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別にヤンデレ化とかしないけどね。暫くは
◇
……そして、その日の夜。
「ふぅ……、今日も疲れたぁ~」
風呂上りの仁奈。自室の机に座って寛いでいる。
「……でも、まおちん、優しかったなぁ~」
今度は一転、蕩けたような表情になる。
「まぁ~、おぉ~、ちぃ~ん」
目付きが段々、怪しくなっていく。実は、彼の幻影が見えているんじゃないのだろうか。
「はぁ~、まおちんに会いたいなぁ~」
溜息を吐く仁奈。物思いに耽る乙女のようにも見えるが、実際には独り言が多いだけの危ない人だ。
「まぁ~、おぉ~、……すぅ」
どうやら、眠ってしまったようだ。そんな所で眠っていては、風邪を引いてしまうんじゃないのだろうか?
「……まおちん」
だがしかし、その寝顔がとても幸せそうなので、そんな野暮なことは言わないでおこう。