだ。そんな馬鹿な、と一瞬目を疑うが間違いない。

 牛の頭部を持った執事軍団が商店街に溢れ出してきて、人々を恐怖に陥れていた。


「ななな、何だよ、この変態集団は!?」

「……バトラー兵!」

 驚きで声を上ずらせる信二郎を、即座に庇うような動きを見せるソラ。

 信二郎を後ろ手に下がらせ、自身は前に出て全方位への警戒態勢をとる。

「ギューマ党の、下っ端構成員どもです! こいつらがいるということは……やいっ、出て来なさいマーラン! この卑怯者!」

「くっくっく、卑怯とは聞き捨てならんなサトリ・ソラ。いや……聖天大聖ゴクウ!」


 バトラー兵なる変態集団の背後から、ひどく聞き覚えのある声がした。

 紫色のマントを翻し、流れるような銀髪から禍々しい二本角をのぞかせた少女。

 見間違えようもない、先程信二郎を襲ってきたマーランだ。

 マーランは、今回は繕う気配さえなく、邪悪を具現化したような笑みを浮かべていた。


「我が牛魔党は、その少年の切なる願いを聞き届けようとしているに過ぎぬ……。彼は現世に生きる限りは永久に救われんのだ。だから我らが与える死を以て、永劫の安らぎとしてやろうという訳だよ!」

「たわけたことを……アンタらの過激主義の踏み台なんかに、信二郎を利用してんじゃありませんよ!」

「弱き者を踏み台にするのは貴様らの専売特許ではないのか? 聖天界の犬めが!」

 マーランが吐き捨てるようにそう言ってのける。

 ソラとマーランは互いの主義をぶつけ合うが如く対峙し、睨み合っていた。


「平和と安全の名のもとに崇拝を得んとするその企み……我らは断じて容認せんぞ!」

「人を犬呼ばわりとは、言ってくれますね! 誰かの弱みにつけ込むような真似ばかりしている、卑劣極まりない牝牛の分際で……!」

「こざかしい! バトラー兵ども、懲罰せよッ!」

「「「ウシシッ! ウシシッ!」」」

 小ぶりの刃物を手に手に、バトラー兵軍団が雪崩を打って押し寄せてきた。

 それは文字通り、どこかの過激派を連想させた。


 ひっ、と悲鳴を漏らしてへたり込んだ信二郎とは対照的に、ソラは気合い一閃、敵の只中に真っ向から突入していった。

 降りしきる雨の中、古風なセーラー服美少女と、変態染みた牛面執事服集団の激闘の火ぶたが切って落とされる。

 無力な人間を背に徒手空拳で、得物持ちの多勢を迎え撃つ後ろ姿。

 それはまるでひと昔前の、スケバンの死闘を見ているようだった。


「しぇあああああああああああッ!」

「「「ウシシッ! ウシシッ!」」」

 無手のままの孤軍奮闘にもかかわらず、ソラはバトラー兵に対し無双状態だった。

 変態執事服軍団は、数を頼むばかりが取り柄で個々の力はないに等しい。

 ソラの殴打や跳撃を浴びて、彼らは次から次へと宙に吹っ飛んでいた。


「いやだ……いやだ……もう何もかも全部嫌だ!」

「しっかりして下さい信二郎! 今こそ、私の力を使う時です!」

 頭を抱えて、現実から逃げるようにしゃがみ込んでいる信二郎に気付き、ソラは敵の一体を蹴りつけるとその勢いで反転跳躍して、信二郎の傍に着地してきた。


「信二郎の中には既に、私の力が封じられています……。貴方がそう望むだけで、この状況は一気に変わるんです! 立ち向かうんですよ、信二郎!」

「いやだ! いやだ! イヤだよ!」


「――――蓮河くん!」

 そのとき、この状況では有り得ない声がした。

 ハッと我に返った信二郎が顔を上げると、この雨の中、傘をさして何かを探し求めるように商店街をこちらに走ってくる少女の姿が見えた。


「蓮河くん、何処? 何処に行っちゃったの?」

「あの人は……」

「ま、牧奈、どうしてこんなところに!?」

「……あっ、いた! 蓮河くん! 急にいなくなるから心配したんだよ!」

 目的の信二郎に気付いた千手が、更に小走りでこちらに接近してきた。

 位置関係が悪く、どうやら戦闘が起きていること自体に気付いていない様子だった。


「さっき商店街の人たちが逃げてきたけど、こっちで何か……」

「バカ! 牧奈、来ちゃダメだ!」

「えっ?」

「ウシシッ! ウシシッ!」

 信二郎の警告も時すでに遅く、物陰から飛び出したバトラー兵の一体が千手目掛けて飛び掛かった。不意打ちで出現した怪物に、千手はぎょっとして立ち止まる。


「……きゃああ!?」

「ウシシシシッ!」

 バトラー兵に殴られた千手は後ろ向きに倒れて、そのまま動かなくなる。

 それを見た瞬間、信二郎の頭の中は真っ白になった。

「…………牧奈ぁッ!」

 それまでの怯えが嘘の様に、信二郎は千手のもとに駆けだした。

 続けて何かしようとするバトラー兵に死に物狂いで体当たりを食らわすと、信二郎は即座に千手のことを抱き起して絶叫した。


「大丈夫か牧奈! しっかりして……起きてよ、死んだりしたらイヤだよ! 牧奈ぁ!」

 必死に揺さぶって呼びかける信二郎だが、千手は気絶したままだった。

 自分でも意識せぬままに、信二郎の声に少しずつ嗚咽が混じっていく。


「何が大丈夫だよ……自分の身なんか、ちっとも守れてないじゃないか、バカ……」

「信二郎、無事ですか!?」

 千手を抱きしめ続ける信二郎の背後で、バトラー兵が呻き声を上げる。

 駆けつけてきたソラが、接近していた敵を迎撃したらしい。

 しかしもはや、信二郎は返事一つすることが出来なかった。

「やっぱりだ……やっぱりまた…こうなるんだ……」

「信二郎?」

「ボクと関わると……ボクと関わった相手はみんな傷ついて……一人残らず不幸になる……イヤだ、もうこれ以上何もしたくない……何をしたって全部無駄になるんだ……」


「――――おい、いい加減にしろよ、テメェ!」


 細い手がいきなり後ろから信二郎の胸倉を掴み、乱暴に振り向かせる。

 それまでとは比較にならない程の怒りの表情で、ソラが信二郎を睨み付けていた。

 予想外の事態に、信二郎は思わず瞳を白黒させる。

「そ……ソラ……?」

「いつまで、そうやって腑抜けてりゃ気が済むんだ。テメェはこの子の気持ちを無駄にすんのか? この子がどうしてテメェを慕ってくれてるのか、テメェはちゃんと考えたことがあんのかよ!」

「な、何のことさ……?」

「俺にだって……出会ったばかりの俺にだって、そのぐらいのことは分かるぜ。いいか信二郎……その娘がオマエを慕ってくれてるのはなァ!」

 隙を見て飛び掛かってきた敵を、ソラは振り返り様に殴りつける。

 片手間にやられたバトラー兵が、泥飛沫に塗れてひっくり返った。


「オマエが! こんな時でも、誰かのために無我夢中で行動出来る、優しい心を持った人間だからじゃねえか! さっきのオマエ自身の見せた行動が、その何よりの証明なんだよ! オマエの親が誰だとか、どんな家の生まれだとか、間違ってもそんな下らねえ理由のためなんかじゃねえ!」


「何……何言ってんだよ……!」

「オマエはオマエ自身なんだよ、信二郎! 自信を持ちやがれ! それをロクに見てもいない連中の言葉になんか惑わされんな! ぶっ殺すぞ!」


 気が付くと、信二郎は涙を流していた。

 止め処なく、熱いものが瞳から頬を伝って零れ落ちていく。

 同時に何故か、信二郎の顔には久しく浮かべていなかった笑みも混じっていて。

 そのどちらの理由も、今の信二郎には分からなかった。


「フン、うすら寒い綺麗ごとを……再び出でよ、ハンマーホルスタイン!」

「ぶもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「「うわあっ!?」」

 マーランがひと声命じるなり、信二郎たちの足元がメリメリと盛り上がって花が開くように引き裂かれた。姿勢を崩した彼らの目の前で、多量の土砂を撒き散らし一度撃退されたハズのあの牛魔獣が地中より出現する。

「こいつ、まだ生きて……!?」

 雄たけびを上げる牛魔獣が、長い得物を間髪入れず振り抜いた。

 信二郎と千手を庇って身構えたソラが、近くの商店のシャッターに叩きつけられる。


「ぐうっ……!」

「そのまま一気にトドメだ、懲罰!」

「ぶもおおおおおおおおおおおお!」

 牛魔獣の容赦ない突進攻撃。身動き不能なセーラー少女に死が迫る!

 信二郎の絶叫が、小さな商店街に響き渡った。


「ソラ――――――――ッ!!」


 直後、世界からあらゆる雑音が消え去った気がした。

 不思議な静寂と、暗闇の中で、信二郎の胸元から十字に輝く光が発せられる。

 驚く信二郎の目の前で、眼前に謎の円筒状の物体が出現した。

 遥か古代の聖典セイテンを連想させるソレは、まるで少年の叫びに呼応し、その体内から飛び出してきたかのようであった。


「これ…………は…………」

「ッ! 信二郎、その力を!」

 ソラの呼びかけに、考えるより先に信二郎の体は動いていた。

 突如出現した円筒状の物体を、信二郎は力強く握りしめ、天高く掲げる。

 先端部からクリスタル状のパーツが飛び出し、光り輝くのに連動して、離れた位置にあるソラの肉体も爆発的な光のエネルギーを発して、周囲の風景全てを塗り潰した。

 思わず攻撃を中断した牛魔獣目掛け、光の渦の中から真っ赤な流星が飛び出した。

「――――シュワアアアアアアッ!!」


 ミサイルのような跳撃を食らった牛魔獣が、盛大な音を立てて転倒した。

 敵の醜態を背に、信二郎の眼前に華麗に着地する一人の美少女。

 それはもう、信二郎の知るサトリ・ソラではなかった。


「聖天大聖――――ゴクウッ!!」


 振り返って敵と真正面から対峙し、全身を躍動させたポーズをとる戦女神。

 空を覆っていた暗雲に裂け目が生じ、美しき天使のはしごが出現した。

 天の光の祝福を受ける神々しい姿に、その場の誰もが括目した。


「へへっ、待たせちまったなぁ!」

「それがキミの、本当の姿……!」

 それまでのセーラー服から一転、変身したソラあらためゴクウは赤いスーツの各所にプロテクターを纏った様な姿になっていた。美しい黒髪のポニーテールは金色に変じ、降り注ぐ光を浴びてキラキラと煌めいている。

 親指で鼻先をこする少年染みた仕草は、変化した口調と相俟って過剰なぐらいの爽やかさと頼り甲斐を発揮していた。

 信二郎の瞳に初めて希望の色がともる中、マーランは反対に地団太を踏み始める。


「おのれ! おのれおのれおのれ! 聖天大聖ゴクウ!」

「本当の戦いはこっからだぜ……覚悟しときな、ウルトラぺったんこ女!」

「ぺったん――――なぁッ!?」

 一瞬の間を置いてマーランの顔がたちまち真っ赤になり、声は不自然に裏返る。

 それは悪魔とまで呼ばれた過激主義者の女が、始めて見せた素の表情であった。


「お? どーやら図星みてぇだな。乳を出すだけが取り柄の牝牛の分際で、標準以下のミニマムおっぱいとは笑わせるぜ! 悔しかったら大きくしてみるこったな。やーい、ぺったんこ女! ぺったんこ女!」


「この……この……恵まれぬ者を愚弄することばかり考えつく、汚らわしいメス猿が! 唾棄すべき愚劣な選民主義者が! 生かしては帰さんからそう思えェッ!」

「……たかが貧乳指摘された程度で、よくそんな仰々しい物言いになるなぁ、おい……」

「煽ったのは貴様の方だろーがぁ――――――――――――ッ!!」

 本気でドン引きした態度を見せるゴクウに、マーランが癇癪を爆発させた。


「許さんぞ! 懲罰! 懲罰! 懲罰ゥッ!!」

「「「ウシシッ! ウシシッ!」」」

「下がってな、信二郎!」


 絶叫するマーランの命で、一斉突撃してくるバトラー兵軍団。

 それを見たゴクウは背中越しに信二郎に命じると、大きく弧を描くような動作で左手のブレスレットに触れ、己の武器の名を宣言した。

「――――ニョイロッド!」

 ブレスが光り輝き、赤と金に彩られた如意棒――――ニョイロッドが出現する。

 伝説の古代王朝から受け継がれし、シンプルにして値千金の万能兵器だ。

 それを幾重にも振り回したゴクウは、迎え撃つようにバトラー兵軍団に向かって突撃していった。再び幕を開ける、多対一の乱戦模様。


 しかしゴクウが見せるのは、先程までとは明らかに違った舞の様な動き。

 いっそ美しさすら覚える滑らかな棒捌きで、接近するバトラー兵を息の乱れひとつもなく、次から次へと打ち倒して進んでいく。


「懲罰招雷ィィィィ!」

「おおっと、危ねぇ!」

 マーランが水晶玉を掲げて宣言すると、弧を描くような軌道で放たれた紫色の雷が、雨あられと一斉にゴクウ目掛けて降り注いだ。

 だがゴクウはアクロバティックな動きをして、その全てを残らず回避。

 マーランの顔に、より一層苛立ちの色が蓄積されていく。

 一方で、ただ成り行きを見守ることしか出来ない信二郎は、終始動悸を抑えることが出来なかった。


「……ゴクウっ!」

「はは、心配ないぜ信二郎。こんなんじゃ、準備運動にもなりゃしねえよ!」

「「「ウシシッ! ウシシッ!」」」

 マーランの合図によって、それまで動きのバラバラだったバトラー兵たちが、瞬時に呼吸を合わせゴクウ中心に三六〇度の全方位を取り囲んだ。間をおかず、彼らは同時にゴクウを狙って飛び掛かる。


「いつまで余裕の態度だ、猿女ァ!」

「いつまでもだよ!」

 ゴクウは言うなり、ニョイロッドを天高く放り投げた。

 そして流れる様な動作で両腕をクロスさせると、右手を体側に引き絞って叫ぶ。

「――――サトリウム光線ッ!」

 正面に突き出された右手の手刀から、滝の如き光の粒子が放たれた。

 直撃を受けたバトラー兵の一体が、一瞬空中で制止してから木端微塵に砕け散る。

 更にゴクウは光線を放出しながら、その場で爪先を起点に鋭く一回転した。

 接近してきていた、全てのバトラー兵が光線の洗礼を受け、連鎖反応的に爆散する。


「…………!」

 一連の動作を見ていた信二郎は、ただただ絶句するばかり。

 だが当のゴクウは涼しい顔で、落ちてきたニョイロッドをキャッチすると遊ぶようにクルクルと手のひらで回してみせ、更に挑発的な笑みをマーランに送った。


「歯ごたえのねぇ連中だな……欠伸が出ちまいそうだぜ!」

「こ……の……ハンマーホルスタインッ!」

「ぶもおおおおおおおおおおおおおおお!」


 巨大なハンマーを振り回す牛魔獣が、咆哮しながら闇雲に突撃してくる。

 それでも不敵に笑うゴクウは、ニョイロッドを構え直すと敵を招き入れ、直撃すれば一発で頭蓋骨の砕けそうな重量級の打撃の雨を、やはり軽やかにいなしていった。

 幾度となく交差する得物と得物。

 辺り一面に鳴り響く金属同士の掠れる音。

 その連鎖が最高潮に達した時、ゴクウは不意に後ろ向きに大きく跳躍した。

 牛魔獣の一撃が命中し、アスファルトに放射状の亀裂が広がっていく。

「臆したかァ、聖天大聖ゴクウ!」

「遊びは終わりってだけだ……決着つけようぜ! レーザーロッド!」


 己の眼前で、身体と垂直にニョイロッドを構えるゴクウ。

 彼女がその表面を手の平でなぞると、中央を除いた得物の両端が瞬時に青白い光熱で包まれ、万物を貫き通す灼熱の刃へと変わった。

 それを見ても尚、再突進してくる牛魔獣。

 ゴクウはそれを限界まで引きつけると、僅かなスキを見出し懐に飛び込んだ。

「シュワアアッ!」


 ギイン、という交叉音がした直後、牛魔獣の体勢が崩れよろめくように立ち止まる。

 気が付けば、ゴクウの姿は彼らの視界から消失していた。

「ハンマーホルスタイン、頭上だッ!」

「ぶも……!」


「――――ゴクウ・ライトニング!!」


 所在を掴んだ時にはもう遅い。

 落下の勢いを乗せたレーザーロッドの一太刀が、真っ向から牛魔獣に浴びせられた。

 ゴクウの着地と同時に、牛魔獣は得物ごと脳天から真っ二つになる。

 レーザーロッドを解除し背を向けた瞬間、ゴクウの背後で牛の化け物が悲鳴と共に、炎を噴き出し爆裂した。


「……じゃあな、昨日までの絶望」

「おぼっ、おぼっ、憶えておれぇッ!」

 マーランはすっかり蒼白になっていた。

 マントを翻すと、古典的な捨て台詞を吐いて姿を消失させ、逃亡する。

 かくして信二郎を狙う、死の影は粉砕されたのであった。


 そして、敵がいなくなったためだろうか。

 ゴクウは立ち上がるなり、信二郎に満面の笑みでガッツポーズをとった。

「やったぜ、信二郎!」

「う、うん……!」

「マーランのあの顔見たか? 傑作だったな! はははっ」

「それはいいんだけど、ゴクウ……ってかソラ?」

「おっ、何だ信二郎?」

「なんかその……だいぶ口調が……」


 信二郎が指摘した瞬間、ゴクウが音を立てて固まった気がした。

 笑顔なのは先程までと違わないが、急速に静かになり、首から上がさも上気した様にカァッと真っ赤になっていく。コロン、とニョイロッドが彼女の足元に転がった。

「ひゃ、ひゃあああああああああ!」

 両手で頬を押さえたゴクウが、乙女チックな悲鳴を上げてしゃがみ込んだ。

 片や何の前触れもなくそんなものを見せつけられた信二郎は、たちまち鳩が豆鉄砲を食ったよう顔にさせられた。


「どうしよう! どうしよう! また……また、やっちゃいましたぁっ!」

「えっ、何!? 何がどうしたっていうの!?」

「すみません信二郎! 私その……興奮すると、たまにあのやんちゃしてた頃の性格というか……イキってた頃の自分に戻ってしまうんです! あああ恥ずかしい!」

「え、ええ~……?」

「本当にごめんなさい! 何か私、信二郎にとっても失礼なこと言った気がします! 散々気を付けてるつもりだったのに、バカバカ、私のバカ! ァア~……」


 ほんの一分前と違いすぎる態度に、信二郎は唖然とさせられるばかりだった。

 どうやら結構本気で後悔しているらしい。それにしても信二郎の側も、まさかこんなオチが待っているとは思わなかった。

 その時不意に、信二郎の手の中で光り輝くものがあった。

 見れば、ゴクウの変身直後からずっと握り締めていた円筒状の物体が、空中に溶けるようにして消え去っていく。

 驚く間もなく、しゃがみ込んだゴクウ自身の姿も、一瞬のうちに当初のセーラー服姿に再変化していた。聖天大聖ゴクウは、どうやら名実ともにサトリ・ソラに戻ったようである。


 落ち着いて来ると、信二郎はなんだか無性に笑いたい気分になった。

「……ふふ。ありがとう、ソラ。なんか元気が出たよ」

「そ、そんな目で私を見ないで下さい、お願いだから……」

 どう見ても普通の年頃の少女でしかなくなったソラに、信二郎は穏やかに告げる。


「ボクなんかで良かったら、キミのパートナーをやらせてもらうよ」


* * *


 雨上がりの美しい夕暮れを、信二郎とソラは二人並んで歩いていた。

 あれから程なくして、彼らはゲンドー会本部への帰路についたのだ。


「……何はともあれ、信二郎が決意を固めてくれて本当によかったです」

「ボクの中に、あんな力があったのは驚きだけどね」

 信二郎の背には、穏やかな表情で眠る千手がおぶわれている。

 敵に襲われて焦った割には、気を失っただけで大した怪我もしてないことが分かり、信二郎は非常にホッとしていた。後は意識が戻るのを待つばかりだった。


「何がどうなってるのか、後でちゃんと説明してよね、ソラ」

「フッフッフ、心配することはありません……」

「おいこら誤魔化すな」

「冗談ですよ。なんせ危急の事態でしたからね。着いてからゆっくりと……」

「――――若様!」


 穏やかな雰囲気を壊す様に、薄暗闇の中で声がした。

 信二郎たちが顔を上げると、教団施設の方からゲンドー会信者たちの飛び出してくる姿が見えた。いつの間にか、本部のすぐ傍まで来ていたのだ。


「わかさまー! よかった、ご無事だったんですね!」

「若様! 若様! みな待ちかねていますよ!」

「ああ若様! 若様! 若様!」

 行方の分からなくなっていた信二郎の帰還に、無邪気にはしゃぐ信者たち。

 彼らを見る信二郎の顔色が、たちまち陰ったものになっていった。


「……ごめんソラ、さっきの言葉は撤回するよ」

「はい?」

 道の真ん中で立ち止まり、遠くから駆けてくる人々を見つめる信二郎。

 大量の降雨で晴れ上がったハズの夕焼けに、また微かに雲がかかり始めていた。


「ボクにはやっぱり……パートナーをやるのは無理だ……」

「……ェッ!?」


(つづく)


 * * *


挿絵(By みてみん)


撲殺ぼくさつ牛魔獣ぎゅうまじゅうハンマーホルスタイン

 身長……290cm

 体重……6.5t

 概要……蓮河信二郎の曲界力から生み出された牛魔獣。重量級の一撃で人々に死をもたらす。

    非常に凶暴な見た目、性格だがこう見えて普通に乳は出る。意外と高級な味がするらしい。


■聖天大聖ゴクウ/サトリ・ソラ

挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん) 

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