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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
31/112

第30話作戦1日目

ついに30話達成!


きょうは1945年6月6日である。今日から、伊400とその乗員は、通商破壊任務についていた。しかし、これは艦長の発案であり、連合艦隊には一言も言っていない行動である。

しかし艦は、日下艦長のもと高い士気を保っていた。そのため、艦長がパナマ攻撃後急に言いだしても、特に大きな反論も出ることなく、艦内討論ですんなりと決定されたのだ。そして彼らは、パナマ攻撃から、およそ1月と3分の1月の41日をかけてここまで来ていた。

その艦艦の士気が多少下がることがあっても、下がり切るということはなかった。ここまで誰一人として戦死者を出していなかったからだろう。

やはり、小型艦程艦長と乗員の関係が深く良くなることの証明だろう。しかし艦長が相応の技量と人柄を持っていなければ、逆に関係が悪化しその艦本来の力を出し切れずに、戦没する事も多い。その点日下艦長は両方を持っており、さらに状況判断能力が高く、瞬時の判断の速さは乗員の間で、評判になっていたのだ。

この1945年という末期にこの様な艦長と出会えた事は、乗員だけでなく感にとっても幸運だってあろう。何故なら艦が本来持っている力を、存分に発揮してくれるからである。

その様に人望がある艦長の元、乗員は団結心を養っていったのである。

それに、初陣のパナマ攻撃作戦が成功したことも大きいだろう。

その成功によって、艦内のボルテージは最高潮に達した。一番士気が上がっていたのは、やはり攻撃を成功させた航空隊の面々だったり。

そしては、伊400はその建造目的を果たしたと言えるであろう。

「敵見つかりますかね?」

「よさんか、吉川飛行兵曹。まだ始めたばかりじゃないか。航空索敵と同じで、すぐに結果が出るわけじゃないぞ。」

「それはそうでしょうけど、今回はおいけてぼりなんですよ。自分で何かできない時が、1番緊張するじゃないですか。」

「そうとも言うが、我々は作戦後に向けて英気を養っていると思えばいい。」

「作戦後ですか?」

「恐らく、海域離脱後何か任務が下ると思う。それを待てばいいだろう。」

「そうは言うかも知れませんが、本当にあるかは分からないじゃないですか。」

この指摘は、間違っていない。今生野中尉が言った事もあくまで、彼の推測に過ぎず艦長に言われたわけでは無いのだ。

「それはそうだがな、確かめる訳にも行かんだろう。今艦長は潜望鏡で敵見つけようと神経を集中させている筈だからな。」


その頃発令所では、生野中尉の予想通り艦長が潜望鏡に陣取り、敵を発見しようと躍起になっていた。

「電測員何かあるか?」

この艦の電測員、村野兵長に聞いた。彼は電探と逆探の操作を部下二人と共に、四時間ずつ6交代で任務に当たっている。

今は丁度村野兵長の番だった。ちなみに電測員は聴音員とは違い艦が潜行しているときには出番がないのだ。

この艦には、四式水中聴音気と三式探信儀が装備されており、日本の潜水艦としては優秀な電子機器を搭載していた。確かにこれらの装置には、水上艦の婆6ノット程度にまで速力を下げないと探知できないと言う弱点があったが、いかんせん潜水艦は潜ってしまえば、接敵しない限り航海速力の3〜5ノット程度しか出さない為、有効に使うことができた。

「いえ電探にも逆探にも反応ありません。しかし装置が故障しているという可能性は、ないと言って良いでしょう。」

確かに両方の電波兵器が故障するとは考えられない。またカタリナ飛行艇も見つけているのだから、壊れてはいないのであろう。

「分かった。航海長、どの辺に敵が一番いると思う?」

「分かりませんが、港の近くなら確実にいるかと。」

「よしなら、40浬まで接近するぞ。」

「賛成です。」

「艦長に航海長、それでは艦を危険にさらすことになりますが、よろしいので?」

「ああ獲物を取るには、虎口に入らねばならないからな。」

「よし、取り舵一杯。プリスベーンに接近する!」

艦長の号令とともに、艦が左に旋回する。

こうして艦はプリスベーンへさらに接近することになった。

「恐らく到達したはずです。」

そう航海長が言ったのは、午後6時頃のことである。

「よし、機関停止!」

艦長の号令で今まで回っていた電動機が止められる。

そして、艦から慣性の力がなくなり、停止すると同時に、艦長が潜望鏡を上げる。

「すぐには居ないか。まあ仕方ないだろうな。」

副長見てみろ。」

「分かりました。」

副長が潜望鏡を一周回してから言った。

「確かに見えませんね。しかし晴れているので、見逃すということはなさそうですね。」

「ああ、この天候は文句無しに恵まれてると言って良いだろうからな。」

その時だった。

「敵艦発見!」

副長が叫ぶ。

「代われ!」

艦長が副長から潜望鏡を奪うようにして取り付く。

「確かに居るが、遠いな。よし接近する。速力5ノット。」

「速力5ノットよーそろー」

艦に再びモーターの音が響く。

ちなみに潜望鏡を上げているときには、シュノーケリングを使った、ディーゼル機関による高速力の航行はできないのだ。何故なら、速ければ速いほど潜望鏡に振動が伝わり、更にそれによるウエーキが見つかりやすくなるからである。またディーゼル機関の騒音が大きく発見され易いと言う理由もある。

そして艦は、5ノットの速力で接近していく。

第30話完

ようやく始まった・

32話まで出来てます

では又

感想待ってます

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