表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/42

本日の学校生活、終了

 ……その頃魔緒は。


「楠川の奴、どこほっつき歩いてんだ?」

 学食の入り口で、仁奈を待っている魔緒。……本当は、最初から奢る気だったのではないのだろうか?

「まさかとは思うが、あまりの空腹で野垂れ死んでるんじゃないだろうな……」

 いや、それはないだろう。

「出すモン出し過ぎて、必要なエネルギーまで出しちまったとか……。在り得るな」

 ほんとに、絶対にないと思う。

「それならさっさと見つけねえと、大変なことになる」

 既に、君の頭が大変だ。

「こりゃ、探したほうがいいな」

 結論自体は決して間違っているとは言えないのだが、そこに至るまでの途中経過が凄すぎる。

 仁奈を探そうと、魔緒が学食を後にしようとしたとき、仁奈がやって来た。

「なんだ楠川、無事だったのか。てっきり、どっかで餓死してんのかと思ったぞ」

 魔緒は冗談―――本人は本気だが―――を言うが、仁奈は俯いていて、無反応だ。

「ん? どうした、ぼうっとして」

 魔緒に指摘されて、初めて反応を示した仁奈。―――反応といっても、顔を上げただけだが。

「……お前、まさか」

 魔緒はそれを見て、何か気づいたようだ。だが仁奈は、首を横に振った。

「ううん、違うの。そうじゃない。ただ……、ちょっと体調崩しちゃったみたいで」

 仁奈は笑顔を見せた。ただそれは、いつもの無邪気なそれとは違い、無理をして笑っているように見えた。無論、魔緒にも。

「だからね、折角なんだけど、奢ってもらうのまた今度にして」

 そんな仁奈を見ても、魔緒は表情を変えない。しかし内心は、仁奈のことをとても案じている。その証拠に―――

「駄目だ」

「え?」

「え、じゃねえ。お前から頼んだんだから、ちゃんと奢られろ。例の新メニュー、三人前頼んでやるからな」

 そう言うや否や、魔緒は仁奈を手を取り、学食に無理矢理引っ張り込む。

「ちょっ、ちょっとまおちん!?」

「安心しろ。食いきれなかったら残りは俺が食う」

「そういうことじゃない!」

 戸惑う仁奈だが、魔緒に手を引かれて歩く姿は、どこか嬉しそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ