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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
41/112

第40話作戦4日目

また捕捉します

今日は、6月9日である。

昨日伊400は再びプリスベーン沖に布陣した。

昨日は、初日のような幸運に恵まれることもなく、接敵することもなかった。

その理由といえば、機雷に触れないために昨日は通行を規制し、掃海作業をしていたからだ。通商破壊の目標は輸送船の為、唯々そこに居るだけで全く動こうともしなかった。だから、敵駆逐艦に見つかることもなく、1日を終えたのである。

その間掃海部隊は、実際に機雷を数個発見処理していた。これは偶然だが、ほんとうに機雷があった為マンハッタン号を沈めた犯人は、機雷であると言うことで、決着がついてしまったのである。

実際に沈めたのは、伊400であったことに気づかずに。

「艦長今日こそ、目標がいれば良いですね。」

「その通りだな。奴らは本当に、機雷で沈んだと判断したみたいだからな。」

「奴ら、一生懸命掃海作業をしてましたものね。しかも、たまたま機雷があってびっくりしましたよ。」

その海域に機雷があった事は、伊400の乗員たちも本当にあるとは、と言った風に驚いていた。

「まあ、昨日で掃海は終わったみたいだな。」

「確かにきょうは、駆逐艦とか掃海艇が見えませんね。」

「恐らくもう無いだろうと、引き上げたのだろう。」

「そうですね。だとすると今日は、獲物が来る可能性が高いという事ですね。」

「今日は確実に来る。それは、言えるだろう。しかし絶対とは言えないがな。」

「絶対来るとは確かに、言い切れませんね。」

そうなのである。たとえ通行制限が解除されたとしても、そこを通る予定の船外なければ、獲物を見つけ出す事は不可能なのだ。だから、初日のことは幸運だったと言えるのである。


「船長、この海域では4日前に機雷に触れて、沈んだ船があったみたいですが、どうしますか?」

輸送船ノース号の航海長が言った。

「もう昨日掃海作業をしたんだろう?だったら、航路を変える必要はない。ただえさえ1日遅れてるんだ、これ以上は遅れられんよ」

ノース号は本来なら昨日プリスベーンに入港する予定であった。しかし、掃海作業の為に立往生を余儀なくされたのだ。

「でもあれは、自分たちの責任では無いですよ?」

「だとしても、海軍にはなるべく早く行ってくれと言われたんだ。それに、乗員も上陸させたいからな。」

この艦長は、乗員思いという事で有名な艦長であり、副長も反対することはなかった。


「昨日は、獲物がいなかったので存分に魚雷の整備が出来ましたよ!」

そう横川大尉に話しかけたのは、野島兵長である。

「確かに昨日は、作業がかなり捗ったな。艦が懸吊状態で動かなかったのが、大きいな。」

「感が揺れる事もなかったので楽に出来ましたよ。」

懸吊状態とは、艦を停止させ深度も一定に保っておる状態のことである。

「朝から、今日は接敵は無いって艦長が言っていたってのもあるな。」

「そう言われたから、かなりやり易かったですよ。」

「まあ、駆逐艦とかはいたらしいが、うちの艦長は輸送船以外は、艦の死活問題になる時以外は無視するっていう方針だからな。」

「駆逐艦を攻撃して、反撃されて終わるのは真っ平御免ですけどね。」

「まだ、魚雷が残っているのにやられたら、やりきれないからな。」

「最後の1本まで撃ちたいですね。」

「それは、水雷屋なら誰でもそうだろう?」

「ですね。」


「目標発見。総員配置につけ。位置は7時の方向、80000。」

艦長が、ノース号を発見した。

「速力はどうですか?」

航海長の真鍋中尉が聞いた。

「恐らく、7ノット前後だろうな。」

ノース号は7ノットという低速で進んでいた。理由は、機雷を発見次第避けるためにである。


「いいか、見張り員。水面をしっかり見るんだ。もし機雷があったなら、すぐに報告しろ。いいな。」

「了解です。お前ら死にたくないな!」

見張り長が、言った。

「そうですよ!当たり前じゃあ無いですか!」

「よし、水面を死ぬ気で見ろ。機雷がないか探すんだ。」

「了解!」

見張り員たちの威勢のいい声が響く。

ノース号には、マンハッタン号のような油断や慢心などと言うものは存在しなかった。

それは、多分に艦長の乗員の掌握度の違いであった。

ノース号の場合、艦長は乗員思いとして、信頼されていた。しかし、マンハッタン号の場合乗員と艦長との温度差がかなりあり、とても艦長が掌握しているとは言えない状況に有ったのだ。

だから、ノース号では艦長の命令に対し乗員が打って響くように機敏に反応し実行するのだ。

しかし、マンハッタン号の場合言ってしまえば無視していた為に、あの様な事態を起こしてしまったのだ。

やはり、こういう戦時には纏まっている集団が強いのである。

そう、どんなに優秀なものであっても、活躍するかは使う者次第なのである。

「良い感じの雰囲気だな。適度に緊張してもの事に当たっているからだな。副長はどう思う?」

副長は逡巡した後言った。

「その通りだと思います。少なくとも、油断している者はいないのではないでしょうか?」

「ああ、その通り良い雰囲気に包まれてると言えるだろう。」

ノース号はプリスベーン目指して航行していく。

第40話完

再び伊400は戦いの渦中に飛び込みます

通算アクセス10000突破しました

昨日は1日アクセスが1000件初めて超えました

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