第45話死闘の果て
続きです
「損害を報告せよ!」
伊400艦長日下中佐の声が響く。
伊400は、ノース号の激しい爆雷攻撃をくぐり抜け、プリスベーン沖から、3ノットの速力で離脱していた。
「鋲が外れ、浸水あり!」
「備品破損。」
報告をまとめていくと、かなり危なかったことが分かってきた。まず、鋲が飛んでいた箇所が15箇所あり、全てから浸水していた。しかし、浸水が激しくなかった為、沈没の危険は無かった。
「修理急げ、いいかどんな損害も見落とすなよ。そのせいで沈没したら、意味がないからな。」
「その通りだ、総員損害調査に全力を注げ!」
副長がさらに言った。
「排水急げ、それと救難信号放て!」
「了解!」
ノース号はノース号で被害の修理と救難信号の発信に追われていた。
「艦長、まさか敵艦がいたとは・・・」
副長が呆然としながら言った。
「消火急げ!弾薬庫に火が回るぞ!」
艦長が怒鳴った。
ノース号は、飛来した際に配線がショートし火災が発生していた。しかし、その後の戦闘により消火が行われず、下手をすると誘爆する危険に晒されていた。
しかも、それと並行して排水作業もしなければならないのである。
もはや、手空き乗員などはおらず総員でかかっていた。
「急げ、もっとバケツ持ってこい!ホースもだ!」
「あと鉄板とベニヤ板も持ってこい!」
「バケツがもうありません!」
「なにっ」
「消火作業の方に持っていかれました!」
「なら仕方ないか・・」
「消火急げ!」
ダメージコントロールの班長が叫ぶ。浸水の方は、もう排水作業さえ終われば、良いだけのため船の沈没にか関わることはない。しかし、火災の方はそうは行かない、なんせ弾薬庫に火が回る寸前なのである。
「応援をよこしてください!」
船長に伝声管を通して、伝える。
「待ってくれ、今よこせる余剰人員はいないんだ。」
「しかし、このままでは船が沈んでしまいますよ!?」
「だがな、排水班から引き抜くわけにも行かないからな。」
「しかし、浸水は拡大して無いんですよね?!」
「確かに拡大はしていないが、このままにしておくと、転覆する恐れがあるんだ。」
「では、ホースだけでもよこしてください!」
「分かった、排水班ホースを消火班に渡せ!」
「しかし!・・排水を実行しなければ行けないのでは・・」
「弾薬庫に火が回りそうなんだ。下手をすると、そっちが原因で沈むぞ。分かったか?」
「分かりました・・・」
いかにも渋々そうに言った。
「いいか、火を絶対に弾薬庫に入れるな!ちょっとでも入ったら、終わりだぞ!」
「分かってます。」
船は、火災煙を出し傾斜しながらも、プリスベーンに向かっている。
それにしても、被雷よりショートによって起こった火災の方がヤバいとは、なかなか起こらない状況である。何故こうなったのか、それは伊400を爆雷で激しく攻撃したために、対処が遅れたためである。
「いいか、浸水のある所はしっかりと覆って止めるんだ。あとは、現場の先任士官に任せる。くれぐれも、見落としの内容に気をつけろ。いいな。」
「わかりました!」
「水雷長。魚雷に被害は無いですよね?」
「それを今から確かめるんだ。分かったか?」
「分かってますよ、横川水雷長。」
「分かってるならいいが、よしっ始めるぞ!」
「了解!」
「それにしてもさっきの爆雷攻撃は凄かったですね。」
「ああ、正直生きた心地がし無かったな。」
「もう終わりだと、何度も思いましたよ。」
「だが、今生きているぞ。」
「そうですね。でも、艦の被害が、思ったよりも無かった見たいですよ?」
「さっき、艦長が言っていたんだが、爆雷は全て艦の直上で炸裂していたそうだ。だから、揺れの割に被害がなかったそうだ。」
そう、水中で衝撃波は水圧の低い上に行くため、炸裂震度より下にいればよっぽどの事がない限り、沈みはしないのだ。
「なるほど、だから沈まなかったんですね?」
「そうだな。あとは本艦の図体がでかかったと言うのもあるだろうな。」
「確かに、軽巡並みに大きいですからね。」
この、伊400排水量が水中で6560トンもあるのだ。もはやこの艦が本当に潜水艦なのか?と思うほどの大きさである。
「よしっ、ちゃんと16本あるな。点検するぞ。」
「まあ、大丈夫だとは思いますけどね。」
「もしも、今見ないで後で破損してるのが分かったら、どうなると思う?」
「まあ、最悪艦が沈みますね。」
「そうなっては嫌だろう?だから今きちんと確認するんだ。」
カチャカチャと機械をいじる音が響く。
「鎮火しました!」
消火班から、喜びの報告が入る。
「やったか!これで、あとは無事に帰ることを考えればいいというわけだな。」
「そういうことですね船長。」
ノース号はこの後、無事にプリスベーンに入港し修理を受けることになる。
そこで船長は、対戦兵器の増備を要求したという。
もっとも、海軍工廠ではなく何より在庫が無かったため、出来無かったのであるが。
「畜生!あの艦に復讐してやろうと思っていたのに!」
船長の悔しさは、相当なものがあったとのちに、副長は証言している。
「特に異常ありませんでしたね。」
「なくて良かったな。」
「これでまた魚雷が撃てますよ。」
「だな。」
第45話完
もうすこしで終わるのかな?・・・
今日は用事で2話目が書ききれなかった・・・
感想待ってます




