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忘れ物をした幼馴染

作者: 時雨

「おはよ!陽介!」

私の名前は 坂崎 玲奈(れな)

どこにでといる普通の女子高生!…のつもり。


「ねぇ、おはよってばぁ〜!」


さっきから必要におはようコールをしているのに無視しているこの男子、桑田 陽介(ようすけ)は一応幼稚園からの幼馴染で家も近い場所にあるので昔はよく遊んでいた。

…でも最近陽介が先輩から告白されたらしく、その時を境に私の中で陽介の見方がどんどん変わりつつあるのを感じていた。


「あぁ~、ハイハイ。おはよう、おはよう。」


「何その塩対応!ぶっー!」


少し大げさすぎたかなと思いつつも今までの自分のキャラを貫き通す…そう誓ったのは陽介が先輩から告白されたことを聞いたあの日からだ。


私のことを見事にスルーした陽介は自分のカバンを漁っていた。

今まで何度も見てきたその横顔が、急に愛しく見えたのはきっと母性本能だと心に言い聞かせる。

そんな葛藤と闘いながら陽介の顔をちらりと見ると、今までに無いほどの絶望を感じ取った顔をしていた。


「ふ、筆箱…忘れた。」


陽介は何度も自分のカバンを漁るが筆箱は一向に姿を現さない。


「なにー?筆箱忘れたの~?」


辛うじて今までのキャラ通りの返事は出来たが、かなり危なかった。

ここは自慢げに…ここは自慢げに…自分にそう強く言い聞かせた。

その時私は自分の胸が大きく脈打つのを感じていた。


「るっせーな、お前には関係ねーよ。」


陽介が不意に席から立ち上がった。


ー 陽介が離れていってしまう ー


頭で考えるよりも先に私の両手は陽介の手を掴んでいた。


「ま、まさか怒ってる?」



「ち、違くて…その…よかったら私の…使わないかな…って何言ってるんだろ私!」


私は咄嗟に目線をそらし斜め下方向を向いた、

顔がどんどん熱くなるのを感じながら、私は陽介の手を握りしめる。

手汗凄いんだろうな…と思いながらも手を離すことが出来ない。

今離してしまったら、陽介がどこかに行ってしまうような気がしたから。


「いいけど…玲奈はいいのか?」


私は大きく頷き自分の席に戻った。


「はい!シャーペンと消しゴム!」


「あぁ、ありがと…」


陽介に筆記用具を渡し早歩きで自分の席に戻った私は高鳴る胸の鼓動を落ち着かせながら席についた。


「ピンクは…嫌だったかな。」


そう呟いて今日も私の学校生活は始まった。


予定していた玲奈視点になります!

前回投稿の陽介視点バージョンと合わせてご覧くださいませ。

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