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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
戦いの終わり 本土への帰還
102/112

第101話訓練の日々⑦

百話超えました

「よしっ食うぞ!」

生野中尉の号令と共に航空隊の昼食が始まった。

午前中の訓練では生野中尉が一番張り切っており、さまざまな機動を行っていた。

中には、水上機がやる事か?と言うようなものもあったが、なんだかんだ言って無事に終わらせていた。

また、生野中尉機は途中で鳥野上等飛行兵長ペアと交代するために、切り上げていた。

鳥野上等飛行兵長の飛行は堅実なものであり、見ていて面白いものではなかった。

午後からの訓練では、生野中尉がフルで飛ぶことになっている。

それと並行して、機関科や水雷科でも訓練が行われている。

当然、航空隊だけが訓練してるというのはありえない話ではあるのだが。

「もっと丁寧にしろ!」

大声で機関科兵を叱責して居るのは、機関長の中川中尉である。

彼らが扱っているのは、艦の命であるディーゼルエンジンと充電池である。

そのどちらか、特に主機であるディーゼルエンジンが故障してしまうと行動自体が関なくなってしまう。

これは潜水艦、いや全ての艦にとって死活問題になり場合によってはこれが致命傷になるのだ。

そんなことにならないために、中尉が目を光らせているのだ。

まだ、新しいエンジンのためそこまで激しいくせはなく、磨耗もしてない為整備もしやすかった。

しかし、もしも工具なり何かを置き忘れたとしたならば、一瞬で壊れてしまうだろう。

確かにディーゼルエンジンは構造が簡単ではあるが、調整が難しいのである。

いや、難しいというよりはこつがいるとでも言うのだろうか?

どちらにしても、整備をしっかりと行っていなければ使い物にならなくなるのは明白である。

「いいか?一つの油断が艦の根幹を揺るがす事態になるかもしれないんだぞ?機関故障で帰還出来なかった艦がいかに多いことか。」

そう、まだ浮力を残していても航行不能になってしまえば、圧倒的に味方が有利な場所でない限り自沈処置が行われるのだ。

確かに戦果を挙げたのならば、それも納得できるだろう。しかし味方の不注意によってこのような事態になってしまったら、どんなに虚しいであろうか?

「シュノーケリングを使用する場合は、酸素濃度に気をつけろ!少しでも薄くなり始めたら、出力を弱めるか止めるんだ。分かったか?」

潜水艦にとって敵の攻撃と同等かそれ以上の脅威になるのが、二酸化炭素濃度の上昇である。

それが起きるということは即ち酸素不足であるということになる。

そうなると、頭痛などの症状が現れてくる。

即ち判断力が低下するのだ。

またそれが重度なものになると、発狂捨者さえ出てくるのだ。

その影響がいかに大きいか分かるだろう。

シュノーケリングとは、書いて字のごとく潜水した状態でもエンジンを動かせるようになる装置である。

ただし、空気の流量が限られることと、水が侵入するのを防ぐために付けられている閉鎖装置のために、不意打ち的に空気の供給が止まることがある。

その時が最悪なのである。

措置からの空気が途絶えたということは、艦内の空気を使用するしかないということである。

となると酸素使用量の多いエンジンが動いているとどうなるか?

もう分かる通り酸素不足になるのである。

それを最小限に抑えるためには、エンジンを止めるのが一番いいのである。

しかし、高速運転中にそれをやってしまうと、エンジンが壊れてしまうため、低速に変える必要がある。それまでが最低限の運転ということになる。

その反応を機関科兵特に、操作係の者は機敏に行う必要があるのだ。

そこが遅れるとかなりまずい事態に陥ってしまうのだから。

その頃大輪整備上等兵は電池室にて訓練を行っていた。

彼が指揮しての訓練である。

「いいか?電解液は入れすぎてはいけないんだ。少なすぎてもいけないが、多いと前みたいなことになっちまうからな。」

「分かりました!」

威勢のいい声が返ってくる。

前の時とは、ノース号雷撃戦の際に爆雷炸裂の衝撃によって、艦が激しく振動し電解液が漏れ、たまたま蓋を開けていたために、塩素ガスが発生したときのことである。

この時は、乗員がとっさにハッチを閉めたために艦内に塩素ガスが充満することはなかった。

しかしこのような幸運が、同様にまた蓋を開けてい時に起こるとは訪れるとは限らないのだ。

もしかしたら次は、艦内に充満してしまうかもしれない。

そうならない為の訓練、講習会なのである。

「先に言っておくが、もう戦闘中に蓋を開けることは禁止とする。」

その処置は常識的と言えるだろう。

むしろ、事故が起こる前からしとくべきだったかもしれない。

しかし、事故はもう起こってしまったのだ。

振り返ってばかりではなく、対策を講じる方が重要であるだろう。

その点においては、早い対応だったと言えるだろう。

「了解であります!」

「よしっ!次に実技訓練に移る!」

その声とともに、機関科兵たちが電池の周りを取り囲み各々の役割をこなして行く。

そこにむだな動きはない。

これからの航海はもっと事故に対する安全率が上がるだろう。彼はそう思った。

第101話完

うーん最初は10話で終わるはずだったのが10倍も続いてる

なぜだ?

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