ああ、何故うちの子はここまで律儀なのでしょうか?
◇
……そして図書室。
「ん? 結構人いるな」
授業中だというのに、図書室には十数名の生徒がいた。
「ったく、授業サボって何してんだか」
それはお前もだ。
「少なくとも、貴方にだけは言われたくないわね」
「清田……、お前もか?」
七海までもがサボりだとは……。
「失礼ね。私たちのクラスは自習なのよ。それより、」
七海は仁奈のほうへ目を向けると、
「貴女、何で陰陽魔緒といるのよ?」
まるで咎めるような口調でそう問うた。
「……ごめん」
何故か謝っている仁奈。
「おいおい、何でお前がそんなことを―――」
「貴方は黙ってて」
魔緒の台詞を、七海がぴしゃりと遮った。
そして再び仁奈のほうへ向き直ると、
「ごめん、じゃあ分からないわ。ちゃんと説明して」
有無を言わせぬ威圧感と、それを強調する鋭い視線。目線を逸らした仁奈も、それらから逃れることはできないようだ。
「説明して」
催促する七海。
「それとも何? このままでいいの?」
そしてそれは、段々ときつい言葉になっていく。
「無視する気?」
七海は言いたいだけ言った後、今度は魔緒に目を向ける。
「貴方もよ。この子のためを思うなら、二度とこの子に近づかないで」
「……何かと思えば」
魔緒は呆れたように呟く。
「お前に何の権利があるって言うんだ? いや、たとえあったとしても、俺は嫌いな奴の指図は受けない」
そして、はっきりと言い放つ。
「……そこまで嫌われていたのね」
だが、七海が漏らした台詞は、先程のそれとは結びつかないもの。ただ純粋に、魔緒に嫌われたことを嘆くだけのものだ。
「俺はお前が大嫌いだ。たとえ、どんな理由があってもな」
魔緒はそういうと、一人で図書室の奥に進んでいった。
「……とりあえず、邪魔者はいなくなったわね」
七海は彼を見送ると、やれやれといった様子で呟いた。
「それじゃあ、さっきの問いに答えて貰おうかしら?」
そして、仁奈をまた見据えた。
「……」
仁奈は、ゆっくりと口を開いていく。




