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鴉と砂と少女(仮)  作者: コロッケ
こんにちは異世界
9/35

異世界の肉!

倒したドラゴンを持ち帰ってギルドに提出してみせると、まぁ相当に驚かれた。

なんでも、あのドラゴンは中位~上位の冒険者が6人PTを数隊集めてレイドというものを結成し、それで初めて狩れるような大物だったらしい。

ドラゴンの素材はギルドに提出するより、オークションに流した方が儲けが大きいとの事だったため、その方法を聞いて実践する。


「メニュー、コミュニケーション、オークション……で、この枠にストレージから売りたい素材を移して………とりあえず内臓類は劣化が早そうだしギルドに売るとして、皮に爪に鱗に牙、肉は………食料用に持っておくか」


とりあえず先立つものが必要になるため、内臓類はすぐに換金してしまい、簡単には腐らなそうな素材をオークションに全て流す。

まぁ、1週間もすれば再出現するらしいし、素材が必要になればもう一度狩れば良いだろう。


で、内臓類をギルドに売って得た金額は金貨400枚、銀貨にして四万枚、銅貨にして四十万枚、日本円に直して計算すれば四千万円にもなる額だ、これだけあれば、まぁ当分は困らないだろう。


材料の確保が容易で、これだけの金もある。

俺が一人ならまた料理店を開くところなんだが、二人がいるからそういうわけにもいかない。

ひとまず、この金は当分の生活費に回すとして、装備は……俺は要らないな、かえって動きを阻害されかねない。

奏弥も、戦闘を見た限りでは防御に偏った感じだ、砂を防御に回せば、こっちも防具は要らないだろう。

となると、美空の装備だな。


「俺たちが使用できて、尚且つ信用出来る武具屋、もしくは鍛冶屋を紹介して欲しい」


「そうですねぇ………とは言っても、この国の鍛冶屋はレベルが高くて4なので、余りご期待には添えないかと

腕に自信があるようでしたら、ご自身で作成することも可能ですよ?」


自作……ねぇ、ドラゴンの素材は重量があったし、あれを美空が扱えるとは思えない。

かと言って、他の魔物の皮やらでは、この付近では期待できそうにも無いし……しかたない、しばらくは二人で離れないように言いつけておくか。


ちなみに、今二人は店の入口付近で待機させている。

複数人で聞くことでもないし、周りに絡まれても面倒だからな。


さて、依頼の報告は済ませた、ギルドの入会料も支払った。

ギルドの貸し部屋も二部屋確保したし、あとは……まぁ、このギルドでしばらく世話になりそうだし、ちょっと礼の先払いでもしておくか。


「そうだ、良かったらこのギルドの厨房を貸して欲しいんだが……」


「はぁ、構いませんが、何をするおつもりですか?」


「せっかくドラゴンなんて上等な肉が手に入ったんだ、このギルドにもこれから世話になるし、肉料理を振舞おうと思ってな」


「そういう事でしたら喜んで!」


という訳で厨房を借りることに成功。

家の設備には劣るが、まぁそこそこ上等だな。

厨房に入って、ストレージから肉を取り出す。

全部で400Kgはあるからな、ここにいる全員に振舞ったところで、然程痛くも無い。


まぁ、簡単にステーキで良いか。

とりあえず肉を一口サイズに切り出し、鉄板を熱し、焼いてみる。

数分で肉の濃厚な匂いが溢れ出し鼻腔をくすぐる……なるほど、これは上等だな。

大体ミディアムレアくらいに火が通ったところでその肉を口に放り込む。

ふむ………調味料が要らないほどの濃厚な肉の旨味が口いっぱいに溢れ出し、口の中で暴れまわる。

暴力的なまでの匂い、旨味が合わさり、最上級と言っても過言ではない幸福感に包まれ……と、トリップしてる場合じゃないな。

確かにこれ単体でも十二分に旨いが、これは……塩コショウで味を調え、甘味のあるソース……玉ねぎを使ってみるか。

付け合せには人参のグラッセとフライドポテト、スイートコーン……トウモロコシは切らしてるのか、仕方ない。

で、肝心の焼き方だが、どうやらドラゴンの肉は火の通りが余り良くないようだ

350gでガッツリといっても冒険者連中ならペロリと食べてしまいそうだが、それでは火を通すのが難しい。

量を食べたい奴には100g程度を複数枚食わせるのが良さそうだな。

さて、あとは焼くだけだ!


――奏弥side


先輩が厨房に入ってから20分ほどが経過した。

厨房からは肉の焼ける音が聞こえ、ギルド中に肉の香りが立ち込め、いつの間にか喧騒が消えていた。

まぁ多分皆肉の匂いにやられているんだろう。

かくいう俺も、さっきから腹の虫がコンサートを開いているかのように大騒ぎしている。

牛とも豚とも異なる、それでも正確に空腹中枢を刺激する肉の香りが、ギルドを支配して………


「うっし、ドラゴンステーキ一丁あがり!

食いたい奴は並べ! 俺の奢りだ!」


「ウオオォォォォォォォオオォオォォォオォオォオオ!」


先輩の声が響く それをかき消すように他の冒険者連中の声が響く。

気が付くと、俺と美空を含め、先輩以外の全員が二列に整列していた。

その列はドンドン進み、前から掃けた面々はそれぞれ席について肉を頬張る。

中には泣きながら食ってる奴も居るし、先輩の腕がいいのか、素材がいいのか………いや、両方だな。

………つか、俺も早く食いてぇ!


奏弥side end――

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