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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
パナマ運河攻撃作戦
13/112

第12話艦内討論

今回は、前回の終わりからの続きになります。


「なぜ負けると言いきれるか、か。逆にお前はなんで勝てると言えるんだ?内地である、沖縄に上陸を許しるんだぞ?」

真鍋航海長が、何故そこまで勝てるというんだ?というように江草飛行兵曹に聞いた。

「そりゃ皇国はまだ負けたことがありませんじゃないですか。それにまだ、戦艦だけで伊勢に日向、長門、榛名また空母では、葛城、天城、隼鷹、龍鳳、海鷹、鳳翔が残っているじゃないですか。」

今日は1945年4月26日である。

確かに彼が挙げた、鋼鉄の艨艟たちは浮かんでいた。

「だがな、燃料が無ければ、意味がないじゃないか、空母は更に載せる飛行機がないんだ、戦力にならんだろう。」

「しかし、南方からの燃料が届けば、何とかなります!」

しかしそれは土台無理な話だった。

「何を言ってるんだ?その南方航路の制海権が握れれてんだ、無茶な話だろう。」

「しかし、今年の2月にあった、松田千秋少将指揮の北号作戦は成功したじゃないですか!」

この作戦は、戦艦伊勢、日向を基幹とする艦隊が、無傷で、輸送作戦を成功させた作戦である。また、キスカ撤退戦と並び、奇跡の作戦と呼ばれることとなる。

「しかしあの作戦は、幸運が積み重なった様なもので、その時でさえ、半分戻って来ればいい程度の話だったじゃないか。それに、そんな大部隊を動かせるだけの燃料を、どうやって運ぶつもりなんだね?」

「それは・・・連合艦隊の総力を結集すれば出来ます!」

「だから、その連合艦隊が動けないんだ。そんなに燃料があるなら、危険を冒していく必要もないし、とっくに迎撃に言ってるだろう。何せアメリカの艦隊は、本土近くまでやってきてんだ。それに空襲に対する迎撃だって、もっと大々的にできるだろう?」

「それはそうですけど・・・」

江草飛行兵曹が言い返そうとしたが、純粋に事実だった為、言い返せなかった。

「皇国はもう、ダメだろう。なんせアメリカのB29とかゆうバケモンみてえな爆撃機に毎日爆撃されてるんだからな。」

「しかし、皇国は不敗の国です。負けるはずがありません!」

「だったら、アメリカやイギリスだってそうだろう。太平洋の戦いは不敗の国同士の戦いなんだ。どちらかの不敗神話が崩れるのは、当たり前だ。それが、皇国だった、て話だ。

「しかしまだ、戦局挽回の目はあると思いますが?」

「どうやって、挽回すんだ?1億総特攻とでも世迷言でも吐くか?」

「そうです。それしか残ってません!」

「何を言ってるんだ!いいか、効率では、通常攻撃の方が、いいんだ。何故かわかるか?」

「繰り返し、使えるからですか?」

「そうだが、しかもその間に熟練して来れば、命中率だって上がって、効果は上がるんだ。」

「しかしそんな余裕があるとは・・・」

「良いか?特攻と言うものはだなあ、20時間程度とはいえ、立派に訓練した、連中を十死零生の攻撃に送り込まなければいけないんだ。通常攻撃なら、帰ってこれる可能性があるのにだ。」

「しかし大西中将は1人1殺が可能と言ってましたが?」

「それは、ある程度練度が高いものたちがやった結果だろう。今は、飛行機を飛ばすのが精一杯って言う連中なんだ、命中が望めないことぐらい分かるだろう。」

「それはそうですが・・・」

「もうこの話はよそう。」

「何故です?」

「こういう話は、いつまでも平行線のまま終わると相場が、決まってるからな。互いの利益にならない話は、やめた方がいい。」

「分かりました。」


「艦長戻りました。」

真鍋航海長が、疲れきったという声音で言った。

「どうした航海長?」

「ちょっと航空隊の若い連中と話をして、疲れやだけですから、大丈夫です。」

「そうか。どんな話をしてたんだ?」

「皇国の行方についての話しです。」

「そうか。それでお前はどう思う?」

「私は、皇国はもう終わりだと思います。」

さらりと、内地なら国賊呼ばわりされるであろう言葉を吐いた。

「そうか。お前もそう思うか。実は、私ももうこの戦争、長くないとお持っているんだ。」

「艦長もですか・・・」

意外なことを聞いたとばかりに軽く絶句していた真鍋航海長であった。

「では、どのくらいで終わると思ってるんですか?」

恐る恐るといった感が強いながらも、日下艦長に聞いた。

「私は、遅くとも今年中には、終わると思っているよ。」

「では、何故オーストラリアに行くんですか?」

「今回の戦果でまた出撃しろと、軍令部に言われるかもしれないだろう。終戦が近いというのに、わざわざまた死地に赴く必要もないだろう。だったら、ギリギリまで、作戦行動したほうがいいだろう。」

「確かに、今回の指令では攻撃後については、貴艦の判断に任せるとなっていますもんね。」

「そういうことだ。だから、オーストラリアに行くんだ。」

「そういう事だったんですか!」

今納得したという風に言ったのは、副長の渡辺大尉であった。

「いまようやくわかりました。」

「皆には、後で伝えたいと思うが、どう思うか?」

「それは、確実に士気の阻喪を招くことになりますから、やめたほうがいいと思います。」

「私もそう思います。何故なら、もう死地に行く必要がないようにですと、若手乗員の反発を招きかねませんからね。」

副長と航海長の2人の意見が一致した為、オーストラリア行きの真意は伝えず、通商破壊戦の為のみの説明をすることで決定した。

第12話艦長完

無事2000字突破しました

通算2400アクセス達成しました

今回は8割がたセリフとなっています

まあ題名の通りですがね

感想待ってます

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