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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
42/112

第41話輸送船の航跡

輸送船の打たれ弱さについてでs

「平行戦か。」

艦長が呟いた。

今伊400は、ノース号に雷撃を敢行するために、3ノットの速力で航行していた。

ノース号とは、4ノットの速力差があるが、艦位が前方に位置しているため、ハの字のように航行待ち伏せる事が出来るのだ。

「よし、取り舵一杯。」

艦が号令とともに、回頭を始める。

「舵戻せ。」

舵を中央に戻し、艦が直進に戻る。

このまま行けば、数時間後には雷撃位置につけるだろう。

「うまく、目標を発見できましたね。」

「単に運が良かっただけだろうな。それにしても、なぜ船団を組んでいないんだ?」

確かに、なぜ船団を組んでいないのか。簡単に言えば、パナマ攻撃の影響であった。即ち、兵力の増強が即座にできなくなったために、前線兵力を増すためと、沖縄などの最前線に護衛駆逐艦などほぼ全ての艦艇が、駆り出されているためである。

更には、船団を組むだけの輸送船の数がないという理由もある。

それに、オーストラリア方面はもう安全といってもいいとの意見もあり、単独航行になったのである。

しかし、どのような状況だったとしても、船団を組むべきだったろう。なぜなら、護衛艦が一隻でもいてば、潜水艦に対して大きな牽制になるからである。

その、単独航行と言う隙を伊400は上手くつくことになったのである。

「どっちにしろ、攻撃を加えられるという点には変わりありませんよ。」

航海長真鍋中尉が言った。

「ああ、その通りだ。」


「もしジャップのやつがきても、反撃できますね。」

ノース号の艦上にそんな声が響いた。

はて、反撃できるとはどういうことなのだろうか?

理由は簡単である。ノース号には護衛が困難ということで、自衛兵装を搭載していたのである。

その兵装は、リバティー船のものに基づいており、船首尾甲板に7、5センチ両用砲を搭載しており、20ミリ機銃を単装26基搭載している。

また船尾には爆雷投射機が1機搭載されている。

爆雷に搭載数は、26発である。

しかし、排水量がこの改装で増えた為に、積載量が、10000トンから、6000トンにまで落ちていたのだ。

なぜそこまで落ちてしまったかというと、元々このようなものを搭載する事を考えて作られていなかった為と、船倉の一部を弾薬庫にしたからである。

それでも、日本の戦票船よりははるかに大きな積載量であった。

ある意味、仮装駆逐艦?の様になっていたのだ。

その為、乗員の艦に対する期待は大きかった。これなら、護衛なしでもなんとかできると思ったのだ。

しかし、この程度の兵装では潜水艦と互角程度であり、航空機に襲われたら目も当てられないことになるだろう。

直掩機を持たない艦隊の脆さは、太平洋、大西洋問わず実証されてきた。また輸送船の場合にはより悲惨なことになるのだ。

ダンピールの悲劇というものがある。

これは、1943年3月に起こった海戦である。

これは、ポートモレスビーのラエ物資を輸送するために、駆逐艦8、輸送船8からなる輸送船団がダンピール海峡に迫った時に起きた戦闘である。詳細は省くが、この輸送船団に対しアメリカ陸軍は、B25ミッチェルによる、反跳爆撃を行った。

その攻撃により、日本の輸送船団は、駆逐艦4、輸送船8と言う、全滅に近い損害を受けたのである。

当然輸送作戦は、失敗に終わった。

この様に、航空機による直掩がなく、さらに鈍重輸送船が航空機の攻撃を受けて生還できるのは、ほとんど奇跡といってもいいぐらいの確率でしかないのだ。

たとえ、他の輸送船よりノース号の防御火力が大きいと言っても、軍艦特に戦艦と比べると比べるのが酷なぐらいの差があるのだ。

確かに、各種レーダーとソナーを備えてはいるが、射撃管制装置などと言うものは付いていないのだ。

だから、対空砲火は完全に乗員次第という訳なのだ。

「だが、一発でも被弾したら拙いぞ。」

艦長が冷静に言った。

「確かに、軍艦みたいに装甲が張り巡らされているわけでも無いですし、水中隔壁も少ないですからね。」

副長が返した。

その通りである。軍艦では無いただの船に、被弾する事を考えて作るということはまず無い。そんなことおする必要が平時にはないし、建造費も跳ね上がるからだ。

「敵が接近してくる前に、叩き潰してやればいいのだ。聴音手何かあるか?」

艦長は、日本海軍からの攻撃があるとすれば、潜水艦しかないと考えていた為、特に聴音をしっかりやらせていた。

「特にありません。いたって普通の感じですよ。」

「なら問題ないな。よし、このまま進むぞ。」


「距離70000」

艦長が潜望鏡を覗き、ぎりぎり見える間の距離をそう判断した。

この数時間でたったの10000である。この調子で行くのなら、位置に着くまでに半日は最低かかるだろう。

しかし、艦を増速させる事は出来ないのである。

そう、電池室での事故の影響である。

しかし、目標が進路を変えない限り、振り切られるということはないだろう。

「総員静粛。音を立てるな。恐らく目標はこの間みたいな間抜けではない。些細な物音で察知される恐れがある。」

その命令と共に、喧騒に包まれていた艦内が静寂に包まれた。

第41話完

と言うわけで如何に輸送船がもろいか分かったと思います

アクセス数が順調に伸びてます

感想待ってます

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