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第53話シンガポールにて

実在する人物

福留繁中将

朝倉豊次少将

日下敏夫中佐

です

「あれが伊400か、凄いものだな。」

第十方面艦隊司令長官福留繁中将が言った。

「それにしても、今まで何処をほっつき歩いていたのでしょう。」

参謀長の朝倉豊次少将が言った。

「まあ、それは置いといて良いのではないかね?」

「確かに我々の管轄では無いですからね。」

「では、見にいくことにするか。」

「そうしましょうか。」

そう言って彼らは、司令部からセレター港に向かって歩き出した。

7月20日伊400が入港した日のことである。


「では、明日入渠すると言うことでよろしいですね。」

「ああ、佐伯中佐頼んだよ。 こっちは、本当に空襲が無いんだな。」

「ええ、今まであまりありませんよ。しかし、どうなるかは分かりません。」

「そうか。内地では燃料不足に悩まされていると聞いたが?」

「そうですね。もう何ヶ月も燃料を輸送して無いですからね。」

「ここは、大丈夫なんだな?」

「ええ、燃料の問題はないです。近くにバリクパパンなどの産油地帯がありますから。」

「そうかまだ、使えるのか。」


「失礼ですが、階級とお名前を申告してください。」

福留中将が、セレター港に入ろうとしたとき型通りに、衛兵に呼び止められた。

「第十方面艦隊司令長官福留中将だ。」

「第十方面艦隊参謀長の朝倉豊次少将である。」

衛兵は彼らに臆することなく言った。

「どういった要件でしょうか?」

「伊400が入渠したと聞いたから、その艦の視察に来たのだ。」

衛兵は直ぐに、見たいだけだなと思ったが表情に出すことはなく、丁寧な口調で言った。

「では、案内の者をこちらに向かわせますので、少々お待ちください。」

「分かった。」

「ここからでも見えますが、やはり凄い艦ですね。」

「排水量が、軽巡並みにあるからな、当然と言ったら、当然だろうな。」

「やはり、聞くのと見るのとでは全然違いますね。」

「そうだろうな。」

そう言いながら、こんな艦を作る技術があっても、皇国は負けるのか、そんな事を考えていた。

「お待たせしました。」

「では、頼む。」

「こちらです。」

そう言って、福留中将と朝倉少将を案内していく。

「それにしても、随分と寂しくなったものだな。」

往時を思い出しながらそう言った。

「ですね。もう連合艦隊栄光の時代の影は無いですね。」

「あれは、高雄と妙高か。」

彼らの目線の先には、もう自力では動く事のない、哀れな艨艟の姿があった。

「つきましたよ。」

二人がそんなことを考えている間に、伊400の停泊している所に到着した。

「どなたですか?」

艦橋にいた見張り員が聞いた。

「 第十方面艦隊司令長官福留中将と参謀長の朝倉少将である。」

福留中将が一気に言った。

「何の用ですか?」

「艦の視察をしに来た。艦長に合わせてくれ。」

「了解しました。少しお待ちください。」

そう言って、彼はタラップを降りていった。

「そんな所ですか。」

「失礼します。」

艦長室にノックされる音が響く。

日下艦長と佐伯中佐は、艦長室で話をしていた。

「どうした?」

「福留中将と朝倉少将のお二人が見えています。」

「役職は?」

この質問には、佐伯中佐が答えた。

「シンガポールに司令部を置く第十方面艦隊の司令長官と参謀長です。」

「では、向かいに行く。佐伯中佐はどうなさいますか?」

「では、私も向かいます。」

「お待たせしました。艦長の日下です。お二人のことは、要港部部長の佐伯中佐から、お伺いしております。」

「そうか。では自己紹介は必要ないかね。」

「はっ。何用ですか?」

「伊400を視察しに来たのだ。連合艦隊期待の艦をな。」

「艦内は散らかっておりますが。」

「構わんよ。入港はするのかね?」

「明日、します。」

「ならば、少し長居をしてもいいか。」

「どこから、ご覧になりますか?」

「格納筒から頼む。」

やはり、誰もがその巨大な筒の格納筒に目を奪われるのである。

その格納筒が、伊400の特徴であり存在理由でもあるのだ。

それにしても、なんと巨大な潜水艦であろうか。この艦が潜水空母と呼ばれるのも頷ける。

そう、福留中将は考えた。

「こちらです。」

そう言って、巨大なハッチが開けられた、格納筒の前に案内する。

そこから見える風景は、まさに圧巻というものであった。

「すごいな。」

「ですね。」

二人は呆然と立ち尽くしてしまった。

二人の前には、整備中の晴嵐が1機鎮座していた。

「いかがでしょう?」

「ただただ、すごいとしか言いようがない。」

「ありがとうございます。」

「これが、何機搭載されているのかね?」

「本艦には、3機搭載しております。今は、2機が敵の攻撃によって破損してしまい、修理中のため、稼働機は目の前にあるこの機体だけですが。」

「そうか。それにしてもすごいな。今までは、零式小型水上偵察機1機だけだったんだからな。」

「それに、本艦は、地球を1周半できるだけの燃料を搭載しています。そのため、世界の何処へでも向かうことができます。」

「凄いな。これこそ、我が国がほこれるものだな。」

「まだ本艦には、驚かれることがあります。楽しみにしていて下さい。」

「これも十分凄いぞ。」

そう福留中将は言った。

第53話完

前後編?になりました

今日3話書いて55話まで行きましたが終わりが見えません

ストックが2話に復活した

勝手にランキング戦記部門で16位でございます

感想待ってます

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