表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
パナマ運河攻撃作戦
12/112

第11話通商破壊作戦の始動

次はオーストラリア通商破壊作戦です。

伊400は、20本の九五式五十三センチ魚雷を搭載している。

又航空爆弾は、500キロ6発航空魚雷を残り3本搭載している。

又行動期間は、本来なら4ヶ月であるが、今回は5ヶ月分の食料を搭載している。

ここまでの道のりで、61日たっているため、後90日大体3ヶ月程度である。

「オーストラリアに行くぞ。」

艦長日下中佐が唐突に言ったのは、パナマ運河攻撃の次の日の4月26日である。

「正気ですか?」

副長渡辺大尉が艦長の気が確かか、聞いた。

「正気に決まってるだろう。なんだ?思いつきで決めたとでも思ったか?」

「いえ・・・ただ敵も今回のパナマ運河攻撃で警戒を強めているのではないでしょうか?」

オーストラリアに行くのは、承服出来ないと遠まわしに言った。

「いやそれは、本土のことだろう。オーストラリアはそこまで強くないだろう。」

「艦長、最悪の場合を考えるのが、指揮官の務めではないでしょうか?それに船団に攻撃をかけたところで、返り討ちにあうのが、分からないのですかっ!」

語気を強くして言った。

「いや敵は、俺たちは直接内地に戻ると思って、中部太平洋の警戒は強くするだろう。だから、オーストラリアに来るとは、考えていないだろう。それに船団に対しては、攻撃しないよ。」

「では何を狙うんですか?」

「プリスベーンを出港した敵を狙う。出港したばかりなら、船団もろくに組めないし、物資を満載しているから、撃沈しやすいだろう。」

「なるほど、そうなると大体ここから、7502浬ですね。」

航海長の真鍋中尉が言った。

パナマ運河までで8802浬の航行をしている為、合わせると16304浬になる。伊400の航続力は、37500浬の為まだまだ余裕がある計算だ。

プリスベーン沖までは、14ノットで10時間、3ノットで14時間と飛ばし気味に航行し1日に182浬進撃できる。その為、41日程度で到達できる。そして帰還には7714浬ある為同様のペースで行くと42日で帰還出来る。合わせると83日そしてパナマまでで、61日で全て足すと144日となり、行動期間の153日から引くと残り9日余裕を見ると7日即ち1週間である。

航続力は問題ないが、食料がギリギリなのだ。

食料が有ったとしても、乗員の士気の問題もある為、ここらが限界だろう。


「次は、オーストラリアに行くらしいですね。」

生野中尉のペアの吉川飛行兵曹が言った。

「ああなんでも、プリスベーンという港の沖で、1週間通商破壊作戦をするらしいぞ。ただ、今度は俺たち航空隊の出番は基本的に無いらしい。」

「なぜです?」

吉川飛行兵曹が悔しさを全面的に出して言った。

「 なんせ、3機が出撃するまで、1時間浮上してなきゃいけないんだ。パナマの時と違い、敵の目も増えるからな、万一の事態を避けたいんだろう。」

吉川飛行兵曹の顔に緊張の色が見える。

万一の事態と聞いて、撃沈される事を想像したのである。

「だから基本は、シュノーケリング航行で行くそうだが、かなり飛ばすみたいだぞ。」

ちょっと事情通みたいに言った生野中尉であったが、それ以上の事は知らなく、即座に墓穴を掘る羽目になってしまった。

「なんで飛ばすんですか?シュノーケリング航行でも見つかりやすくなるんじゃ、無いんですかね?」

「それは・・・何故だろうな。」

「知らなかったんですか?」

吉川飛行兵曹が意外そうに言った。

「まだ、発令所での話を少し盗み聞きしただけだからな。お前は、知っているのか?」

生野中尉が意趣返しのつもりで言った。

「僕が知ってるはずないじゃないですか。なんせ大井上等飛行兵曹に今さっき、聞いたばかりなんですから。」

「聞きたいか?」

いきなり話に入ってきたのは、航海長の真鍋中尉であった。

「はっ。聞きたいです。」

いかにも興味津々です、と言う声音で言ったのは、丁度反対側から来た大井上等飛行兵曹と吉川飛行兵曹の2人であった。

「簡単に言えば、食料が足りなくなるからだ。それに士気の問題もある。」

「燃料ではないのですか?」

意外そうに聞いたのは、海上護衛総隊の作戦参謀大井 篤大佐がかなり遠い親戚らしい大井 副武上等飛行兵曹だった。

彼は、独自のルートで日本の燃料事情が悪いことを悟っていたのだ。

「ああ燃料は、満載されていたから、37500浬最大で航行できるはずだからな。」

彼は、その言葉を聞いた瞬間に、目を丸くして驚いていた。

何故なら、そんな余裕があるとは思っていなかったのである。

だから、パナマに行ったら、直接内地に帰還するとばかり思っていたのだ。

だから、予想だにしない理由で、目を丸くしていたのだった。

「でも内地に戻ったら、もう出撃出来なくなってしまうんじゃないかと思うんですが・・・」

「ああ沖縄でも相当苦戦してるみたいだしな、下手したら、途中で戦争が終わっている可能性だってある。」

「ええ、問題は沖縄戦の行方です。航海長の仰る通り、戦争が終わってしまったらどうなるのでしょう?」

「考えたくないが、アメリカに投降することになるだろうな。」

「なぜ皇国が負けると言えるのですかっ!」

叫んだのは、そこの話から聞いていた、江草飛行兵曹だった。

こうして、この戦争の行方そして皇国の行方、その2つについての議論が始まった。

第11話完

今日も2話更新そして2000字突破しました

総アクセス数が2000アクセス突破しました

今回の話で気付いた方も多いと思いますが、この作品の4人の搭乗員は、有名な軍人から、苗字や名前を取っています。

吉川 泝飛行兵曹 中瀬 潔飛行兵曹

吉川 潔少将(戦死後ニ階級特進)

大井 副武上等飛行兵曹 江草 篤飛行兵曹

大井 篤大佐 豊田 副武大将

以上です。

明日、明後日は学校行事で登校時間が早い為、朝の投稿ができないので、1話投稿となりなます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ