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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
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33/112

第32話敵艦追跡②

今回は伊400を不運が襲います

「やはり敵艦は、警戒態勢を敷いていないようだな。」

艦長の日下中佐が、副長と航海長の二人に言った。

「はい、まず敵艦は対潜警戒運動をしてませんからね。」

対潜警戒運動とは、日本海軍でいう乙字運動である。

乙字運動とは、いわゆるジグザグ航行である。しかし、同じペースで転舵を続けると動きを相手に読まれるという弱点があるが、上手くやれば敵をまく事もできる。

そして、相手に動きを読まれたとしても、攻撃位置に着くまでの時間を伸ばすことができる、ただしまれに真正面に出てしまう時もあるが、十分有効な手段であった。

しかし、マンハッタン号はこの様な運動をしておらず、平時のように航行していたのだ。これでは、攻撃してくださいと言っているような物だが、乗員たちは陽気な雰囲気で過ごしていた。

さらに見張り員までもが、見張りの仕事をほったらかしにして、会話に夢中になっていたのだ。

「全く、今は戦時中なんだぞもっと緊張感を持ってもいいもではないかね。」

マンハッタン号の副長が、戒めるように言った。

「何言ってんすか副長。もう敵なんていやしませんよ。」

「そうですよ、ジャップの連中なんてもう本土に引きこもってますよ。」

「確かに、水上艦艇はそうだろう。前大戦のドイツ大海艦隊のように。しかし潜水艦は別だ、奴らは絶対に潜水艦を派遣しているはずだ。それに、パナマを攻撃したのだって、潜水艦から発進した水上機だったと言うじゃないか。」

「確かに、パナマはそうかも知れませんが、その攻撃を敢行した潜水艦はもう本土に帰還してると考えるのが当たり前ですよ。なあみんなで。」

「ああ。そんな航続力持った潜水艦なんて聞いたことありませんよ。それとも副長は、その潜水艦がこっちに来てるとでも言うんですか?」

「そうは言ってない。違う潜水艦が居る可能性があると言ってるわけで、自分もまさかパナマの潜水艦が来てるとは思ってないよ。」

しかし、今彼らを追跡しているのは、その彼らの中ではあり得ないはずの、パナマを攻撃した伊400であったのだ。

そのことに気づいたものはいない。

それも仕方ないであろう。彼らの中に、今まさに自分達が追跡されてると思っていたものがいないのだから。

「しっかし、プリスベーンで上陸したら何します?」

「もう上陸後の話か。流石さな。」

「どうせ敵なんて来ませんから。考えるだけ損ってことですよ。なあみんな!」

「おお!どうせ敵はこねえ。気のする方が間違っている。」


「そういや、灯火管制もして無いなあの敵艦。」

日下艦長がぼそっと言った。

「そうですね。もう電気を消していてもいい時間なのに。」

今は、夜の7時であり空が暗闇にほとんど包まれていた。戦時中は、陸や海に関係なく敵の空襲や敵艦の襲撃を受けずらくするために、灯火管制と言って電気を消して暗闇に紛れるのが戦時中のお決まりみたいな物である。

しかし、マンハッタン号では敵がいないとの見方が強く、実施されていなかった。いや艦長は出していたのだが、乗員が無視をしていたというべきだろう。

「だから、夜でも楽に追跡できてる訳だがやはり遅いな。」

実は、伊400は事故が起こり3ノット以上の速度で潜水航行出来なくなっていたのだ。其れは、電池の溶解液が艦が波で煽られた際に溢れてしまったのだ。普段は蓋をしているためこのような事は起こりえないのだが、不運にもこの時ちょうど電池の点検を行っていた為蓋をあけていたのだ。これによって溜まっていた海水と反応、塩素ガスが発生してしまったのだ。幸いここで作業していた乗員が、即座に脱出し隔壁を封鎖した為、大事には至らなかったがもし塩素ガスが艦内に充満していたら、死者が出ていたことであろう。

幸いその乗員も、若干めまいを起こしただけですんだ。

しかしその為に残電池容量が5ノットのままだと追いつく前に切れる恐れが出てきてしまったために、やむなく3ノットに落としたのである。

それにより追いつくのに時間が掛かるという結果を招いたが、相手が対潜警戒運動を行っていなかったために、追いつけないという恐れはなかった。

ちなみにマンハッタン号の航行速度は、8ノットであった。

「敵艦への距離10000。」

潜望鏡を握っている副長が言った。今伊400は、ななめ前から接近する形になっていたい。即ち敵から見たら、右舷側から迫ってくるということだ。

だから、追いつけないということは無いのである。

「艦長、電池室で事故があったときは、焦りましたがなんとかなりそうですね。」

「ああ。ななめ前から接近してる事が良かったな。もし後ろから、追っかける事になっていたら追いつけなくなっていたからな。」

まだ伊400はつきを残していたのである。

マンハッタン号が不運だったのは、左舷側の見張り員は比較的真面目に双眼鏡から目を放さずにいたため、左舷側から接近されていたら、発見出来た可能性があったことだ。

「距離8000。」

副長の距離を告げる声が響く。

「距離1000で雷撃用意だ。」

艦長の命令が響く。

第32話完

電池室での事故ということでした

あとがき書くまで時間が空くから見直さないと・・・ストックあるのは良いんだろうけど

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