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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
25/112

第24話機関科の憂鬱

なんか憂鬱シリーズになってきた気が・・

某人気ラノベとは関係ないけど・・

「随分と長い間連続して動かしてますが、大丈夫なんですかね?」

機関科の山中兵長が、機関長の中川中尉に言った。

「何がだ?」

「主機と電動機に決まってるじゃないですか。」

主機は、ディーゼルエンジンの事で、電動機はモーターの事である。

「しっかり整備していれば平気だ。それにどっちも24時間ぶっ通しで動かしている訳じゃないから、その分整備に充てられるからな。」

「しかし、そろそろボロが出てきてもいいのでは?」

「何言ってるんだ?基本的に潜水艦は、何ヶ月も続けて任務を遂行するのが当たり前だぞ。そんな簡単に壊れてたら、任務を遂行出来ないし、基地まで帰って来れないじゃないか。」

「それはそうですが・・・かなりの品質が下がってるという話じゃないですか。工作精度が落ちているから。」

「安心しろ。本艦は決戦兵器と言われてたんだ、良いものが取り置きされていたんだ。」

「しかし、摩耗とかは大丈夫なのですか?」

「今言ったろ?良いものを取り置いていたと。だから、クランクシャフトも代用材料は使われていないし、ピストンも同じだ耐久性は問題ない。」

彼がここまで、心配しているのは今回が初めての、長距離航行だからだろう。彼はもともと、焼き玉エンジンの船に乗っており、ディーゼルエンジンでの航海は、経験が浅かったのだ。

しかし、整備士としての腕は悪くなく、中川中尉曰く「育て甲斐がある部下」という事だった。

そのため、ディーゼルエンジンについて細かく見ており、不安になっているのだろう。

でもこれは悪いことではない。むしろ、経験が浅いのに絶対大丈夫と誇るように言っているものほど、危ない。何故なら故障を見逃してしまう恐れが高いからだ。

そういったものより明らかに信用することができるだろう。

こういう整備の場では、何処かに故障がないか、探すようなものだから、大丈夫と高をくくっているもの程、見逃すのだ。

だから、機関長は信用できる奴だと山中兵長の事を評価していた。

「でも、摩耗の問題は大丈夫なのですか?」

「ああ、確かに何年か経っているならそうだが、この艦は新造艦でしかもエンジンも新品だ。そう緊張する必要もない。だが、見守ることを疎かにしてはいけない。分かったか。」

「はっ、分かりました。」

ううん、彼はいい男なんだが心配症なのが玉に瑕だなもったいな。もっとどっしりしてれば良いんだが。

山中兵長の作業を見守りながら、中川中尉はそう考えていた。

「しかし中尉、本艦は何故わざわざオーストラリアに行くんです?さっさと内地に戻ればいいのに。」

「本艦は、地球を1周半できる航続距離を誇っているからな。それに魚雷もまだ撃ってない、だから行くんだろう。」

「そう言う事でしたか。しかし、本土の戦況は悪化してるんですよね?」

「だから、敵の補給を断ちに行くんだ。なまじ帰るより、そっちの方が戦局に寄与すると考えたのだろうな。」

「そうですか。確かに補給を立つと言うのは、敵が強大なほど効果を発揮しますものね。」

「そうだ。だから行くんだ。」

そう言って、話題を切った。


「主機は快調に動いております、艦長。」

「そうか、それなら問題ないな航海長。」

「はい日下艦長。この分なら計画通りにつけますね。」

「ああ、後16日だ。早いものだな、時が経つのは。」

「そりゃあ艦長は、常に神経を張っていましたからね。」

言ったのは、航海長の真鍋中尉である。

「そうとも言えるかもしれんな。」

「今日は5月21日ですから、6月6日に着くことになります。」

「そうか、航海長も無理はするなよ?」

「分かってますよ。」

「ははっ。」

2人の笑い声が木霊する。

「ところで艦長、航空隊は出撃させないんですよね?」

聞いたのは、航空隊隊長生野中尉である。

「ああ、敵に発見される可能性が高いからな。艦をむやみに危険に晒したくもないしな。」

「そうですか・・・」

落胆したように言ったのは、本当に出撃しない事が確定したからである。

「落ち込むんじゃない。飛行長パナマ運河での戦果が無くなるわけじゃない。単純に艦の保全の為だ。中尉だって、この艦がやられればどうなるか分かっているよな?」

そう、伊400が沈めば航空隊に帰る場所が無くなってしまうのである。そうならないためにも、航空隊の出撃を取りやめたのである。

艦長だって、晴嵐を出撃させたいという思いがないわけじゃない。しかし、この艦と乗員を危険にさらすわけには行かないのだ。

「それが分かっています。しかし・・・」

「いいか、お前達だけで戦っているわけじゃないんだ、ここは我慢してくれ。」

「分かりました。航空隊の連中に伝えてきます。」

「ああ、そうしてくれ。反乱など起こされたくないからな。」

「反乱は起こしませんよ。」

そう笑って言った。

「では失礼します。」

そして持ち場に戻っていった。

「やれやれ、飛行長が話を聞く人で良かったですね。」

「ああ、あれ以上言われても無理なものは無理だからな。」

「そうですね艦長。」

副長が笑って言った。

「潜行深度90!」

再び艦は、海底に向かって行った。

第24話完

と言うわけで話が混沌として来ました


何故?

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